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実はパワハラだった!?気を付ける点と事例解説

公開日2018/10/22 更新日2019/04/16
実はパワハラだった!?気を付ける点と事例解説

まったく自覚がないのに自分の行為がパワハラと指摘された方は、少なくないでしょう。何をしたらパワハラなのか知っておくことで、加害者になってしまうリスクを減らせます。

パワハラとは何かについて、事例をまじえて解説します。

パワハラの定義とは?

パワハラとは、ご存じのとおりパワーハラスメント(power harassment)の略で、職場における立場の違いを利用した嫌がらせを行い、職場の労働環境を悪化させる行為全般をいいます。上司が部下に対して頭を叩いたり、物を投げつけたり、暴言を吐いたりすることが、典型的なパワーハラスメントの構図です。

職場において、上司は部下への指揮命令権限がありますし、職場での働きを評価する立場でもあります。裏を返せば、部下は上司のパワハラを拒みにくい立場なのです。部下が拒まなければ、その隙に付け入って、上司のパワハラはますますエスカレートするおそれがあります。その上司が特定の部・課・係の長であれば、他の従業員がパワハラに気づいても告発せずに黙ってしまい、当の部下も泣き寝入りしがちなので、パワハラが長い間にわたって表面化しないケースもあるのです。

ある上司から、ある部下へパワハラが存在すると認定された場合、民事裁判では、上司から部下に対して、精神的・肉体的な苦痛を与えたとして慰謝料などの支払いを命じられることがありえます。特に悪質な場合には、暴行罪・脅迫罪・名誉毀損罪などの犯罪が成立し、刑事事件として立件されることもありえます。

それだけではなく、会社の責任も問われる場合があります。会社は、従業員のために働きやすい職場環境を整備・保持する労働契約上の義務があると考えられているからです。よって、パワハラの存在を知っていながら、何の対策も講じずに放置していると、債務不履行として損害賠償責任を問われることもあります。

また、パワハラを行うような上司を雇用した責任(使用者責任)を問われることもあります。

しかし、こうした法的なペナルティが怖いからパワハラ対策を行う……といった消極的な態度では、その会社は必要十分なパワハラ対策を講じずにお茶を濁してしまうおそれもあります。

パワハラを放置することは、従業員(部下)が萎縮して本来のパフォーマンスを最大限に発揮できなくなったり、うつ病などの精神疾患の治療で従業員が長期休養をせざるをえない事態となったりします。

ひいては、会社が投じている人件費の費用対効果が薄れるため、中長期的には収益力低下にも繋がりかねません。よって、利潤追求の目的を十全に果たすために、社内に隠れたパワハラの芽を積極的に摘み取らなければならないのです。

パワハラの3要件

パワハラは基本的に、次の3つの要件にいずれも当てはまる場合に成立します。

1.職場の地位、または立場の優位性を利用している

「職場の地位や立場の優位性」は、すでに述べましたとおり、上司と部下の関係性が典型です。必ずしも「弱い者いじめ」のような構図ばかりではありません。たとえば、部下が優秀で反論が多いので生意気に思っていたり、自分の地位を脅かすように感じたりして、優秀な部下を精神的に潰して逆らえなくする目的で、上司の地位を利用して嫌がらせを行う場合もあります。

同じチームのメンバーで、職場上の地位は同じであっても、先輩が後輩に対して嫌がらせを行ったり、たとえ同僚同士であっても、一方が他方に反論できない関係性のもとで激しく怒鳴りつけたりすることも、優位性を利用しておりパワハラに該当する可能性があります。

2.指示や命令の内容や方法が、業務上の適正な範囲を超えている

部下への指示や激励などで、少々言い方が厳しかったり冷たかったりする程度のもので、業務上の適正範囲内で収まっていれば、上司にパワハラは成立しません。

ただし、指示の方法や態様は穏当であっても、業務とは関係のない指示命令(プライベートの買い物を部下に指示する、お金を貸すように部下に要求する、など)であれば、パワハラに該当しえます。

3.著しい精神的苦痛を与え、その職場環境を害している

上司の言動が不適切であっても、特にその部下がストレスに強い耐性があり、嫌がらせを正面から捉えずに受け流せる性格などであれば、著しい精神的苦痛を受けない場合がありえます。それでも、客観的な視点から適切な職場環境を乱すような上司の言動が認められれば、それはパワハラに該当するというべきなのです。

ちょっと意外なパワハラの事例

仲間はずれ

まるで小学生並みのいじめのようで、陰湿かつ幼稚ではありますが、「仲間はずれ」もパワハラになりえます。ひとりだけチームから外す、声を掛けられても無視する、仕事のやり方を教えずに放置するなどです。

過小な業務指示

優秀で仕事ができる部下に、わずかな仕事しか与えなかったり、あまりにも簡単な仕事しか指示しなかったりするなど、十分な活躍のチャンスを与えないことも、パワハラに該当します。仕事に対する意欲が高い部下ほど、屈辱感をおぼえ、職場での居場所が存在しないように感じるため、著しい精神的苦痛に繋がります。

プライバシーへの過剰な踏み込み

部下のスマートフォンやロッカーを覗き見ることも、パワハラの一種です。また、部下が有給休暇を取ろうとすると「誰とどこへ行くのか?」「デートなのか?」と取得目的を尋ねたりすることもパワハラになりえます。たとえ冗談のつもりであっても、有給休暇の取得にあたって、上司に取得理由を説明する義務はありません。業務と無関係なプライバシーに、むやみに踏み込まないようにしましょう。

パワハラの代表的な裁判例

▪JR東日本(本荘保護区)事件

(最高裁判所第二小法廷 1996年2月23日判決)

上司が部下に対して、就業規則違反を指摘したところ、部下が「就業規則なんか知らない」と反発したために、教育訓練と称し、就業規則の条文を筆記で書き写し、その後、読み上げるよう命じた。

部下はその後、腹痛を訴えて1週間の入院をした。

⇒ パワハラである。(職場の地位の利用、適正な範囲を超えた業務命令、著しい精神的苦痛を与えた点で、3要件を満たす典型的なパワハラ)

⇒ 上司と会社は、連帯して、部下に20万円の慰謝料と弁護士費用5万円を支払うよう命じた。

(理由)

部下が就業規則を書き写している最中も、上司はその横で怒鳴ったり、机を叩いたり、水分を飲ませなかったり、トイレに行くことを容易に認めなかったりした。

その目的や態様において不当で、肉体的、精神的苦痛を与えて、部下の人格権を侵害する違法なものである。

▪ザ・ウィンザーホテルズインターナショナル(自然退職)事件

(東京高等裁判所2013年2月27日判決)

終業後の「反省会」で、体質的にアルコールを受け付けない部下に飲酒を強要したり、その翌日に体調不良を訴えているにもかかわらず、部下に車の運転をさせたり、終業後の部下の携帯電話に不穏な言葉の留守電メッセージを残したりした上司の一連の行為

⇒ パワハラである。(「プライバシーへの過剰な踏み込み」を含む)

⇒ 上司と会社は、連帯して、部下に150万円の慰謝料を支払うよう命じた。(業務外のパワハラ行為に、会社の責任を認めた点が特徴的)

(理由)

上司のいずれの行為も、部下に対して精神的苦痛を与えることを主目的に行われたと認められ、不法行為に該当する。

こうした上司の行為や部下の苦痛を、会社が知るに至った後も、なおオフィス内での上司と部下の席を隣同士にし続けた点で、会社の責任も重いと認めた。

まとめ

パワハラは、上司の部下に対する、度を超した暴力や暴言が典型例です。しかし、同僚同士でも成立する場合がありますし、仲間はずれなどの不作為的な嫌がらせもパワハラに含まれます。

パワハラが発生すれば、多くの場合、会社も「職場環境保持義務違反」を問われ、賠償責任を負うことになりますので、くれぐれもご注意ください。パワハラが起きない環境づくりのため、人事総務や法務など、管理部門が中心となって適切な社員教育や配置転換などを実施を促していく必要があります。

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