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「インボイス制度」は、令和5年(2023年)10月1日から開始した、仕入税額控除の方式です。財務省・国税庁が主導しており、インボイスコールセンターなどを設置し、事業者や消費者などの質問にも回答しています。
インボイス制度の開始後、国税庁によって「多く寄せられるご質問」が公表され、話題となりました。今回は、インボイス制度について問い合わせの多い質問のTOP3(2023年11月版)を発表し、解説します。
質問は、「適格請求書発行事業者の登録は、どのような手続きで行うのですか」という内容です。
結論からいえば、「登録申請書を提出します」。
以下、回答内容の詳細です。
インボイス制度において、適格請求書発行事業者として登録を希望する事業者は、「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出する必要があります。この申請によって、事業者は課税事業者となり、登録日以降に譲渡される課税資産に関して消費税の申告が必要です。
免税事業者は、令和5年(2023年)10月1日から令和11年(2029年)9月30日までの期間に、希望する登録日を申請書に記載すれば、その日から課税事業者として登録を受けられます。一度登録を受けた免税事業者は、登録を取りやめた場合でも、登録日から2年間は再び免税事業者に戻れません。
質問は、「適格請求書を取引先などの相手に対して発行する際、どのような記載事項の追加が必要ですか」という内容です。
結論からいえば、「登録番号、適用税率、消費税額を追加します」。
以下、回答内容の詳細です。
インボイス制度は、仕入税額控除の方式であり、消費税に関係しています。適格請求書を交付する場合、これまで使っていた請求書や領収書に、「登録番号」「適用税率」「税率ごとに区分した消費税額」の3つを追加するイメージです。
・登録番号:インボイス制度の登録番号です。課税事業者のみ登録可能
・適用税率:8%または10%の税率を記載
・税率ごとに区分した消費税額:消費税の金額、たとえば1万円で8%の税率を適用する場合は、「800円」と記載
インボイス制度用に一から作り直す必要はなく、既存のフォーマットを編集するだけで問題ありません。
なお適格請求書は、免税事業者は発行できません。発行するためには、課税事業者となり、税務署長の登録を受ける必要があります。
質問は、「経過措置の際の、仕入税額控除の要件について教えてください」という内容です。
結論からいえば、「区分記載請求書等と同様の事項が記載された請求書等と、経過措置の適用を受ける旨を記載した帳簿の保存が必要です」。
以下、回答内容の詳細です。
インボイス制度が開始されると、免税事業者や消費者など、インボイス発行事業者以外の者(免税事業者等)からの課税仕入れに対しては、原則として仕入税額控除が適用されなくなります。
ただし制度開始後6年間は経過措置として、免税事業者等からの課税仕入れに対しても、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額として控除できます。具体的には、以下の通りです。
・令和5年(2023年)10月1日から3年間:80%控除可能
・令和8年(2026年)10月1日から3年間:50%控除可能
経過措置の恩恵を受けるためには、区分記載請求書等と同様の事項が記載された請求書等の保存が必要です。また、80%控除や50%控除の特例を受けるなど、経過措置の適用を受ける旨を記載した帳簿の保存も必要です。
質問が多い項目として理解しておきたいのは、やはり適格請求書発行事業者の登録の流れです。適格請求書を交付するためには、納税地を所轄する税務署長に登録申請を行わなければなりません。
まずは「適格請求書発行事業者の登録申請書」を、国税庁のサイトなどから入手し、記入します。e-Taxで提出する場合は、画面上に表示されている項目を記載するため、申請書を入手する必要はありません。
インボイス制度自体は2023年10月からすでに始まっているため、そのまま登録申請の手続きができます。登録申請書に必要事項を記載できたら、所轄の税務署に提出しましょう。提出方法に関しては、郵送またはe-TAXのいずれかです。
e-TAXであれば、インターネット上で書類の入手から必要事項の記載、提出までをすべて行えるため、とくにこだわりがなければe-TAXを選択するのがおすすめです。ただしe-TAXを利用するためには、利用者識別番号の取得・登録と、電子証明書(マイナンバーカードなど)が必要になるため注意しましょう。
登録手続きが行われた後は、税務署によって審査が行われ、問題がなければそのまま適格請求書発行事業者として登録されます。登録された旨を取引先にも通知し、適格請求書を発行するための準備を進めていきましょう。
インボイス制度は、仕入税額控除のあり方を大きく変えるものです。フリーランスなどの個人事業主はもちろん、企業にもさまざまな対応が求められてきます。
企業であれば、主にマネジメント層がインボイス制度を理解しているため、混乱が生じる可能性はあまりないでしょう。ただし経理や財務との一般社員であれば、直接業務に関係がなかったとしても、インボイス制度について大まかに理解しておくべきです。
今回紹介した、質問が多い項目を参照しつつ、基礎的なところから知識を深めていきましょう。
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