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経営者・上司には忖度すべき?ビジネスシーンにおける忖度とは

公開日2022/11/24 更新日2022/11/24


先日、企業経営に関して経営トップが発信する「トップメッセージ」に対する従業員側の「忖度」に関する実態調査の結果が民間企業によって発表されました。
その結果からは、従業員側はトップメッセージに納得がいかなくても、忖度して理解したフリをする傾向をもつことが明らかにされています。
忖度の辞書的な意味は他人の気持ちを推し量ることですが、今回の維持ではビジネスシーンにおける「忖度」とは何か、について掘り下げていきます。


トップメッセージは納得できなくても理解したフリをする人が過半数

民間企業が実施したアンケートによれば、経営者側が発信するメッセージに対して、現場のことを理解していないので納得できないように感じるとの回答が6割を超え最多回答となっていました。しかし、納得できないからといってそのことを経営者側に意見するようなことはせず、回答者の約6割は忖度して理解したフリをすると答えています。

本来であれば、従業員側が現場の意見として、自分たちの意見や思いを正しく経営者側に伝えるのが望ましいです。しかし実際には、従業員側はトップメッセージを正すようなことはせず、内容を理解したフリをして「忖度」する傾向にあるわけです。その理由に対するアンケートも行われていて、「(理解したフリをした方が)楽だから」「どうせ伝えても無駄だから」などの回答が多くなっていました。


ビジネスの場で忖度するデメリット

ビジネスシーンにおいては、上司側に対する部下側の「忖度」は決して珍しいことではありません。
考えてみれば当然ともいえ、よほどできた人間でない限り、目下の人間に意見されて気分のよい目上の人間はいないでしょう。
表面上は「よく意見してくれたよ、ありがとう」などと言っていても、内心では腸が煮えくり返っているかもしれません。そのため、忖度しないで直言した場合、場合によっては目上の人間に嫌われて、出世・待遇面で不利になるリスクを背負います。

しかし、こうした忖度は以下のような点において、企業経営にとってマイナスの影響をもたらすことが多いです。

●経営・事業方針を誤らせ、業績悪化・倒産のリスクを高める
経営者側が発信したトップメッセージが現場で働く従業員にとって納得できないものである場合、その内容は現実とマッチしない理想主義であったり、事実誤認にもとづくものであったりする可能性があります。
つまり、そのトップメッセージは実情に即した適切な内容ではなく、経営者側がメッセージ通りの考えを持ち続けて経営を続ければ、戦略を誤る恐れがあるわけです。
にもかかわらず、現場の人間が忖度をして理解したフリをする、つまり「経営者側はあのように間違ったことを言っているが、理解した姿勢だけ見せて、現場の自分たちは思い通りにやろう」などと考えると、経営者側が自身の誤りを正す機会を失い、方針設定の失敗により業績の悪化を引き起こす可能性があります。
中小・ベンチャーの場合、そのために倒産する危険も生じる可能性もあるでしょう。

●組織内の同調圧力が高まり、能力ある社員が離れていく
経営者側・管理者側に忖度する組織文化が企業内にあると、組織下位層にいる若手社員がものを言いにくい雰囲気が社内に生じます。
上司と同じ意見をもつのが無難という同調圧力が強まることで、若手がのびのびと力を発揮できず、自分たちのアイデア・意見を述べにくくなるのです。
こうした企業だと有能な若手社員であるほど他社への転職を考えるようになり、結果として将来幹部として会社を引っ張れるような人材を喪失し、長期的に見ると企業の衰退を招きます。

●組織的な力学で出世した人の能力を補完できない
ある程度の規模の大きな企業の場合、管理者、役員、経営者と順調に出世していく人は、ビジネスパーソンとしての能力が高いから昇進していくとは限りません。
「たまたま自分の上司が出世して、そのおこぼれで一緒に出世した」「年次的に適任者がいなかったので、自分が選ばれて管理職になった」など、組織的な力学が働いて昇進していくケースも多いです。つまり組織における出世とは、純粋に能力にもとづくものとは言い切れないわけです。
このような組織的な力学によって経営者・管理者となった人であっても、本当に能力のある社員・部下が意見しやすい環境であれば、自身の力不足を補えます。
しかし、忖度文化がはびこる組織だと、「自分は偉い」と態度だけが大きい力不足の経営者・管理者を生み出し、社員・部下側がアドバイスしにくい雰囲気となります。
そのような企業がその後どうなるかは、およそ察しがつくでしょう。


忖度にはメリットもある

ただし、ビジネスシーンにおける忖度は、悪いことばかりではありません。次のような点でプラスの効果も生み出します。

●社員・部下の能力を鍛えるきっかけになり得る
経営者・管理者に忖度する組織文化があり、正しい意見をしにくい職場の場合、社員・部下の側が経営者・管理者に頼らずに自分たちで考え、現状の職場環境の中で結果を出そうと努力を続けるケースもあります。
現場を十分に把握していない経営者・上司には忖度をし、一方で実際の現場では自分たちがしっかりと成果を出そうとする、という雰囲気があれば、社員・部下の能力向上につながるでしょう。

●コミュニケーション力を高める
忖度文化が根付いている組織の場合、経営者・上司への気遣いができる社員を育てることになります。程よい忖度=気遣う力は組織内のコミュニケーションを円滑にし、上司と部下の間に生じる表立った衝突・対立を防ぐことに役立ちます。
また、目上の人に配慮できる社員は、顧客・得意先に対して接するときも相手側の気持ち・立場を汲み取れるようになり、社外の人間とのコミュニケーションをスムーズに行える能力を養えるでしょう。


ビジネスでは忖度のよい点を活かすことが大事

忖度と聞くとマスコミなどの影響で悪いイメージが先行しがちですが、全面的にデメリットしかない、というわけではありません。
忖度は経営者・上司の気持ちに配慮すること、すなわち相手側の立場に立ってものを考えることを意味します。こうした能力・センスは、ビジネスシーンにおいて交渉・取り引きを行う場合に重要です。

つまり、忖度にはよい面と悪い面の両面があり、よい面を活かせるように組織に取り込むことが大切といえます。
ビジネスの場では同じ忖度の慣習でも、業績悪化につながる悪しき組織文化を生み出している場合と、社内外におけるコミュニケーションを円滑にする組織文化を生み出している場合の2種類があり得ます。
両者を分けて考え、後者のみを取り入れられるような組織づくりを目指すのが望ましいでしょう。


まとめ

社員・部下側の目線から見ると、自分の出世のために経営者・上司に気に入られようとして行われる忖度は、組織にとっては悪しき忖度であり、無くすべき組織文化です。しかし自分の欲心・保身のためではなく、組織全体のことを考えて経営者・上司の意図を想像し、それを汲み取って自分なりにアイデアを考えることは、悪い忖度とはいえません。また、顧客・取引先の現状を汲み取り、配慮して前もってあれこれと手を打つことは、むしろよい忖度といえます。

忖度を受ける側、行う側のどちらであっても、ビジネスパーソンとして企業組織に関わる人は、悪しき忖度とよい忖度を見極める目をもつことが大事といえるでしょう。


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