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休職とは単に仕事を休むことではなく、仕事が継続できなくなり長期的に職場を離れることです。休職は社員にとっては生活に関わる大問題であり、雇用する企業にとっては戦力低下につながる緊急事態です。
休職となる理由や、休職することで考えられる影響はどんなことがあるのでしょうか。休職の現状と対策について検証してみましょう。
目次【本記事の内容】
厚生労働省が公開している「治療と職業生活の両立等の支援の現状について」という資料によると、職業関連疾患の中で最も多いのはストレス性疾患です。その患者数はほかの疾患に比べると、突出して多くなっています。
また、離職理由の中でも定年退職を除けば、健康面の問題で職を離れた人の割合が最も高くなっています。こうしたデータからは、一時的にせよ職場を離れる社員にとって、仕事上で健康を害することが最大の問題になっていることが分かります。
では健康面の問題も含め、休職した場合には適切な支援が受けられるのでしょうか。この点についてのアンケートでは、「私傷病に関する休業制度がある」と回答したのは、対象企業全体の58.6%でした。
ただし企業規模により対応は異なり、従業員1,000人以上の場合85.3%で、50人未満では38.3%とかなりの開きがあります。
さらに「私傷病での休業中に賃金が支給される」と答えた企業は、全体では41.4%で、「支給されない」企業は58.2%にも上ります。ただしこの場合でも、企業規模が大きいほど支給するという割合が高くなります。
つまり、ストレスや健康面の問題で休職した場合、ある程度生活が保障されるのは全体の5割に満たず、休職制度の対象にすらならない人も4割程度であり、労働者にとって休職とは、非常にリスクの高い状況だといえるのです。
出典:「治療と職業生活の両立等の支援の現状について」厚生労働省
ここで改めて、休職とはどういう状況なのか考えてみましょう。実は休職とは法的根拠に基づいておらず、労働基準法などで制度として定義されていません。 実際には、それぞれの企業が就業規則などで独自に規定しています。
ほかにも社員の都合による休みについては、育児休業や介護休業などがありますが、これらは法的に認められた「休業」です。これに対して休職は、あくまでも社員本人が仕事を続けられないと判断して、会社と協議の結果、一定期間の休みをとることです。
休職した社員は、精神面や肉体面での問題が解決するまで、一定期間職場から離れることになります。結果的に本人のみならず、雇用する企業にも大きな影響が及びます。そのデメリットを双方の立場から見てみましょう。
原則的に休職期間中は賃金が支払われません。休職に入った直後は、有給休暇などを消化することになりますが、その期間を越えると給与は保証されません。一方で社会保険料などは、企業に在籍する限りは支払い義務が継続します。
また厚生労働省の調査結果によると、企業内で規定された休職期限を越えた場合、復職が難しい場合には退職になるケースが半分以上を占めています。 企業の社内規定により異なるものの、休職した社員は自らリスクを背負い、生活の不安も抱えながら復職を目指すという、非常に厳しい現実に直面することになるのです。
雇用する側で最大の問題は、貴重な人材が欠けてしまうことです。もしも社員が復職できない場合、完全に一人の人材を失ってしまうことになります。
複数の休職者を出した企業については、職場環境が問題視される可能性もあるでしょう。社会的イメージも下がり、企業ブランドの低下につながる可能性もあります。
こうしたデメリットを考えると、休職者が出た場合には制度面で支援して、なるべく早く安心して復職できる仕組みづくりが必要だといえます。
前述したとおり、休職者に対する現在の取り組みは決して整っているとはいえません。人材不足の日本で、貴重な社員が働けなくなることは何よりも企業の戦力を低下させてしまいます。
そこで、産業医をサポートする機関などでは、以下のような休職者支援制度を整備することを推奨しています。
・メンタルヘルス対策の強化
・管理職と社員それぞれに対する研修
・産業医の活用強化
・就業規則での休職規定の整備
・休職から復職に至るまでのマニュアル整備
・リワークプログラムの活用
こうした取り組みを強化することで、職場環境を改善することが重要です。休職者が出ないようにする仕組みづくりが、これからは一層強く求められるでしょう。
現代では、働きやすいことや社員を大切にすることなども企業ブランドを高める要素として評価されます。休職者を多く出してしまうことは、顧客や取引先からの評価を下げる結果にもつながるのです。
企業にとって大切なことは職場環境を整え、休職者を出さないような仕組みをつくることと考えられます。もしも休職者が出てしまったら、その社員が安心して休みをとり、なるべく早く職場に復帰できる仕組みをつくることです。貴重な人材をいかに大切にするかによって、企業価値を問われる時代が来ているのです。
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