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金融庁が募集していた「金融商品取引法施行令の一部を改正する政令(案)」のパブリックコメントに67件のコメントが寄せられ、そのコメントに対する金融庁の考え方を公表しました。
目次【本記事の内容】
金融商品取引法は、株式や債券など有価証券の発行や売買に関しての規制やルールを定めた法律です。元々は「証券取引法」という法律で、国債や地方債、社債、株式、投資信託などの有価証券を規制の対象としていました。
しかし、ファンドと呼ばれる集団投資スキームの持ち分や多様なデリバティブ取引、さらに暗号通貨の金融商品など、金融商品や取引ルートも拡大しています。
こうした金融・資本市場の環境変化に対応していくために、投資家保護法制の構築や取引市場の公正性・透明性を保つための開示制度の拡充、取引所の自主規制機能の強化、インサイダー取引など不公正取引への厳正な対応などが金融商品取引法で定められています。
金融商品取引法は、金融・資本市場の環境変化に合わせて、いくつかの法律を廃止・統合したものです。金融商品は価格変動のリスクもあるため、大きな利益を得ることもあれば、大きな損失を被ることもあります。
それだけに、投資家が安心して投資を行えるように、取引市場の公正性・透明性を保つ必要があります。とくに重要性を増しているのが、最良価格を提示している取引施設を検索して注文を執行するSmart Order Routing(SOR)の普及です。
そのため、金融審議会の市場制度ワーキング・グループ「最良執行のあり方等に関するタスクフォース」報告書で、投資者保護と透明性確保規制の見直しが提言され、その提言を踏まえたのが「金融商品取引法施行令の一部を改正する政令(案)」です。
パブリックコメントには、「SORは個々の顧客との合意で導入され、すべての顧客に適用していないため、誤解が生じる懸念がある」というコメントも寄せられています。
また、「最良の取引の条件で執行するための方法が東京証券取引所や私設取引システムにおける気配のみを比較」する点や、「優先順位を記載する場合、マーケット環境の変化に応じて優先順位を変更しなければならず負担増加」、「悪意のある高速取引行為によるレイテンシー・アービトラージを容易にする」といったコメントも寄せられていました。
こうした、パブリックコメントに対する、金融庁の考え方に詳しく載っていますので、金融取引にかかわる担当者は、確認しておくといいでしょう。
いずれにしても、金融商品取引法には、金融商品を販売する事業者や、取引参加者が「守らなければならないルール」がいくつも設けられています。
政府が示した骨太の方針にも、「所得・資産倍増計画」を掲げ、投資家のみならず個人に対しても「貯蓄から投資」を推進していく方針を示しています。
投資と言っても、実際に投資をしている人以外は、それほど身近なものとは捉えていないでしょう。でも、一般社団法人投資信託協会「2021年度 投資信託に関するアンケート調査報告書」によると、20~30代で積立投資をしているのは投資信託保有層の80%以上です。
金融商品に比べると、投資リスクという点では低いとされていますが、投資に関する意識が高まっていることは事実でしょう。だからこそ、安心して投資を行えるような環境を作ること、取引市場の公正性・透明性が、よりいっそう求められることになります。
「金融商品取引法施行令の一部を改正する政令(案)」は、所要の手続きを経て令和5年1月1日から施行・適用の予定です。金融商品取引業者に該当する事業者は、金融庁の考え方を押さえておく必要があるのではないでしょうか。
投資への関心が高くなっている背景には、公的年金だけでは安定した老後生活を営むことが難しく、“2,000万円の貯蓄が必要”という問題も、尾を引いているのではないでしょうか。
金融庁が取引市場の公正性・透明性を保つために環境整備に乗り出すことはもちろん大事ですが、投資にはリスクがつきまとうことを周知することも忘れないでほしいものです。
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