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企業の28%がネット銀行を利用していることが、帝国データバンクの調査で明らかになりました。ネット銀行とは、インターネットを介して金融サービスを提供する新形態の銀行です。なぜ、ネット銀行の利用が増えているのでしょうか。
ネット銀行は、店舗もATMも持たず、取引はすべてインターネットを介して行います。そのため、店舗運営コストや人件費を低く抑えることができるため、振込手数料を一般の銀行よりも安く設定し、金利を高く設定することもできます。
また、口座開設や振込みなどもインターネット上ででき、店舗に出向く必要がありません。手数料や金利の優位性に加え、振込みなどもオフィスや自宅からでもできる利便性から、企業だけでなく個人の利用も年々増える傾向を示しています。
低金利時代に、ネット銀行の優位性ばかりが目につくように感じるかもしれません。しかし、融資限度額が低い、融資を扱わない、小切手などの証券類の振り出し・受け入れなどを行わない、といったネット銀行もあり、取引を開始する場合は注意する必要があります。
インターネット上で取引を完結できる高い利便性と、手数料や利用料が低く抑えられていることは、企業にとっては大きな魅力となっているようです。とくに、設立間もない企業や小規模事業者の間で、ネット銀行へのニーズが高くなっています。
企業規模別にみていくと、ネット銀行と取引している大企業は22.8%で、中小企業が29.0%、小規模企業は30.6%です。また、創業5年未満の企業の43.6%がネット銀行を利用しているなど、小企業事業者と創業間もない企業にとっては、メガバンクや地方銀行よりも、ネット銀行の方が使い勝手がよいのかもしれません。
また、若い経営者ほど、ネット銀行との取引に積極的なことも、この調査からうかがえます。39歳以下の経営者のネット銀行の利用は30.7%で、40歳代が30.2%、50歳代が29.9%という結果で、年齢が若いほど、デジタル化への抵抗感が少ないことも影響しているようです。
新しく起業するとなれば、銀行との取引は欠かせません。しかし、どれほど綿密な事業計画書を提出しても、実績のないスタートアップが、そう簡単に融資を受けられるわけではありません。
ネット銀行は、融資限度額が一般の金融機関よりは低く抑えられているものの、融資の審査期間も短く、煩雑な手続きも簡略化されているなど、融資のハードルが低くなっています。
ですから、自己資金をある程度用意し、金融機関からの融資に頼らずとも起業が可能であれば、何も一般の金融機関をメインバンクにする必要はありません。むしろ、手数料や金利の優位性、さらにネット上で完結できるネット銀行と取引する方がプラスとなりそうです。
物価高騰によるコストの負担が増え、企業の収益を圧迫しているため、低コストのネット銀行を利用する企業は、これからますます増加していくことが見込まれています。
利便性や低コストで利用できることは、ネット銀行の大きなメリットです。しかし、やはり気がかりなのはセキュリティ上の問題です。
フィッシング詐欺やウイルス感染によって、IDやパスワードなどのアカウント情報が流出する被害も増えています。流出したアカウントが不正利用されてしまうと、預金が勝手に引き出されてしまうリスクもあるでしょう。もちろん、ネット銀行もセキュリティ対策を万全に行っていますが、ネット銀行を利用する場合は、不正利用の被害に遭う可能性があることを、常に意識しておく必要がありそうです。
金融取引において、高い利便性やスピード感を求める動きが加速しており、新たなニーズが出てくることも考えられます。ネット銀行も、その一つですが、これからは金融業に対する規制緩和も必要となってくるのかもしれません。
■参考サイト
PR TIMES|企業の28.0%が「ネット銀行」利用 新興企業で4割超、若い社長の企業で利用進む 企業規模が小さいほど割合高く、魅力は「低コスト」
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