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社会を維持するために不可欠な、道路・橋・トンネルなどのインフラは、高度成長期以後に整備されたものが多く、すでに建設後50年近く経って劣化が進んでいます。 インフラ整備には常に点検と補修が必要ですが、国や自治体では対応する人材が不足しています。その問題を解決するため、現在インフラ整備に最新技術を活用する動きが加速しています。
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目次【本記事の内容】
インフラの老朽化が原因で、トンネルが崩落して死者が出るなど、悲惨な事故はこれまでにも繰り返し起きています。 国土交通省の資料によれば、2020年時点で全国にあるトンネルの約22%が、すでに建設後50年を経過しています。この数字は2040年になると、50%を超えると予想されています。
こうしたインフラのうち、トンネルは国と都道府県が主体で管理していますが、それ以外の道路や橋、下水道などは全体の6~8割が市町村による管理です。ところが、ここで深刻な問題が二つ生じているのです。
一つは、市町村の土木費がピーク時の1993年に比べて50%程度にまで減少していること、もう一つは、市町村の技術系職員の減少がほかの部門と比較して加速していることです。
このように、インフラの老朽化が進行する一方で、それを管理する側の規模が縮小するという、社会全体にとって危機的な問題が全国で生じています。 インフラの点検と補修は、今後大幅に作業が増えると考えられるため、人材不足の解消と効率化を同時に進めなければなりません。
インフラ整備を効率的に進めるためには、補修が必要な箇所を見つけ出す必要があります。しかし自治体の人員だけで、全国に広がるインフラをくまなく点検することは、現実的には不可能でしょう。
そこで、主にソフト開発を手掛ける東京のあるスタートアップが、一般市民が協力できるインフラ整備のアプリケーションを開発し、サービスの提供を開始しました。
このシステムの概要を説明すると、まず自治体側が公式ウェブサイトに専用アプリケーションを導入します。一方で市民側も同様に、自身のスマートフォンなどにアプリケーションをダウンロードします。
システム稼働後、たとえば市民が身近なインフラに破損箇所を見つけたとします。その際、市民はアプリケーションを起動して、その箇所の写真と位置情報を自治体に報告します。自治体側ではそのデータをもとに、優先度が高い補修箇所を決めて対応するわけです。
使用方法の周知は必要ですが、地域住民がインフラ管理に参加するという仕組みは、大規模な人材確保と同等の価値があるでしょう。自分が住む地域のインフラ改善のためなら、協力する市民は決して少なくないはずです。
現在、国ではインフラの長寿命化を図ると共に、最新技術を使った点検・補修システムの開発も進めています。この分野でもAIが注目されており、AIとドローンや作業用機器を組み合わせて、点検から補修までを自動化するシステム構築を急いでいます。
とはいえ、技術開発とその導入には時間もコストもかかります。それに対して、一般市民に参加してもらうというアイデアは、すぐに始められるのみならず、必要なコストも最低限に抑えられます。今後の新しいビジネスモデルとしても、注目すべき取り組みではないでしょうか。
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■参考サイト
PR TIMES|インフラ補修箇所を市民が行政やメーカーに報告できる地理情報アプリケーションlocataを提供開始
国土交通省|国土交通省におけるインフラメンテナンスの取組
SoftBank|インフラ老朽化問題の現状と事故事例
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