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株式会社ソノリテが行った「リモートハラスメント」に関する調査*によると、回答者のおよそ4割が、いわゆるリモハラを経験していると答えています。
*調査方法:インターネット調査
調査期間:2022年10月17日(月)~2022年10月19日(水)
調査対象:週に1日はリモート勤務の20代女性(従業員500人以上の企業の正社員)、1,011人
働き方が変わっても、セクハラ、パワハラに続きリモハラまで登場してしまう現状です。現在のビジネス環境で何が起きているのか、ここではリモハラの実態と改善策などについて解説します。
令和3年に総務省が実施した調査**によれば、全国の企業の5割以上がリモートワークを導入しており、新型コロナウィルス問題以前の令和元年と比較すると、2倍以上にまで増加しています。
特に情報通信業や金融・保険業での導入割合が高く、リモートワークを導入している企業の9割以上は、在宅勤務によるリモートワークを選択しています。自宅というプライベートな環境で、業務のやりとりをしているわけです。
リモートワークが定着する中で、特有の問題も浮かび上がってきました。それがリモートハラスメント(リモハラ)です。簡単に言うと、リモートワーク中に起きるセクハラやパワハラをひとくくりにしたのがリモハラです。
リモハラは相手にとっては不快な言動になりますが、リモハラを行った当人が意図しない言葉や行動の可能性もあります。しかも対面ではない状況では、お互いのコミュニケーションが取りづらいため、ちょっとしたことがリモハラにつながるリスクもあります。
今回参考にした「リモートハラスメント」に関する調査では、「実際にリモハラを経験したことがある」と回答したのは全体の約4割で、具体的な内容は主に以下のようなものでした。(カッコ内は複数回答による割合)
・Webカメラを常に繋げた状態にするよう強要された(46.2%)
・業務中にチャットやメールなどで常時監視された(33.0%)
・オンライン飲み会への参加を強要された(32.5%)
・プライベートを詮索された(22.6%)
・業務に無関係なメールやチャットを送られた(10.2%)
この内容を見ると、業務状況を監視されているという圧力と、プライベートに立ち入られるという不快感がリモハラにつながっていることが分かります。
実際にリモハラと受け取られる言動について、大きく2つのパターンに分けて事例を挙げてみます。明確なリモハラのケースと、判断が難しいケースの2つです。
・Webカメラを常に繋げた状態にするよう強要する
・きわめて短い間隔で業務状況を報告させる
・仕事と無関係なチャットやオンライン会議を強要する
・SNSなどでプライベートなやりとりを求める
・服装やWebカメラの撮影範囲を指定する
・特定の人物だけをオンライン会議に参加させない
・オンライン飲み会に一方的に誘う
例えば上司にあたる立場からすると、部下の勤務状況を確認することも業務の一つです。ただしリモートワークでは、直接働いている様子をチェックできません。そこで、働いているという証拠の提供を求めるわけですが、それが相手にとって負担になる可能性があります。
また、異性間でのやりとりでは、業務とプライベートとの線引きを明確に設定しないと、たとえ同僚間だとしてもセクハラと判断されるかもしれません。
・勤務時間以外も含めて、時間の使い方などを指導する
・プライベートに関する話題に踏み込む
・室内の様子や生活音などをチェックする
・業務時間外にチャットやSNSで連絡する
職場でプライベートな話をする時と、リモートワークでプライベートな話をする時では、相手の受け取り方が違ってしまう可能性があります。コミュニケーションのつもりで気軽に話した内容が、相手にとってはリモハラになる可能性も考えなければなりません。
具体的な事例からも分かるとおり、リモハラの根本的な原因は、業務とプライベートとの区切りを設定するのが難しい点です。特に、自宅というプライベートな環境をオンラインでつなぐため、無意識に相手のプライベートに踏み込んでしまう可能性があります。
チームを管理する責任者の場合は、全体の業務進捗状況を把握するため、過度の業務チェックを実施してしまうことも考えられます。いずれにしても、対面でのコミュニケーション以上に、自身の言動に注意する必要があるでしょう。
今回参考にした「リモートハラスメント」に関する調査には、リモハラをなくすためにやるべきことに関する質問も含まれていました。その回答の上位3つを紹介しましょう。
①リモートワーク中のマナーやルールを定める(57.5%)
②社内に相談窓口を設置する(52.5%)
③社員教育を徹底する(35.9%)
まず取り組むべきことは、リモートワークに関するルールを規定することだと考えられます。その上で、業務とプライベートに明確な線引きをする必要があるでしょう。
もしもリモハラを受けてしまった場合はそのままにせず、社内の窓口に相談するか、もしくは外部の通報窓口を利用することが重要です。
リモートワークはすでに社会で定着しており、新型コロナウィルス問題とは関わりなく、今後も働き方の一つとして継続するでしょう。ただしまだルールづくりが追いつかず、リモハラのようにさまざまな課題が出てくることが考えられます。
今後は、仕事とプライベートとを区切る環境づくりが求められます。同時に、各個人が安心して快適に働くためのルールを規定しなければなりません。そして、リモハラを受けた場合のため、社内の相談窓口以外に、労働局や労働基準監督署などでも相談窓口を設置していることを、改めて周知しておく必要があるでしょう。
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