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従業員が安心して働くために、法律によって定められた福利厚生の費用が「法定福利費」です。健康保険(社会保険)や厚生年金保険の費用などを含み、一定数以上の従業員を雇用している事業者は必ず負担しなければなりません。
法定福利費は経費として計上できるため、正しい計算方法で正確に仕訳すれば節税対策にもなります。この記事で法定福利費の概要をつかみ、日々の会計業務に活かしてください。
⇒実は節税にも繋がる福利厚生!正しい選び方を理解していますか?
福利厚生が充実している企業は、就職や転職の選択肢として有利になるといわれています。福利厚生費とは、従業員の福利厚生に対して企業が負担する費用のことで、法定福利費と法定外福利費との2つに分けられます。つまり法定福利費は、福利厚生費の一部になるのです。
ただし、法定外福利費は福利厚生費として仕訳されるため、法定外福利費を福利厚生費と呼ぶ事例も多く見られます。そのためここからは、福利厚生費から切り離し、法定福利費に絞って解説を進めます。
法定福利費には6つの種類があります。ここでは3つの分類にわけて解説します。
社会保険はすべての法人と、従業員5人以上の個人事業所の加入が義務づけられています。代表者や役員をはじめ、正社員は全員加入する必要があり、要件を満たすアルバイトやパートにも加入義務があります。
その1つは「健康保険」で、従業員とその家族に対する医療用の保険です。もう1つの「厚生年金保険」は、従業員の老後、もしくは障害や死亡に備えるための保険です。
従業員が1人でもいれば、正社員やアルバイトなど業務形態を問わずに、労働保険への加入義務があります。労働保険にも2種類あり、「労災保険」は従業員の通勤中や業務中の負傷などを補償する保険です。また「雇用保険」は、失業したり雇用継続が困難になったりした場合に、労働者に対して各種手当を支給する保険です。
「介護保険」は基本的に40歳以上の従業員が加入し、老後に介護が必要になった場合に利用されます。また「子ども・子育て拠出金」は事業者から徴収され、国や自治体の子育て支援サービスに利用されます。
法定福利費は細かい計算方法が規定されており、事業主と従業員との負担比率が異なる場合もあります。ここでは、それらの計算方法の概要を紹介します。( < >内が標準計算式 )
< 標準報酬月額 × 保険料率 >
労使50%ずつの折半で支払います。保険料率は「協会けんぽ」と「健康保険組合」などにより異なるため、詳細は加入している組合の規定で確認する必要があります。
< 標準報酬月額 × 厚生年金保険料率18.3% >
労使折半で支払います。保険料率が18.3%に固定されているため、事業主と従業員はそれぞれ9.15%ずつ負担します。
< 賃金総額 × 労災保険料率 >
事業者が100%を支払います。保険料率は事業内容により異なり、通常は0.3%~8.8%の間です。ほかの保険と異なり、1年分を全額まとめて納付します。
< 賃金総額 × 雇用保険料率 >
業種により労使の支払い比率が変わります。また保険料率も業種により1.35%~1.65%の間で変わります。労災保険と同様に、1年分を全額まとめて納付します。
< 標準報酬月額 × 介護保険料率 >
労使折半で支払います。基本的には40歳以上65歳未満か、65歳以上かによって保険料が決まります。
< 標準報酬月額 × 子ども・子育て拠出金率0.36% >
事業者が100%を支払います。保険料率は0.36%に固定されています。
このように法定福利費は保険料率の規定が複雑なため、経理担当者は詳細を把握しておく必要があります。従業員の保険料に関しては、毎月の給与からの天引きが一般的です。
法定福利費の仕訳は、従業員から預かった時と納付をした時との2回行います。例えば25万円の給与から法定福利費5万円を預かった場合、勘定科目は借方に「給与手当等」で25万円、貸方に「普通預金」20万円と「預り金」5万円を仕訳します。
保険料を納付した場合は、借方に事業主の「法定福利費」5万円と従業員の「預り金」5万円を仕訳し、貸方に「普通預金」で合計の10万円を仕訳します。(ここでの金額は、あくまでも説明のための数字です。)
もしも故意に保険に加入せず、法定福利費を支払わなかった場合には、政府や年金事務所による調査ののち、過去にさかのぼって徴収と加入手続きが行われます。悪質なケースと認められると、懲役刑または罰金刑を科される可能性もあります。
法定福利費は法律によって義務づけられており、規定に従って事業主と従業員がそれぞれの保険料を納める仕組みです。経理担当者は保険の内容や要件を正しく理解し、必要であれば会計ソフトなどを使って正確に費用を計算しなければなりません。
事業主にとっては経費で計上できるので、決算前に賞与を計上するなど、上手にタイミングを合わせることで節税にもつながります。経営上絶対に必要な経費ですから、仕組みに精通して最大限にメリットを活かしましょう。
※本記事の内容について参考にする際は、念のため関連省庁や専門家にご確認ください
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