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SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、国際連合サミットで2015年9月に掲げられた、国連加盟国193ヶ国が達成を目指す目標を指しています。地球のかけがえのない資源や人々の基本的人権が、資本主義や文明によって侵食されすぎるあまり、不可逆的な崩壊、文明滅亡に繋がっていかないよう、今のうちに侵食を止めておこうとするための目標となっています。
SDGsは、17の目標が列挙されていますが、この記事では「目標9」について解説します。
目標9は「強靭なインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、技術革新の拡大を図る」と定められています。
インフラとは「社会基盤」という意味で、具体的には、上下水道、ダムや浄水場、発電所や電線網、ガス管、電話回線、テレビやラジオの公共電波、インターネット接続設備、道路、鉄道、港湾、空港などを指します。それがなければ住民の現代的な生活が成り立たない、重要な設備です。
しかし、いわゆる発展途上といわれる国々では、自然災害のたびに深刻な停電や断水などが起きたり、道路や鉄道などが崩壊したりすることが少なくなく、復旧にも時間がかかることが問題となっています。インフラが整わない中で、住民のクオリティ・オブ・ライフが低下したままでは心身の健康を害することもあるため、設備を強固にすることが目標に掲げられたのです。
現代では、緊急時の生命や身体、財産を守る情報を、各個人が迅速に獲得するための重要なインフラとして、インターネットが位置づけられています。もちろん、インターネットは電気がなければ動きませんので、停電のリスクもできるだけ抑えなければなりません。
先進国は積極的に技術支援をして、発展途上国のインフラを強靭にしていく国際協力を惜しんではならないのです。場所によっては、電話回線すら引かれていない地域に、突如、Wi-Fi回線網が敷かれるなど、最新技術が一足飛びに導入されることもありえます。これを「リープフロッグ(跳びガエル)現象」といいます。
国連は、この目標9『産業と技術革新の基盤整備』について、さらに細分化・具体化された8つの目標を掲げています。
●9.1 質が高く信頼できる持続可能かつレジリエントな地域・越境インフラなどのインフラを開発し、すべての人々の安価なアクセスに重点を置いた経済発展と人間の福祉を支援する。
⇒ レジリエントとは、「回復能力」「柔軟な復旧能力」というほどの意味です。また、復旧を促進させるためには、国境を超えて複数の国々が共有する「越境インフラ」が重要な位置づけとなります。ある国で大災害が起き、たとえ大停電が起きても、周辺国が無事であれば、電力の供給を速やかに行い、復旧を促進することが可能です。
●9.2 包摂的かつ持続可能な産業化を促進し、2030年までに各国の状況に応じて雇用およびGDPに占める産業セクターの割合を大幅に増加させる。後発開発途上国については同割合を倍増させる。
⇒ 「包摂的」とは、ここでは基盤の弱い国を、基盤の強い国が見捨てず、外側から支えて包み込むイメージです。貧困に見舞われた社会が経済的に豊かとなる過程で、産業化は「不可欠」です。
●9.3 特に開発途上国における小規模の製造業その他の企業の、安価な資金貸付などの金融サービスやバリューチェーンおよび市場への統合へのアクセスを拡大する。
⇒ 「バリューチェーン」とは、企業が商品やサービスに付加価値を付け足して、顧客へ届ける一連の流れをいいます。
●9.4 2030年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術および環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。すべての国々は各国の能力に応じた取り組みを行う。
●9.5 2030年までにイノベーションを促進させることや100万人当たりの研究開発従事者数を大幅に増加させ、また官民研究開発の支出を拡大させるなど、開発途上国をはじめとするすべての国々の産業セクターにおける科学研究を促進し、技術能力を向上させる。
⇒ 「イノベーション」とは、経済発展に繋がる技術革新のことをいいます。
●9.a アフリカ諸国、後発開発途上国、内陸開発途上国および小島嶼開発途上国への金融・テクノロジー・技術的支援の強化を通じて、開発途上国における持続可能かつレジリエントなインフラ開発を促進させる。
●9.b 産業の多様化や商品への付加価値創造などに資する政策環境の確保などを通じて、開発途上国の国内における技術開発、研究およびイノベーションを支援する。
●9.c 後発開発途上国において情報通信技術へのアクセスを大幅に向上させ、2020年までに普遍的かつ安価なインターネット・アクセスを提供できるよう図る。
⇒ 「普遍的」とは、ここでは「広く行きわたる」という意味です。
SDGsの「目標9」は、インフラが脆弱な国や地域に対して、先進国などが積極的な技術協力を行うよう求める内容です。
世界中の人々が助け合いながら、地球環境を壊さないかたちで、途上国の発展を促し、世界中の人々がよりよい暮らしを享受する願いが「包摂的で持続可能な産業化」という言葉に込められています。
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