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スキルアップによる収入増や、有利な転職をするためのカギを握るとされているのが「リスキリング」です。しかし、何をどのように進めていくと効果的なのか、リスキリングに取り組む企業からは、戸惑いの声もあがっています。
経済産業省の定義によると、リスキリングとは「新しい職業に就くため、あるいは今の職業でこれから必要となる新たなスキルを習得する・させる」ことで、“学び直し”とも訳されています。
“人への投資”を重要政策に掲げ、個人のリスキリング支援に「5年で1兆円」を投じる方針を岸田首相が施政方針演説で示したこともあり、リスキリングへの注目度が一気に高まっています。
ところが、ITエンジニア・クリエイター専門エージェント・レバテック(レバテック株式会社運営)が、IT企業の経営層から課長までの管理職クラスを対象に実施した「リスキリングに関する意識調査*」によると、リスキリング施策実施の難しさが浮かび上がりました。
*調査概要
調査対象:IT企業の経営層・役員・部長・課長クラス 300名
調査年月:2022年12月26日~2022年12月27日
調査方法:Webアンケート調査
有効回答数:300名
調査主体:レバテック株式会社
実査委託先:楽天インサイト株式会社
調査結果によると、話題となっている割にはIT企業の経営層・管理職のリスキリングの認知度は34%です。そのうちの60.3%が、社員がITスキルを習得する必要性を感じていますが、リスキリングを実施することが難しいと感じている割合も57.4%です。
難しいと感じた点は、「参加社員の業務との両立」が40%ともっとも多く、ついで「社員の意欲・モチベーションの維持」が22.9%で続いています。
一方、社員へITスキルのリスキリングが必要と考える理由は、「ITリテラシーやスキルに差があるため」が41.4%で、「求めるスキルを持った人材の採用が難しいため」が23.2%、「社内でDX化を進める人材が不足しているため」が17.7%となっています。
さまざまな課題を抱えながらも、リスキリング施策を実施しているIT企業は20.3%です。実施せず、実施する予定もない企業は36%ですが、その理由は「現状では特に必要としていない」が40.7%で、「どんなスキルを身に着けさせればいいかわからない」が31.1%です。
まだリスキリング施策を実施してはいないが“検討中”という企業は、「リスキリングを実施するにあたっての人的リソースが足りない」、「社内にノウハウがない」がともに52.1%と半数を超えています。
人材不足と既存社員に対して、どのようなスキルを習得させるべきかなどが、リスキリングのネックになっていることが浮かび上がりました。
日本でリスキリングというワードが注目を集めるようになったのは、つい最近のことですが、欧米では2015年頃から広まったワードです。
広まった背景にあるのは、進化するデジタルテクノロジーによって、失われてしまう仕事が出てくる可能性があることです。つまり、失われる可能性の高い仕事に就く就労者を、デジタルやグリーンなどの成長産業への労働移動がしやすくなるために、新たなスキルを“習得する・させる”ということです。
リスキリングによって、プログラマーやシステムエンジニアに転身できれば、収入の面でも転職をするうえでも、有利に働くであろうことは考えられます。しかし、現在の仕事に従事しながら、社会が求める高レベルのスキルを身につけられるのか、といった根本的な課題もあります。
日本経済の停滞を打ち破る切り札として注目を集めている“リスキリング”ですが、成果をあげるためには、まずは、何のために学び直すのかという目的を明確にすることです。さらに、国には資金面のサポートだけでなく、人的リソースやノウハウを提供することも求められることになりそうです。
■参考サイト
PR TIMES|リスキリングを行うIT企業の経営層・管理職のうち、半数以上が難しさを認識
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