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インボイス制度のスタート直前 あらためて理解しておきたい制度の仕組み

公開日2023/08/15 更新日2023/08/14


令和5年(2023年)10月からインボイス制度が開始されます。経理関連のクラウドサービスを提供している事業者も、適格請求書発行事業番号を自動読み取りする機能をサービスに加えるなど、インボイス制度開始に合わせて新機能の提供開始を発表しています。適格請求書を発行する事業者、受領する事業者の双方が、10月に向けて対応が必要です。


そこで今回は、インボイス制度の概要についてあらためて解説していきましょう。



インボイス制度とは?新たな仕入税額控除の仕組み

インボイス制度とは、令和5年10月からスタートする新たな仕入税額控除の方式のことです。


仕入税額控除とは、生産や流通など、消費者が購入に至る前の段階における取引で、二重三重に消費税がかからないようにするための控除制度のことです。


たとえば「事業者」が「仕入先」から原材料品を購入し、それを加工して「消費者」に販売している状況を想定してみましょう。このとき、事業者は仕入先から1万円の原材料を購入し、商品となるように加工した上、消費者に対して3万円で販売しているとします。


事業者は仕入先から1万円の仕入品を購入するとき、10%かかる消費税を支払う必要があります。このときの消費税額は1,000円です。一方、消費者が事業者から商品を購入する場合、商品代は3万円なので3,000円の消費税を事業者に支払います。


この場合そのまま考えると、事業者が税務署に納めるべき消費税は、消費者から受け取った3,000円です。しかし事業者は仕入れを行う際に、仕入先に対して1,000円の消費税をすでに支払っています。そうなると事業者は商品が売れた場合、最終的に総額4,000円もの消費税を負担することになります。


こうした状況に対して国・国税庁は、事業者の負担を減らすべく、実際に税務署に納める消費税は「売上時に受け取った3,000円の消費税」から「仕入れのときに支払った消費税1,000円」を差しひいた2,000円でよい、とする制度を導入しました。これが仕入税額控除です。


仕入税額控除の適用を受けるには、令和5年9月30日までは「区分経理(軽減税率が適用される消費税8%の取引と消費税10%の取引を、税率ごとに区分する経理)に対応した帳簿・請求書を保存すること」「法定事項を帳簿に記載すること」「区分記載請求書を保存すること」の3点だけでした。


しかし、令和5年10月1日から、この仕入税額控除の適用条件が変更されます。これがいわゆるインボイス制度です。


インボイス制度の開始後は、仕入先から「適格請求書(通称:インボイス)」を受け取らないと、事業者は仕入税額控除を受けられなくなります。適格請求書とは、現行の「区分経理による請求書」の中に、「登録番号」「適用税率」「消費税額等」の記載が追加された書類・データのことです。適格請求書を発行できるのは、適格請求書の発行者として登録している事業者のみとされます。


インボイス制度の導入で生じる問題

事業者としては、仕入先から適格請求書を発行してもらえば、これまでと同様に仕入税額控除を受けられます。ただしこの場合、売上1,000万円以下(年間)の仕入先に問題が生じる場合があるのです。税制度上、売上1,000万円以下の個人事業主は、負担軽減のため免税事業者に位置づけられています。


つまり、税務署に消費税の納税義務が免除されているのです。しかし「適格請求書発行事業者」に申請・登録すると、税制上、一転して課税事業者と位置づけられます。つまり、消費税の納税義務が発生するのです。


売上1,000万円以下の仕入先は、インボイス制度開始後も、引き続き免税事業者として事業を続けることはできます。しかしこの場合、取引相手である事業者は仕入税額控除が受けられません。先のケースを参照するなら、事業者は4,000円もの消費税負担が求められるわけです。


事業者としては、仕入税額控除の適用が可能な適格請求書事業者の仕入先と取引を望むでしょう。そのため仕入先は免税事業者のままでいると、事業者から取引を打ち切られるリスクが高まります。しかし、適格請求書発行事業者として課税事業者になると、売上1,000万円以下でも売上の10%を消費税として納める必要があります。個人事業主など売上1,000万円以下で事業を行っている場合、どちらにしても不利になるのです。


インボイス制度が導入された理由

インボイス制度の導入理由は、正確な消費税額及び消費税率を把握するためです。令和元年10月から消費税の軽減税率が導入。企業が行う取引の中に、税率8%のケースと税率10%のケースが入り混じるようになりました。商品ごとに消費税の納税額を正確に算出・把握するため、国として適格請求書の発行・保存を事業者に求めるようになったのです。


インボイス制度導入により、請求書で生じ得るミスや不正を減らせます。たとえば、仕入れをした原材料品が本当は消費税率8%だったのに、書類上で10%と記載すれば、その差額は不当な利益となります。こうした事態を無くすことがインボイス制度の目的です。


まとめ

インボイス制度の開始に向けて、各企業・自営業者(個人事業主)は対策を考えておく必要があります。とくに請求書の様式が変わるため、発行する側・受領する側双方とも、経理システムの見直し・改変が必要となるでしょう。


インボイス制度が導入される令和5年10月1日以降、適格請求書発行事業者以外から仕入れをすると、仕入税額控除は受けられません。ただし、急な変化による悪影響を抑えるため、経過措置が設けられています。


これにより、「令和5年10月1日~令和8年9月30日まで、免税事業者からの仕入れにつき80%の仕入税額控除が可能」「令和8年10月1日から令和11年9月30日まで、免税事業者からの仕入れにつき50%の仕入税額控除が可能」です。売上1,000万円以下の免税事業者との取引に限り、経過措置が設けられています。内容を十分理解し対応するようにしてください。


※本記事の内容について参考にする際は、念のため関連省庁や専門家にご確認ください


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