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企業にとって優秀な人材の確保は重大なテーマであり、近年ますます人材確保の重要性が高まっています。こうした状況下で、「ブラック求人」という噂が立つと、ブラック企業の仲間入りをして誰も応募をしてくれなくなります。
ハーバード大学のマネジメント誌は、このブラック求人について、求職者側の視点から興味深いレポートを上げています。そのポイントを分析すると同時に、企業側が人材確保で注意するべき点を検証しましょう。
昨今耳にするブラック企業という言葉について、実は明確な定義はありません。一般的には、長時間労働や重いノルマを課し、本来払うべき賃金を支払わず、日常的にハラスメント問題を抱えているような企業を指します。
求職者がそのようなブラック企業を見分けるために、最も有効な方法の一つが求人情報を詳細にチェックすることです。
今回発行されたハーバード・ビジネス・レビューでは、求職者がブラック企業を見極めるための、さまざまな重要ポイントが紹介されています。
ハーバード・ビジネス・レビュー(Harvard Business Review:以下HBR)とは、ハーバード大学の経営大学院「ハーバード・ビジネススクール」が刊行するマネジメント誌です。
大学教授、科学者、企業経営者など、世界最高クラスの知識人が執筆しており、英語版以外にも日本語を含めて、九つの言語に翻訳されています。
今回のHBRでは、面接の重要性が大きなテーマとして取り上げられています。一般的に採用面接とは、企業側(雇用主)が求職者に対して行うものですが、HBRによれば、反対に求職者が企業側を試す場でもあるというのです。
つまり、面接時の求職者は、自分が面接を受けると同時に、相手側がどういう企業なのか、ブラック企業に該当しないかどうかなどを、しっかりと見極める必要があるわけです。
ブラック企業では、従業員は消耗品並みに扱われ、限界を超えるとバーンアウト(燃え尽き症候群)に陥り、仕事ができなくなる場合もあります。それを防ぐためには、転職や就職時にブラック求人を避けなければなりません。
ここから、HBRで指摘されたブラック求人の特徴を見極めるために注意すべき六つのポイントについて解説します。面接を受ける時に、求職者はこれらのポイントが当てはまらないかどうか、うまく質問して聞き出す必要があります。
これは裏を返せば、優れた人材を採用するために、企業側が注意すべきポイントであるともいえるでしょう。
働き方に柔軟性がなく、仕事量と期限の配分方法もはっきりせず、スケジュール変更を正確に通知してくれないなど、快適に働ける環境づくりができていない。
社員の評価に関する指標がなく、昇進の基準もあいまいで、同僚と平等に扱われていないなど、仕事上の平等性や多様性の尊重に欠けている。
標準的な仕事量と週末の業務配分がはっきりせず、スケジューリングの基準がなく、仕事とプライベートの区切りが明確ではないなど、安定的にこなせる仕事量を超える可能性がある。
どれくらいのスパンで昇進が行われるのか決まっておらず、給与についての明確な規定もなく、キャリアアップ制度がないなど、モチベーションを高めるための仕組みに欠けている。
業務に対するフィードバックがなく、ミスをした場合の責任もはっきりせず、チームのモラルを高める仕組みがないなど、組織として社員を支える意識が低い。
企業としての目標やゴールがあいまいで、自分の仕事に対する価値が見いだせず、個人の目標達成度を測る基準がないなど、仕事上での明確な価値判断の仕組みに欠けている。
面接時の質問で、これらのポイントに当てはまる点が多い時には、別な企業に目を向けるべきでしょう。
また企業側がポイントに挙げた問題を抱えている場合、人材採用はかなり難しいと認識したほうがよいでしょう。
面接で求職者からの質問を受けたら、採用担当者は正確に、そして誠実に答えを返すことが求められます。あいまいな回答しかできないと、相手は転職・就職先としてふさわしくないと判断するかもしれません。
もしもすぐには答えられない質問の場合は、確認してから後日連絡するという方法もあります。採用担当者が、どれだけ相手に対して真剣に向き合うかによって、企業の人材確保の成否が決まるのです。
日本社会は慢性的な人材不足で、現在も売り手市場だといわれています。そのため求職者は、少しでも働きやすく条件がよい企業を選び、もしもブラック求人の疑いを抱くと、決してその求人には応募しません。
ブラック企業に当てはまるのは、主に明確な目標やゴールをもたない企業や、仕事に対して明確な基準や規定を設けていない企業です。今回のハーバード・ビジネス・レビューで挙げられた注意点を参考に、あらためて自社の環境を見直して、人材が集まる企業を目指す必要があるでしょう。
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