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性的指向を暴露する「アウティング」初めて労災認定 企業が取り組むべきことは

公開日2023/09/04 更新日2023/09/08


東京都豊島区の保険代理店に勤務していた20代の男性が、同意なく職場で性的指向を暴露されるアウティングが原因で精神疾患を発症したことについて、労働基準監督者から労災と認定されました。

アウティングを原因とする労災認定は今回が初めてだとされています。

労災認定された「アウティング」とは

SOGI(Sexual Orientation and Gender Identity)とは、好きになる相手の性を表す「性的指向(Sexual Orientation)」と自らの心の性である「性自認(Gender Identity)」を合わせた、すべての人々にとってのアイデンティティを意味する言葉で、「ソジ」と読みます。


このような性的指向などの秘密を自ら告白することは「カミングアウト」と呼ばれますが、本人の同意を得ずに、他人が第三者に暴露することが「アウティング」です。このアウティングは、性自認などに関する言動で人を傷つけるSOGIハラスメントや、パワーハラスメントの一類型とされています。


今回のケースでは、男性が入社時に緊急連絡先の登録のため同居する同性パートナーの存在を会社側に伝えたところ、上司からアウティングの被害を受けました。その後、精神疾患を発症し、2年後に退社しました。男性は労働基準監督署に労災を申請し、2022年に全国で初めて労災認定されています。

アウティング問題について

アウティングに関するトラブルでは、2019年に大規模な調査が行われました。性的少数者1万人以上を対象にしたこの調査*では、全体の約25%にアウティングの被害経験があることが明らかになっています。


アウティングは職場だけでなく、大学などでも事例があり、被害者が亡くなってしまったケースもあります。


また、一部のトラブルでは裁判も行われています。この場合アウティングの加害者だけでなく、職場を管理する事業者が提訴されることもあります。


日本の社会でも依然として、性的少数者に対する偏見や差別があります。アウティングが重大な問題になる背景には、それを受け入れる態勢が整っていないことや、加害者のプライバシー情報に関する認識不足などが考えられます。

企業が取り組むべきアウティング対策

職場内でアウティングが発生した場合、プライバシーの侵害やパワーハラスメント等に該当し、企業は使用者責任として損害賠償の責任を問われることになるでしょう。


そこで企業が取るべき対策としては、アウティングなどの問題が起きない職場環境を整備することが第一に挙げられます。アウティングは、パワーハラスメントの一類型と見なされるため、防止措置を講じることは全事業主の義務になっています


まずは、アウティングを予防するための仕組みづくりが大切です。職場でのプライバシー情報に関する意識を高める啓発活動と、社員が気軽に相談できる窓口の設置も求められます。これらは個人の意識の問題として対処するのではなく、企業全体の重要な取り組みとして考える必要があります。

まとめ

アウティングは軽い気持ちであっても、労災や訴訟に発展する場合があります。あらためて、ハラスメントやプライバシー侵害などについて社内で周知を行っていくことが重要です。


*【調査概要】ライフネット生命保険の委託を受けた宝塚大の日高庸晴教授(社会疫学)による調査

調査対象:ゲイやレズビアン、出生時の性と自認する性が異なるトランスジェンダーなど、10~70代の性的少数者1万769人
調査期間:2019年9~12月
調査方法:インターネット


■参考サイト
厚生労働省 | 職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました!


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