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PyCPA
PyCPAは、テクノロジーの進化を武器に次世代の担い手となる探求者たちのコミュニティです。 もともとは、プログラミング言語Pythonに関心のある公認会計士(CPA)の勉強会として発足しましたが、現在ではより広く、テクノロジー全般に興味を持ち、探求する意欲のある、会計士、経理財務人材、エンジニアなどがメンバーとなって活動しています。 PyCPAは毎月勉強会を開催しており、もくもく会やセミナー、参加型ワークショップを行っています。ChatGPTをはじめとする生成系AIの話題が盛り上がりをみせ、実際に様々な業務での活用が進んでいるが、あなたの周りではいかがだろうか?
AIに限らず、新しい技術やツールが生まれる度に今の業務の”当たり前”が変わっていくことになる。その動きは管理部門も例外ではなく、数字を扱う経理部門においては特に顕著といってよいだろう。 しかし、様々なトレンドが生まれる中、どんな技術を身につければ良いかわからずにその学習に手を付けられていない人も多いのではないだろうか?
今回の記事では、会計×ITの書籍としては異例の増刷を重ねている人気の書籍「Pythonではじめる 会計データサイエンス」(書籍公式サイトへのテキストリンク)の著者4名の方々に、管理部門の中でも特に経理財務に関わる方々が「今後、身に着けるべきスキルや学ぶべき技術は何か?」についてお聞きしました。
◆著者プロフィール
稲垣 大輔(いながき だいすけ)
公認会計士・税理士・システム監査技術者。法政大学経済学部在学中に公認会計士試験に合格後、有限責任監査法人トーマツ・PwC税理士法人等を経て、稲垣大輔公認会計士事務所を設立。監査法人Veritaパートナー・日本公認会計士協会東京会IT委員会副委員長・NPO法人の監事などを歴任。
小澤 圭都(おざわ けいと)
公認会計士。慶應義塾大学経済学部卒、早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。有限責任監査法人トーマツにて金融機関の監査等に監査等に従事後、現在はジャパン・ビジネス・アシュアランス株式会社にて決算支援やITによる業務効率化を推進。日本公認会計士協会東京会IT委員を務めたのち、日本公認会計士協会学術賞審査委員に就任。
野呂 祐介(のろ ゆうすけ)
慶應義塾大学理工学部卒業、慶應義塾大学大学院理工学研究科修了。有限責任監査法人トーマツにて会計監査業務を経験。現在、株式会社ローソンデジタルイノベーションにて小売業のデータ分析業務を行っている。
蜂谷 悠希(はちや ゆうき)
公認会計士・税理士・宅地建物取引士・再開発プランナー。早稲田大学大学院創造理工学研究科経営システム工学専攻修了(工学修士)。有限責任あずさ監査法人での金融監査を経て、現在は三光アセットマネジメント株式会社にて、市街地再開発事業などに取り組む。日本公認会計士協会東京会IT委員。
マネジー:皆さんは著書の執筆とは別に、会計×ITに関する勉強会の活動をされてらっしゃるということで、その活動をはじめたきっかけはどのようなものですか?
稲垣:「もともと会計×ITをテーマにした勉強会をやりたい!」と小澤さんがSNSに上げてたのを私と蜂谷さんが見かけて、一緒にはじめようと声がけしたのがきっかけです。最初は蜂谷、小澤、稲垣の3名を中心としてスタートした感じです。
蜂谷:当時、会計とITという組み合わせを学んでいこうというモチベーションのある方でも、自分で勉強するのはかなりハードルが高かったんです。その難しいことを勉強したいという人たちのコミュニティが他にない中で我々の活動が始まりました。
小澤:IT分野の勉強コミュニティは存在したのですが、会計とITという組み合わせの勉強会は見当たりませんでした。他にはない取り組みということで同じ目的を持った方々が我々の勉強会に集まってきたのだと思います。
マネジー:確かにセミナーなどを見ても、サービス提供会社のセミナーはよく見ますが、広告色が強いモノが多く、純粋な勉強会というのは見ないですね。
稲垣:当時も、例えばクラウド会計システムを提供する会社が主催するものとか、ツールありきの勉強会はあったのですが、純粋に技術を学ぶようなものはなかったと思います。なので、SNSなどで徐々に広まり、参加メンバーが集まったのだと思います。
野呂:私はもともと大学でデータを扱う勉強をしていて、そっちが専門といえば専門です。会計士試験には合格したのですが、修了考査は受けずに、データを扱うIT系の方に軸足をうつしていく中でこの勉強会に参加しました。
蜂谷:のべ600名ほどのメンバーが参加する団体にまで成長しましたが、最近は4名が多忙な時期が重なり、少し活動が落ち着いてたんです。そろそろ積極的に動いていきたいなと考えています。
マネジー:4名で執筆された書籍「Pythonではじめる会計データサイエンス」(書籍公式サイトへのリンク)が、素晴らしいことに増刷に次ぐ増刷で非常に好評とのことですが、もともと出版の話が出たのはどのような経緯だったのでしょう?
稲垣:私のSNSアカウントに、中央経済社さんからメッセージが入ってお話をいただいたのがきっかけでした。最初は「思った以上に若い人が来た!大丈夫だろうか?」と思われていたようですが、話しているうちに意気投合した結果、まずは専門誌である「企業会計」の連載の話をいただきました。 とはいえ、月一の連載を1人で対応するのは難しいと思って、勉強会のメンバーの中から今回の3人に相談しました。
マネジー:稲垣さんから連載の話を受けた皆さんはどんな気持ちでしたか?
小澤:仕事柄、雑誌の名前は知ってましたし歴史もある雑誌でしたので、素直にうれしかったです。なので私は即答でOKしました(笑)
野呂:うれしい気持ちもありましたが、勤務先の監査法人のパートナーも読んでるような有名な雑誌でしたので、気が引き締まる思いもありました。
蜂谷:PyCPAというコミュニティが有名な出版社の目にも止まるようになったかという驚きと、積み重ねてきたコミュニティが一定の評価をうけたという事が純粋に嬉しかったのを覚えています。実際に連載が決まった時はもっと詳しくならないとと思って、データサイエンスの勉強のために専門書を買い漁ったのを思い出します(笑)
マネジー:書籍化してから徐々に火がついて、今では6刷ほどまで増刷されてるとお聞きしました。ここまで人気が出た理由ってどこにあると思いますか?
小澤:ファイナンスの書籍などは多く出版されてますが、会計とITを組み合わせたジャンルの書籍が意外と少ないのも理由だと思います。
稲垣:それと、初心者向けの導入部分から骨太な上級者向けの内容まで、1冊で幅広い範囲をカバーしてるのも良かったのかもしれません。連載の時に想定読者を割と上級者向けにしていたのですが、ITを学ぶ際に最初でつまづく方も多いだろうと考え、書籍化に当たって初級者でも理解しやすいように導入部分を大幅に加筆したんですよ。
野呂:確かに連載時は結構専門的でマニアックな内容だったところを、書籍化に当たって小澤さんと稲垣さんを中心に導入部分の加筆の対応をいただき、初心者でも分かりやすい仕上がりにしていただきました。
小澤:逆に上級者向けの部分については、野呂さんが発展的な内容の部分を詳しくわかりやすく解説してくれたので、初心者のみならずデータサイエンスを学んでいる人にとっても価値ある1冊に仕上がりました。その甲斐もあって、会計とITという潜在的なニーズを持つ幅広い層に刺さったのかもなと思います。
マネジー:今回の書籍はPythonを中心とした内容でしたが、それ以外も含め様々なテクノロジーが生まれて、経理・会計の業務も大きく変わってきています。 それに伴い、経理担当者に求められるスキルはどのように変わっていくと考えられますか?
小澤:質問を返すようで恐縮ですが、逆に転職エージェントの事業と近いマネジーの方にお聞きします。最近の経理の求人に、例えば「RPA」という単語が含まれる求人ってどのくらいありますでしょうか?
マネジー:RPAという単語が直接含まれる経理の求人は最近見ないですね。
小澤:では、数年前はいかがでしたか?
マネジー:5〜6年前はRPA導入に関する求人は、経理を含めバックオフィスでもいくつかは見た気がします。
小澤:ありがとうございます、なぜこんなことをお聞きしたかというと、テクノロジーは水物だということを言いたかったんです。当時のトレンドであったRPAも数年経てば求人数も減少します。最近ではChatGPTが流行っていますが、これも数年後には当たり前のように使われるようになり、差別化の要素ではなくなっているかもしれません。 投資の世界でも分散投資という言葉があるように、テクノロジーの学びにおいても自分の時間やエネルギーを一つのトレンドにヤマを張って投資するのではなく、広く興味をもって学びに対して時間を投下して行くのが良いと思います。
マネジー:確かに、一つだけを学んで陳腐化してしまうリスクはありますよね。 会計の知識を持ちながら今はデータサイエンティストとして活躍されている野呂さんからみたら、経理に必要とされるスキルはどう変わると思いますか?
野呂:しっかりと勉強の時間を作れる方は「数学」や「統計学」のように、今も昔も変わらず残ってる普遍的なものはブームに限らず残るので学んでおいたほうが良いかもしれませんね。会計の場合は・・・、複式簿記が該当するかもしれません。
稲垣:テクノロジーの進化は常に進んでいく一方なのでキャッチアップし続ける必要はありますが、それらの前提は普遍的な知識になるため、普遍的な学習を行うことが非常に重要になるでしょう。
蜂谷:ビジネスの流れが変化しづらい業種では経理業務や必要なスキルもあまり変化しない、そんな「これまで」どおりの会社もある一方で、テクノロジーの影響を受けビジネスの流れが早い「これから」の組織においては、必要なスキルにも変化がありそうですね。経理のオペレーションを回す役割と、どのように自社のビジネスの動きを会計に落とし込んでいくかという経理企画のような役割があって、それを明確に認識する必要が出て来ると思います。 従来は経理業務遂行のためだけのITスキルが求められていた経理部の業務と比較すると、経理企画には自社のビジネス・会計を統合していくためのIT知識・スキルが求められることになるでしょう。
稲垣:本質的にはテクノロジーをどのようにビジネスに活かすかを「考える力」が必要で、ツールの導入でも知識の習得でも、習得して終わりにならずにそれを活用するためのビジネススキルが重要になると思います。
マネジー:会計知識、ITスキル、更にはビジネス全般のスキルなど、いろいろと話に上がりましたが、今回のテーマでもあるデータサイエンスの知識としてどの辺を押さえておくとよいのでしょう。皆さんはどうお考えですか?
稲垣:何をと言われれば、データベースやそれを扱う言語であるSQLの知識だと思います。データベースは現代のシステムにおける基本かつ、トレンドでもあるデータ分析基盤やBIツールを用いるための前提知識になるため、データ活用をするためには非常に重要な知識だと思います。
蜂谷:私も稲垣さんと同意見です。システムからデータを出力して加工するのをどう効率化するかの話をする前に、データベースの知識があれば、そもそもの設計の段階で業務やシステム設計の際に扱いやすいように設計することができる。情シス部門や外部業者に任せるのではなく、そこに経理メンバーが関わって行くことができると非常に良いと思います。
マネジー:確かに今後データを扱う際に、その構造への理解があったりSQLを扱えたりすると便利ですね。ちなみに皆さんは、今のスキルに至るまでにいろいろと学んでいったと思いますが、最初は何から勉強してスキルを身に着けていったのですか?
野呂:私は大学が理系でシステムやITを専攻していたので、授業である程度ならったのがきっかけでした。他の皆さんはどうですか?
稲垣:私は監査法人をやめた後、独学で学んでいった感じですね。最初はGAS(Google Apps Script)で業務の自動化をする程度でしたが、その後データサイエンスやシステム監査等に領域を広げていき、現在に至ります。その間にシステム監査技術者や統計検定の受験も行いました。
小澤:私は大学で基礎は学んでましたが、ビジネスの世界に入ってからMicrosoftのAccessを通じてその重要性を再認識しました。Excelのパワークエリなども使いました。共通して言えることは、一般的な企業の環境内で使いやすいツールから入ったというところです。 Microsoft Office Specialist(MOS)のような資格試験を通じた勉強も、体系的な知識の習得の観点からはおすすめです。
マネジー:たしかにAccessなら会社のofficeソフトに入ってたりしますね。
小澤:プログラミングでデータを扱う勉強をする際に、最初につまづくところが環境構築なんですよね、Accessであればそのハードルを超えやすいと思います。
蜂谷:私は大学や監査法人の業務を通じて学ぶことも多かったですが、それ以外は書籍を通じて勉強してました。
ちなみに我々が執筆した書籍は、会計データをどのように分析するかという話がメインですが、その前提には分析のために整えられたデータが存在しています。そういうデータがあると、こんな楽しい分析ができる、そんな世界を作っていくために会計データのリテラシーが高い人が増えてくれたら嬉しいなという思いもこの本には込められています。
マネジー:皆さんの勉強のきっかけのお話をお聞きでき、マネジーユーザーの皆さんも何から勉強していくのが良いか、少なからずイメージが沸いたと思います。ありがとうございました。
今回の取材を通じて、経理や会計業界に関わる方々を取り巻く環境は大きく変わっていることが明確になった。そして、その変化のスピードはどんどん早まっているようだ。 経理でキャリアを築いていく方は、この事実を受け止め動き出す必要がある。 その際は最初からハードルを上げすぎずに、学ぶ楽しさを感じながら取り組めると良さそうだ。 本記事の内容が、マネジーユーザーの皆さんの学ぶ意欲を高め、動き出すきっかけにつながれば幸いである。
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