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電波オークション制度の導入に関して、総務省の有識者会議で議論を進められており、5月30日に導入を促す報告書案が公表されました。海外ではすでに導入が進んでいる電波オークション制度は、日本でも導入されることになるのでしょうか。
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電波オークションとは、携帯会社などに必要な周波数の割り当てを、競争入札で行う制度です。電波オークションの導入が検討されているのは、携帯電話のプラチナバンドなどと比べ電波の届く距離が短い6GHzを超える周波数帯です。
この6GHz超の周波数帯は、広範囲には電波を届けられませんが、狭い範囲には大容量のデータを届けられます。その特長を生かし、農業分野などでの活用が見込まれていることから、オークション制度導入で新規事業者の参入を促したい考えです。
また、高速・大容量の通信規格5Gの利用拡大にもつなげていく狙いがあり、有識者会議では、この夏を目途に総務省への提言を取りまとめるとしています。
日本では携帯電話の周波数は、各事業者のエリア整備計画や事業計画などを審査する「総合評価方式」によって割り当てられています。
通信用の電波はいわばインフラです。ずさんなエリア整備や事業計画を提出した事業者に電波を割り当てるわけにもいきません。しかし、OECD加盟国のなかで電波オークションを導入していないのは日本だけとなっています。
日本がデジタル化で世界に遅れている一端を示す典型例といえるかもしれません。しかし、2011年頃に、電波オークション導入に向けての議論が行われたことがあり、その際は残念ながら議論がまとまらず頓挫してしまいました。
総務省は電波オークション導入を完全に諦めたわけではありません。2021年の東名阪以外での1.7GHz帯の免許割り当て審査に、「特定基地局開設料」を比較審査項目に盛り込み、一部に電波オークション的要素を取り入れることにチャレンジしています。
比較審査とは、周波数を割り当てる際に複数の基準を設け、申請した携帯会社がそれらをどれくらい満たしているのかを審査する仕組みです。この仕組みが、通信事業への新規参入を阻んできた要因ともされています。
日本の携帯電話料金の高さは、基地局整備などの先行投資をしてきた事業者が既得権益を守ろうとする動きや、免許割り当ての権限をもつ総務省の思惑などもあるようです。6GHz超の周波数帯のオークション制度導入が、その解消につながるかどうかも注目したいところです。
電波の割り当てが公平に行われているかどうかは、審査をする仕組みよりもオークションの方が透明性は高いといえるでしょう。
しかし、競争入札となれば、入札額の高騰につながります。つまり、落札できるのは高額な入札額を提示できる資本力のある事業者に限られ、特定事業者に周波数が集中することにもなりかねません。
電波が届く距離が短い6GHzを超える周波数帯とはいえ、電波オークション導入によって、周波数を細かい地域ごとに割り当てられるようになれば、新規事業者の参入やイノベーションへの期待も膨らむかもしれません。
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