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経理職はルーティン業務が多い傾向にあるため、個人目標の設定が難しい面があります。人事考課・人事評価の目標設定の際は、定量的・定性的な目標を記載するのが望ましいです。
この記事では、経理が目標設定するにあたり、具体例や押さえたいポイントについてご紹介します。
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目次【本記事の内容】
ビジネスの場では、目標を立てることにより、そこから逆算して具体的な行動計画を立てることが重要になってきます。
行動計画とは、いつまでに何をどうするのかを具体的に決めておくプランのことです。一定の期間ごとにマイルストーンとなる目標を定め、期限内にその目標を達成するために必要なことは何かを計画としてまとめます。行動計画を立てることで、仕事への取り組み方が効率的・合理的となり、最終的に目指していることに向かって着実に前進できます。
企業組織における目標には、以下の三つのステップがあります。
1.会社目標・・・会社全体としての目標が最初に必要です。会社としての方向性を示す機能を持ち、各部署、各従業員は会社の目標を実現するために日々労働に従事します。
2.各部署目標・・・会社目標の達成のため、営業部門や開発部門、生産部門など、部門ごとに目標を設定します。各従業員は部署ごとの目標のもとで各種仕事に取り組みます。
3.個人目標・・・会社目標と各部署目標が定まったら、最後に個人目標を決めます。ここで注意すべきなのは、各部署目標の内容がまだ定まっていない、あるいは定まっていてもその内容を自分が十分に理解していない段階で、個人目標を立ててはならないという点です。企業組織に属する以上、個人目標の内容は、あくまで各部署目標の達成に貢献する内容であることが求められます。
経理職が目標設定を行う場合、まずは経理部門において自分が直面している課題を洗い出しましょう。その解決を図るための解決策として、自分が達成すべき目標を設定します。
目標を設定する際は、その時点において「自分が出来ることよりも、少し高い目標」を設定することが大事です。「楽に取り組んでいると達成できないが、頑張れば達成できる」という目標を意識的に設定することが、自分の成長につながります。ただし、達成不可能なことではなく、達成可能な現実性のある目標を設定するのが原則です。
また、目標の設定には定量、定性の2種類がありますが、定量的目標を設定できる場合は必ず盛り込みましょう。定量的な目標は測定がしやすく、成果が出たのか出なかったのかを明確に把握できます。定量的な目標設定をするときは、「業務の効率化を図ることで、〇時間の工数削減につながる」など、具体例を提示することが大事です。
経理経験者が目標設定する際の具体的な方法についてご紹介しましょう。まずは経理部門としての自分に、現在どのような課題があるのかを確かめる必要があります。
たとえばその結果、「ルーティン業務に不明点が多い」「支払いミスがある」「ペーパー業務が異常に多い」「経費削減への取り組みが不十分」「労働時間が多い」「資格取得数が少ない」などの課題が見つかったとしましょう。
この場合、個人目標として設定するのが望ましいのは以下の項目です。
・ルーティン業務のマニュアル作成
・支払いミスを防ぐためのリスト作成
・ペーパーレス化を目的としたツール導入(電子データ・デジタル化への移行)
・社内の経費削減方法の立案(不要な印刷の削減、光熱費の見直しなど)
・入出金管理表のチェック体制
・自身の労働時間削減
・資格取得
経理はルーティン業務が多いので、マニュアルを作成すると上司からの評価ポイントとなるでしょう。マニュアルは異動・転職してきた人、新卒社員にとっても有用です。
また、自分のミスをなくすために、リストを作るなど自身で工夫して業務を遂行できれば、この点もよい評価につながります。
そのほか、請求書等のペーパーレス化に向けてツールを導入したり、入出金管理のチェックを厳しくして経費の見直しを図ったりするなど、経理ならではの視点で改善ポイントを探して目標を設定するのも一つの方法です。労働時間の削減については、残業時間をどれだけ減らすのか、「1日あたり30分」などの具体的な数値を定めましょう。
経理は日商簿記2級以上の資格が応募必須条件になっている企業が多いですが、そこからさらに学習を進めて、簿記1級・給与計算検定・ビジネス会計検定など、プラスで資格取得を目指すと業務で任せてもらえる範囲が広がります。
経理として働き始めて、初めて個人目標を設定する場合、経理業務の内容を覚えることが目下最大の目標となります。具体的には、決算業務の習得です。決算の習得には3~5年かかるといわれ、5年ほど経験すれば、転職時に実績として示せるほどに習熟するのが一般的といえます。
大企業の経理部門であれば、初年~2年目までに単体決算業務をマスターし、3~5年目で連結決算業務を経験するのが望ましいです。
大企業の場合、業務が細分化されていて関わることができない業務も出てくることもありますが、自分が担当する業務についてはいち早く習得できるように努めましょう。
具体的な目標としては次のようなケースを挙げられるでしょう。
●初めての目標設定の具体例
・月次決算業務のマニュアル作りと内容の改善
・四半期決算、年次決算業務への参加
・監査法人への対応(上場企業の場合)
・連結決算業務の補助(大企業の場合)
・税金対策や退職金給付の作業
・決算業務の取りまとめ
・決算業務において必要となる開示業務
月次決算業務のマニュアル作りが出来るほどになれば、決算業務の内容を理解できている証明にもなります。四半期決算、年次決算業務にも参加し、業務を任されることも重要です。上場企業であれば、監査法人への対応、連結決算業務の補助についても、可能であれば目標として設定するとよいでしょう。
開示業務は単体決算業務で注記の作成が必要となるため、その作成を任され、執筆することも目標設定として最適です。
新人の経理にとっては、決算業務に関わることが当座の目標となりますが、可能であればどのように関わるのかについての数値目標を定めることが望ましいです。
最後に、具体的な目標設定の例をご紹介しましょう。基本的には策定した個人目標は各部署の上司が把握し、半期・年度ごとに達成できたのかどうかを評価します。
・連結決算業務をこなせるようになります
昨年までに単体決算の担当者として年次決算をまとめられるようになったので、今後は連結決算業務にも取り組めるようになりたいです。
今年度は国際会計基準に関する勉強に取り組み、IFRS検定などの資格試験にも挑戦して能力向上を図ります。
・経費削減に取り組みます
今年度から入出金管理を担当することになりましたが、これを機に社内の経費削減の強化に取り組みます。まずはペーパーレス化を進めるために、社内文書はできるだけモニターで確認してもらい、コピー用紙の使用数を減らす取り組みを進めたいです。
・業務用のマニュアルを作ります
経理担当者が一人休んだ場合、どのように業務を割り振るのかのマニュアルを作成します。これにより、担当者が一人欠けても業務が滞ることなく、書類作成をスムーズに行える体制を可能とします。
目標は設定することも大事ですが、どのくらい達成できたのかを自分で確かめることも大事です。「目標」を達成するための期間としては、半期もしくは年度が設定されることが多いですが、目標達成に向けた進捗状況の確認は自分で毎月行い、最終的に達成できるのかどうかをチェックしましょう。
もしこのままだと達成が難しいと判断される場合は、それまでの取り組み姿勢や手法の改善に取り組む必要があります。目標未達成となると、人事考課・人事評価におけるマイナス評価にもつながるため、注意が必要です。
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