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介護休業とはどんな制度?概要や給付金に関して解説

公開日2019/01/03 更新日2018/12/28

近年になり、介護離職を余儀なくされて、収入源が断たれたまま家族介護を行い、結果として介護の質が悪化したり、生活や精神状態が追い詰められたりする点が社会問題になっています。そこで、仕事を失わずに家族介護を行うための「介護休業」の重要性が高まっています。この記事では、介護休業制度の基本から人事が行うべき対応までをお伝えします。

関連記事:介護休暇に関する人事の担当者の注意点

介護休業制度とは?

介護休業は、家族の介護を目的として、仕事から一時的に離れることで、会社員としての立場を失わずに介護を続けられるための制度です。この介護休業制度をどの従業員も活用できるようになれば、介護離職を未然に防ぐことが可能です。

介護休業を定めた法律

育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(略称:育児・介護休業法)11条で、介護休暇について定められています。

同法2条2号に定義されているとおり、要介護状態の家族を介護するために取得する休暇とされています。

<介護相手としての家族の範囲>

育児・介護休業法2条3号において、要介護状態とは「負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、厚生労働省令で定める期間にわたり常時介護を必要とする状態」と定められています。

ここにいう厚生労働省令で定める期間とは「2週間以上」とされています(育児・介護休業法施行規則2条)。

また、育介法2条2項の「要介護状態」とは、介護保険の要介護認定とまったく同じではありませんので、注意が必要です。一般的には、基本的な日常生活はほとんど自分ひとりで行える場合には、ここでいう「要介護状態」には該当しません。要介護度でいえば「1」は含まれませんし、さらに自立度が高い「要支援1・2」も含まれません。「要介護度2~5」の家族を介護する目的においてのみ、介護休暇の取得対象となるのです。

とはいえ、地元市町村による要介護認定をすでに受けている家族を世話する目的でなければ、介護休暇を取得できない…というわけではありません。

まだ要介護認定を受けていなくても、「負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり、常時介護を必要とする状態」にあれば、「要介護状態」の条件を満たすものとされますので、その家族を介護するために休暇を取得できます。

では、「要介護状態」であれば、遠い親戚を世話するためであっても、介護休暇を取得できるのでしょうか。ほとんど付き合いのない親族であっても、世話するという名目で休暇を取っていいのかどうか、介護休暇の取得が公的に認められる家族介護の範囲が問題となります。

一般的には「2親等以内の親族」または「配偶者(内縁の父母を含む)」の関係性にある要介護者を介護するためであれば、介護休暇を取得できるものとされます。

具体的には次の通りです。

  • 配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)
  • 父母
  • 配偶者の父母
  • 祖父母
  • 兄弟姉妹

<対象となる介護の内容>

介護休暇では、介護以外でも通院の付き添いや家事代行、買い物代行などの身の回りの世話まで含まれていました。

しかし、介護休業ではそこまでの限定は付いていません。身体上あるいは精神上の障害があることによって、日常生活を営むのに支障がある家族に対して、入浴、排せつ、食事などの必要なサポートを行うことをいいます。要介護状態にある家族に対して、より身体的に密接なサポートを行うことが、介護休業を取得するに値する「介護」にあたると考えられています。

<休業できる対象の従業員>

さらに、この条文には「労働者」とかかれていますので、企業に雇用されている社会人一般を指すものと考えられます。労働者すべてに介護休業の権利が与えられるわけではありません。ただ、正社員だけでなく、パートやアルバイトにも介護休業を与えられる余地があります。

とはいえ、これらの例外に当てはまる場合には、介護休業を取得できません。

  • 日雇い労働者
  • 入社してから、まだ1年に満たない従業員
  • 申請から93日以内に雇用関係が終了する見込みのある従業員
  • 申請から93日+6カ月以内に雇用関係が終了する見込みのある、期限付き雇用の従業員
  • 週の所定労働日数が2日以下の従業員

ただし、これらの条件に当てはまらない従業員に対しても、会社が介護休業を取得する権利を与えることは法的に可能です。

<取得できる介護休業>

要介護状態にある家族について、1人あたり通算で最大93日間の介護休業を取得することができます。また、一度の機会にまとめて取得するだけでなく、最大3回まで分割して、93日間を必要に応じて取得することも可能です。

介護休暇制度との違い

介護休業とよく似ているのが、1字違いの「介護休暇」です。

家族の介護を目的として、仕事を一時的に休むことを認める。そして、介護離職を防止するという制度趣旨は、介護休暇と介護休業では共通しています。また、取得の対象者や条件などもほぼ共通しています。

最大の違いは、取得できる日数です。介護休業は、要介護状態の家族1人あたり通算93日間ですが、介護休暇では要介護状態の家族1人あたり年間で5日間の取得が認められます。たとえその5日間を休暇として消化してしまっても。新しい年度が始まれば、また新たに5日間の介護休暇取得権が追加される点がポイントです。

また、口頭でも申請できる介護休暇とは違い、介護休業はある程度まとまった期間にわたって仕事を離れることもあり、専用の申請書類を作成して提出する必要があります。

さらに、介護休業にあたっては給付金が支給されることもあり、事実上の有給休暇として機能しているのも、無給の介護休暇との違いです。

介護休業給付金に関して

介護休業給付金は、介護休業中であっても事後的に申請すれば、当時の給与水準の3分の2(67%)にあたる給付金が休業した日数分だけ支給されます。これによって、介護離職のように、経済的な基盤がなくなった状態で家族を介護しなければならない負担感やリスクからも解放されます。

介護休業給付金は、休業開始日から1カ月ごとに区切って「支給単位期間」として扱い、1カ月ごとに給付されます。そして、その支給単位期間の1カ月間に10日を超えて出勤していると、給付金が一切支給されません。給付金を受け取るためにも、むしろ積極的にまとまった期間にわたって仕事を休み、介護に専念するようにしましょう。

人事の対応内容

まずは、従業員が介護休業を取得するために、支障がないような職場態勢を整える必要があります。介護休暇よりも長い期間にわたって職場を離れるため、引き継ぎ業務は必須となります。また、職場復帰後にも以前とほぼ同じような職場環境で働いてもらえるよう、他の従業員にも介護休業の制度趣旨に理解を求める必要があります。もちろん、人事部は介護休業の取得を理由とした、従業員に不利な配置転換などを行ってはなりません。

まとめ

介護休業は、介護休暇よりもまとまった日数にわたって職場を離れるために、より深刻な要介護家族を世話するのに使うことが多いでしょう。ただ、介護保険や介護サービスを活用しながら、家族介護の負担が重くなりすぎないように気をつけなければなりません。

また、職場でも介護休業を取得しやすい態勢を整えなければなりません。休業前には確実に引き継ぎを行い、休業後には戻ってきた従業員を歓迎で受け入れて復帰をスムーズにする努力が求められます。

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