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役員を目指す人、あるいは新たに起業しようと思っている人が、絶対に知っておかなければならないのは、役員報酬を決める際の法律上のルールです。ルールを無視すれば、ペナルティが課せられる場合もありますので、しっかりとチェックしておきましょう。
役員報酬の決定は会社設立後 3か月以内、毎月同額(定期同額)、さらに報酬額を変更する場合は、設立時か事業年度から3か月以内であれば一度だけ可能、賞与は会社設立後2か月以内、そして株主総会で決議するという5つの基本的なルールがあります。
自分で会社を設立したからといって、勝手に好きな報酬額を決めるわけにはいきません。ただし、株主総会で決めるのは役員報酬の総額です。役員1人ひとりの報酬は、取締役会または代表取締役の一任となることが多いことも覚えておきましょう。
この基本ルールに沿って、役員報酬や賞与の額が決められます。報酬額によって毎月の社会保険料や所得税、地方税などの納税額にも影響してくるため、いくらに設定するかは慎重に検討した方が賢明です。
役員報酬額を高く設定すると、法人としての利益が減るため、法人税を低く抑えられますが、社会保険料は上がることになります。
また、法人に対してだけではなく、経営者個人の所得にも所得税や住民税、社会保険料がかかり、納めなければなりません。ご存じのように個人の所得には累進課税制度が適用され、役員報酬を高く設定すると税負担が重くなります。
法人税と経営者個人の節税効果を考えて、役員報酬額を決めることが重要です。また、役員報酬額は経費として計上できるため、総合的に判断し、ルールに則って適正な報酬額を決めることが求められます。
実際に役員報酬額を決める際に、同業他社の支払額を参考にする人も多いようですが、税理士などに相談することも1つの選択肢です。その前に国税庁が発表している役員給与の平均額を参考にするといいでしょう。
「企業規模別及び給与階級別の給与所得者数・給与額」(国税庁)によると、資本金2,000万円未満の企業の役員報酬の平均額は534.2万円、2,000万円以上5,000万円未満が748.4万円、5,000万円以上1億円未満が1,035.2万円です。
もっとも、起業間もない企業の資本金は1,000万円未満が多く、収益も安定していないため、役員報酬も250万円から400万円に設定しているケースが多いようです。
役員報酬を決めるときの注意点は、まず損益を正確に予測することです。事務所費や従業員の給与、光熱水道費などの固定費や仕入金額、粗利を算出した上で、適正な役員報酬額を計算します。
当然、予測していた通りの利益がでるとは限らず、予想よりも利益が多ければ法人税を多く納めなければなりません。そのために資金繰りが圧迫してしまうようでは、スタートから経営が行き詰まることにもなりかねません。
いずれにしても、役員報酬は法律上のルールに則り、損益のバランスを十分に考慮した上で決める必要があります。著しくバランスを欠いた役員報酬額を設定すると、税務署からあらぬ疑いをかけられ、税務調査の対象となる可能性がありますので、くれぐれも注意しましょう。
せっかく苦労して起業すると、従業員の労働条件も役員の報酬額も、自分を基準に考えたくなるものです。しかし、そこには法的なルールがあり、損益のバランスの上に成り立っていることを意識しておく必要がありそうです。
■参考サイト
記事執筆に際し、参考資料として閲覧したサイトです。リンク先としてご使用される場合は、許可取りの要否などご確認いただけますと幸いに存じます。
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