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経理担当者にとって、最も慌ただしいのが年末調整の時期でしょう。給与所得者(従業員など)から申告書等を回収し、正しい所得税等の税額を計算して、さらに法定調書を作成するなど、多くのことを短期間で終えなくてはなりません。余裕を持って手続きを進めるためにも、年末調整の大まかな流れについて、しっかりと確認しておきましょう。
目次【本記事の内容】
年末調整とは、会社などが給与所得者の給料や賞与から源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税の合計額を正しく再計算して、納めるべき税額を確定させる手続きのことです。
会社などの給与支払者は、役員や従業員に毎月の給料や賞与を支払う際、社会保険料や住民税といっしょに、所得税及び復興特別所得税を天引きして、税務署に納付しています。これを源泉徴収といいます。
しかし、源泉徴収した1年間の所得税等の合計税額は概算であり、必ずしも正しい税額ではありません。そこで、年末調整で本年中に支払いが確定した給与や控除額を確認して再計算し、1年間に源泉徴収をした額と比べて過不足を清算します。支払い過ぎ(過納税)であれば還付し、不足していれば追加で徴収します。
12月の年末調整の対象となるのは会社に1年を通じて勤務している人、あるいは、年の途中から就職して年末まで勤務している人で、アルバイトやパート雇用も含みます。ただし、給与の総額が2,000万円を超える人や、災害を受け所得税等の徴収猶予や還付を受けた人は対象外となっています。
●年末調整で従業員から回収する書類
年末調整で、従業員に提出してもらう書類には以下のようなものがあります。
・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
年末調整の対象者全員から回収する書類です。配偶者控除や扶養者控除、障害者控除(特別障害者を含む)、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除に該当するかを確認します。
・給与取得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者(特別)控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
3つの申告書が一つになっており、基礎控除、配偶者(特別)控除、及び所得金額調整控除を受ける場合に必要です。
・給与取得者の保険料控除申告書
生命保険料や地震保険料などを支払った人が、保険料控除を申告するための書類です。また、給与から天引きされず、自分で支払った社会保険料がある場合は社会保険料控除を申告できます。小規模企業共済等掛金控除を受けたい場合もこの申告書です。
なお、生命保険料(旧生命保険料は支払金額-剰余金や割戻金が9,000円を超える場合)、地震保険料、小規模企業共済等掛金の控除を受ける場合は、これらの保険料を支払ったことがわかる書類(電子データを含む)の添付が必要です。
・給与取得者の住宅借入金等特別控除申告書
給与取得者の住宅借入金等特別控除を受けられる人が提出します。一定の要件を満たした住宅をローンで購入、増改築をした場合に適用できる控除で、一般的に「住宅ローン控除」と呼ばれています。ただし、住宅ローン控除は、最初の年は確定申告で適用を受けなくてはならず、年末調整で適用を受けられるのは2年目からです。
年末調整は税務署から必要な書類が届き次第準備を始めましょう。年末調整のスケジュールは会社等によって異なりますが、一般的には次のようになります。
●10月末~11月下旬:書類の準備
税務署から送付された書類を確認後、必要な申告書を給与所得者に配布します。配布はなるべく早めに行い、提出期限を明確に周知するようにしましょう。
●12月上旬~12月下旬:年末調整実務の実施
給与所得者から回収した申告書に誤りや不足がないかを確認します。確認が終わったら、年間の給与所得や源泉徴収額を計算し、正しい年税額を計算して精算します。源泉徴収額の総額と比較し、過納額があれば年末調整をする月分、もしくは翌月の給与で還付します。また、不足が生じた場合は年末調整をする月分、残った場合は翌月で追加徴収します。
なお、会社等は年末調整で必要だった「給与所得者の扶養控除等申告書」などは、申告書等の提出期限の属する年の翌年「1月10日の翌日から7年間」保存しなくてはなりません。
●翌1月上旬~1月下旬:行政機関に書類を提出
年末調整の計算が終わったら、「給与所得の源泉徴収票」「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」といった法定調書を作成し、「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」を添えて、1月31日までに所轄の税務署に提出します。また、源泉徴収票は年末調整をした人に交付します。
●市区町村への届出
一定の条件を満たした場合、給与支払報告書(総括表)、給与支払報告書(個人別明細書)を翌年1月31日までに、給与取得者が住む市区町村に提出します。これらの報告書は課税資料に用いられます。
年末調整は、給与所得者の所得税に関わる大切な業務です。経理担当者はその点を踏まえ、迅速かつ正確に処理しなくてはなりません。手続きの流れをしっかりと理解し、スムーズな年末調整になるように心がけましょう。
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