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ファイナンスのプロフェッショナルが選んだ「心が熱くなる事業」【スパイダープラス株式会社 取締役 執行役員 CFO 藤原 悠氏】

公開日2023/12/06 更新日2023/12/15


建設DXを牽引するスパイダープラス株式会社は、「“働く”にもっと「楽しい」を創造する。」をミッションに掲げ、人手不足が深刻な建設業界の課題をテクノロジーの力で解決する建築DXサービス「SPIDERPLUS」の提供・開発を行っています。


今回は、スパイダープラス株式会社取締役執行役員CFOの藤原悠氏を取材。これまでのご経歴や建設現場のDXと業界の可能性、管理部門の人材にいま求められていることなどについて伺いました。


【プロフィール】

藤原 悠
スパイダープラス株式会社 取締役執行役員 CFO

Deloitte等でFinancial Advisorとして活躍後、スタートアップでの新規事業開発を経て2021年よりスパイダープラスに参画。経営企画部門とコーポレート部門を管掌。2022年より取締役執行役員CFOに就任。公認会計士。

会計士の資格は「ビジネスパスポート」

──はじめに、藤原さんが歩まれてきたキャリアについてお伺いさせてください。どうして会計士試験を受けようと思ったのですか?


正直なところ特別な理由があったわけではありません。 

ただ、社会人の第一歩を決めるにあたり、「現状のスキルや知識、専門性だけでいいのか」という漠然とした不安はありました。会計系の専攻が多かったため、試しに税理士試験の簿記論と財務諸表論を受けたところ、いい手応えで順調に試験合格もでき、数字や会計って、自分との相性がいいのかもしれないと思いました。この分野の勉強も集中して取り組めたので、関心はあるところだったと思います。

就活か悩みましたが、特段その時点で熱量高く自分がいきたい業種や職種を設計できなかったこともあり、大学3年生から会計士試験の勉強を始め、なんとか一発で公認会計士試験に合格できました。やりたいことも、できることもないのだから「ビジネスパスポート」を持っておかないと自分の選択肢が狭くなるという、危機感や恐怖心が強かったので、短期集中で試験合格できたのは自信になりました。


──会計士試験合格後は、監査法人に就職されますが、その先でCFOということは考えていましたか?


いいえ。監査法人就職前に監査法人就職後のキャリアパスは明確に描けていませんでした。知り合いや先輩も、監査法人の後はコンサルティングファームというキャリアパスの方が多く、自分も漠然とそのようなキャリアを想定していました。

とはいえ、せっかく専門的な資格試験に合格したのだから、独占業務をしっかり経験しておくべきだなと思っていましたので、会計監査から先について就職時にあまり考えないようにはしていました。監査は、経営管理で重要な業務を全般的に俯瞰できるので、ビジネスパーソンの入口としてはすごくよかったなと思います。


──監査法人ではどのような経験を積まれましたか?


メインは大手製造業だったんですが、それ以外にも金融やシステム開発会社や海運業など、さまざまな業種を担当しました。時期的には、2008年合格で入社数が相対的に多かった時代でしたので、先輩たちからは「ゆとり世代」といわれていました。

実際には、人が多い分競争は激しかったので、今に至っては活躍している同世代が多い印象を持っています。

監査法人での仕事にはやり甲斐を感じていましたが、徐々に「監査以外の道を試してみたい」という気持ちになってきました。監査ってプロジェクトマネジメントのひとつで、リソースを拡大していくようなものではないと僕は思っているんですね。また、専門性はあるものの、本当に企業の意思決定に寄り添えているのか疑問も感じていました。

そんな中で20代後半にFASの魅力やキャリアについて話を聞く機会があり、会計士としての経験をベースにスキルを高められるし、新しい経験も積めるならその方が面白いと思いました。

それまではM&Aのトランザクションが多い会社を担当していたので、会計監査の観点でM&A取引に関与してきましたが、一方で自分のファイナンスの知識の薄さを痛感していました。当時はプロフェッショナルとしてのキャリアを構築したかったので、会計士の資格と経験を軸に、付加価値としてFASの経験を積みたいと思いました。

会計、財務、税務だけではなく、法務や事業全般に広げる

──実際にFASでのご経験はいかがでしたか?


DD、ValuationをベースにFAやPPAなど、さまざまな案件を担当しました。転職した当時は、当該法人は500名に満たない規模だったこともあり、様々な案件を担当できました。

非常に充実した時間を過ごせましたし、仕事の量も質も、本当に良い経験になりました。 一方で大手ファームでの大型案件での分業型タスクやプロジェクトマネジメントだけでなく、自身の専門家としての総合能力を高めたくM&Aブティックファームへの転職を決断しました。ここではディールサイズが100億円ぐらいまでのミドルサイズの案件を中心に担当し、これまでの経験を活かしつつ、常に新しい学びがあり、専門知識と実務経験を同時に高めていくことが出来ました。

会計、財務、税務に加えて法務、ビジネス全般の知識レベルをどれだけ高められるかも重要ですが、それ以上に大手ファームの看板がない中で一人のプロフェッショナルとして見られるという経験やプレッシャーが大きな成長につながりました。


──M&Aブティックファームは、藤原さんの希望に合致していたのですね。2年で転職となったのは、どのような変化があったのでしょうか?


M&A支援を通じて関わる事業会社の方たちと話す中で、「事業」そのものへの関心が日に日に高まってきました。社会の課題を解決するためには一人のアドバイザーとしての成長だけでなく、事業を拡大していくことが必要だと、アドバイザリー業務や提案活動のなかで様々な経営者と話すうちに強く感じました。

一人の専門家としての総合能力を高めること自体、自分本位であり自分にしかベクトルが向いてなかったと痛感しています。

未来に残る建築物に大きな魅力を感じた

──それで事業会社に転職して、現在のスパイダープラスに参画したんですね。


スパイダープラスの前に別の事業会社を1社を経験しています。

その会社で事業企画と新規事業の責任者という形で、事業のPLを作る側を経験した後に、スパイダープラスと出会いました。M&A支援を通じて出会った経営者の方々に感じた世の中に対してどれだけインパクトを出せる仕事をするかを考えたとき、スパイダープラスがターゲットにしている建設業は自分の中でハマるところを感じました。まず、この業界には約500万人が従事していて、その数は千葉県民の人口と同じくらいなんですね。

そして、建築物というのは街や地域社会を作ることに貢献して、更に未来に遺り、人の想いや文化といったものも伝わっていく。なんにしても自分の代だけで世の中がよくなると思っていないから、建設のように成果が未来につながっていく業界に惹かれてしまいました。


──マーケットの規模や世の中へのインパクトという点で、遣り甲斐がありそうですね。実際に建設業界に対してスパイダープラスはどんな価値提供をしているんですか?


建設業に携わる方の多くが建設や建物そのものに対する熱い想いや社会インフラに関する事業へのやりがいや魅力を感じて建設業界に携わっています。ただ、歴史が長く、また安全等様々な確認事項がある業界ゆえに生産性や効率性を阻害する慣習も多くあり、働いている方たちが十分に力を発揮できていない状況にあります。さらに建設業に限らず世の中は人手不足なので、今、業界で働いている人たちに大きな負荷がかかっています。

スパイダープラスはそのような建設業界のうち建設現場に関する課題を中心にテクノロジーで解決していくことに取り組んでいます。建設DXサービス「SPIDERPLUS」を活用いただくことで業務時間の削減が可能となります。テクノロジーを活用するのも人間ですので、ヒトとテクノロジーが掛け合わされた未来の施工管理を実現すべく、SPIDERPLUSの機能をより拡充しています。


──スパイダープラスへの情熱が伝わってきます。建設業界は関わる人口が多い一方でテクノロジーが十分に活用されていないので、スパイダープラスが提供するSaaSがもたらす影響が大きそうですね。


はい。建設業に特化したバーティカルSaaSとして、日本で初めての上場ということ自体めちゃくちゃ面白いポジショニング事業自体に魅力を感じたことに加えて、このタイミングで参画することにも魅力を感じました。

バーティカルSaaSであれば海外に進出しやすいという特徴があります。単に海外市場が狙えるという話ではなく、日本の建築業界の品質管理基準を世界に広げることと理解ください。地震にも強く安心・安全な日本の建築は海外から求められ、その技術や暗黙知となっているものはSPIDERPLUSを通じたテクノロジーとして輸出できると思っています。

管理部門は、「自分が強いフェーズ」を見極めていくことが大切

──非常にテーマが多いので、やるべきこともたくさんありそうですね。スパイダープラスに参画されてからは、どんなミッションを担っていますか?


最初は経営企画部長という肩書だったと思います。管理側もやりつつ、基本的に攻めの役割を任されていました。作られた仕組みを回すよりも、仕組みを作る方が得意なのでどんどん整備して回るようになったら、任せて次にという感じです。ポジションに固執せずに、自分の強みを活かせることに動いていくことは、キャリア形成に取って重要だと考えています。

例えば、上場するときって、必要な体制がないところを整備する力が必要なんですね。

でも整備し終えると、今度はその仕組みを高度化していくことが必要となります。整地した土地のうえに建物や街を創っていくイメージです。そのため、上場の前後で活躍できる人、活躍するために必要な能力は変わることが多いと思っています。管理部門以外でも、上場前のタイミングでは会社を牽引していた管理職やエース社員が、上場後に事業規模が拡大するとパフォーマンスがマッチしない、という話は当社にかぎらずよく聞きます。

これはパフォーマンスが落ちたのではなく、そのフェーズの会社で活躍する能力がマッチしていない、または人材の成長が組織の成長に追いついていない。そういう人材が、組織の上席や中心に居続けるのは、事業成長を阻害する要因になるので、会社のステージに応じた適切な人材へと入れ替わる仕組みも大切ですし、働く個人としても積極的に動くことが必要だと思っています。もちろん人材が成長する仕組みをつくることが大前提ですが。


──なかなかシビアな視点ですが、確かに会社にとっても個人にとっても不都合な状態が続くよりも、強みを活かしながら成長して行くことは必要ですね。


そうですね。そのために、キャリアの観点に絞って話しますが、まずは自分が活躍できるフェーズをちゃんと見極めたほうがいいとも思います。例えば、IPOの準備が得意でそれを厭わずにできるなら、まずはそこに特化して専門性を高め、キャリアを築いていくのが絶対にいい。そこから、自分が強いフェーズを1つ2つと増やすことで、選択肢を広げていくことがキャリア作りだと思います。

それと、管理部門の人は仕事を選ぶときにないがしろにしがちですが、自分が好きになれる事業をやっているかも大事にして欲しいです。友達や家族に自慢できるかどうかは、仕事でパフォーマンスを出すことに少なからず影響します。

自分の会社の事業に興味を示せなかったり、熱量を発揮できなかったりするなら、わざわざそんな会社に行かないほうがいいと思います。時間は本当に貴重ですし、自分が会社という組織を通じて社会にどんな価値を世の中に提供することに貢献しているのかって、めちゃくちゃ大事ですから。

成長の本質は、目標を高くし続けられること

──今、特に注力している組織課題は何ですか?


僕の役職は取締役CFOで、具体的には経営企画部門とHR部門、コーポレート部門の3つを見ています。

HR部門は執行役員に業務を任せているので、今メモリーやリソースを注力しているのは経営企画部門とコーポレート部門ですね。

経営企画に関しては、事業成長を加速するための意思決定の質とスピードの高度化です。足元ではFP&A機能の仕組みをさらに強化させていく予定ですし、採用募集中です。なお、事業部門が描く戦略は既存リソースがベースとなりやすいため、それをストレッチするのも大事な役割です。協業・業務提携・M&Aといった施策も組み合わせ、論理からの飛躍をどうつくるか、それをどう論理とつなげるかを大事にしています。

コーポレート部門に関しては、守りの部分を中心に取り組んでいます。今は300人規模の組織の回し方になっているので、属人性を弱めたり権限移譲をさらに進め、500人規模の組織運営を見据えた強化していきます。社内DXも進めていますが、成長のためにストレッチしようとすると課題がたくさん見えてくるので採用もこのタイミングで意図的に拡大しています。

会社が成長するときは、どのタイミングでストレッチするかが重要と改めて感じます。コーポレート部門は今まさにストレッチしていくタイミングですし、こういう局面は強度が求められるため、社員はキツいフェーズでもあると思っています。でも今ここで目標を高くしそのためのリソース確保と仕組みの高度化を進めておかないと、多分半年後にはついていけなくなってしまう。コーポレートが事業の足をひっぱるとかありえないですから。


──コーポレート部門の方の気質として、現状の業務を安定稼働にしていくことを好みますよね。変化や柔軟性のある組織作りをしていかないと、足かせみたいになってしまう危険があるということでしょうか?


そうですね。大元のところで、「成長とは何か?」をしっかり考えておくべきだと思うんですよ。

具体的には、「目標を高くし続けられること」かなと。それをキツく感じることもあるかもしれないけど、だから成長し、高い目標を掲げられていること自体が幸せだと思うんです。それで企業や人の価値を上げていけるわけですから。だから僕は、目標を達成してさらに次の目標を掲げる、一連の循環を成長と呼ぶようにしています。

取り組む課題が小さい組織って、組織も個人も成長が停滞していると思っています。たとえば、管理職が勤怠の打刻エラーにメモリーを割かなきゃいけない状況とかって価値を生み出せていない状態ですよね。目標を健全に高くすることで、取り組むべき課題も大きくなり、数も増える。そうすることで余計なことに時間を割く余裕がなくなれば、必然的に課題に向き合う時間が増え、組織の皆で解決に向かって足並みをそろえていける。その循環ができると、すごく成長できます。


──成長している実感と貢献できているという実感があると、組織への愛着も湧きますよね。ただ、常に高い目標を掲げているだけで全員がついてくるわけでもないし、成長へ向けた前向きな風土づくりというのもすごく大事になってくるのだろうなと思いました。


大事ですね。ついてこれない人はイグジットしてしまい、チャレンジしていきたい人が結果として残るという側面もあります。

ただ、これは健全なイグジットでもあると考えています。事業や組織の成長や変化の中で、離職率が上がるフェーズもありますが、離れてしまったあとでもご縁は継続している社員が当社は多いです。会社が成長すればするほど、経営陣の成長は必然ですし、そのうえで従業員の成長にどれだけ向き合えるか、その大事さは改めて痛感します。

伸びる人は、人の指摘を受け止め、健全な範囲で責任を感じ行動に移せる人

──最後に、管理部門の方々に対して、何かメッセージをいただけますか?


専門知識を学び続ける力であったり、テクノロジーに対するリテラシーは本当に大事だと思います。今なら生成AIも積極的に活用して業務効率化を図ろうという姿勢が必要と思います。テクノロジーを使いこなせる人と、怯えたり見ているだけの人とでは成長はだいぶ変わると思います。また、世の中の変化を楽しむマインドが必須ですね。

あとは、一定のコーチャビリティが必要ですよね。伸びる人って、人の指摘をしっかり受け止めて学習し、健全な範囲で責任を感じて行動に移せる方が多いです。社外の人からシビアな評価を受ける立場にあるフロント部門に対して、コーポレート人材はそこが苦手な人が多い印象です。ミスがあっても、チャレンジした中での失敗ならまったく問題はないですし、次はどううまくやるか考えればいいんです。


──貴重なお話をいただき、誠にありがとうございました。

高い目標を掲げることで、組織や従業員が取組むべき課題の質と量を高め、強い組織を作るというアプローチが非常に勉強になりました。藤原さん自身が常に目標を高くし、新しいことにチャレンジすることで、スパイダープラスのサービスが、世の中に良いインパクトを与えることを楽しみにしています。



インタビュアー
清水 悠太(しみず ゆうた)/ マーケティングDivision / 執行役員


2005年3月法政大学卒業後、株式会社MS-Japanに入社。
ベンチャー・IPO準備企業を中心とした法人営業を経験した後、キャリアアドバイザーとしてCFO、管理部長、会計士、税理士、弁護士を中心に延べ5000名のキャリア支援を経験。
現在はマーケティングDivision長/執行役員として、マーケティングと新規事業・新規サービスの開発を担当。




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