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改めて知っておきたい法科大学院に関して-弁護士以外のキャリア選択も-

公開日2019/01/25 更新日2019/01/25
改めて知っておきたい法科大学院に関して-弁護士以外のキャリア選択も-

法科大学院も、弁護士などの法律科の登竜門として、徐々に世間で知られるようになってきました。法科大学院を修了すると「法務博士」の学位を取得できることでも知られ、司法試験受験の資格を得られます。しかし、法曹界へ進むだけではなく、別のキャリアを歩む法務博士も増えているようです。

法科大学院とは

法科大学院は別名で「日本版ロースクール」といわれている専門職大学院の一種です。大学の法学部出身者であれば2年、法学部以外の大学卒業者であれば3年間の課程を修了して、「法務博士」の学位を取得することができます。

一般的な法学系の大学院(大学院法学研究科修士課程)は、原則として大学研究者を養成する課程であって、2年通って「修士(法学)」の学位を取得できます。さらに博士課程を終えなければ「博士(法学)」の学位をもらえません。つまり、法務博士は、一般的な法学研究系大学院とは異なる系譜で存在している、「実務重視」の学位なのです。

法科大学院では、実際にキャンパスや講義室、ゼミ、模擬法廷などで学び、将来の法曹実務を意識した実践的なノウハウを習得します。よって、かつての一発勝負の司法試験のように、ペーパーテストでのみ能力を測定するのではなく、より総合的に法曹の卵としての能力を図り、時間をかけて養成していくことに重点が置かれています。

法科大学院の所定の課程を修了し、法務博士の学位があると、司法試験の受験資格を得ることができるようになります。法務博士の学位を得ないで司法試験の受援資格を得るには、難関の「予備試験」に合格するしか方法はありません。

法科大学院の歴史

法科大学院は2004年に本格的に開校されました。かつての旧司法試験が、試験日のみの瞬間最大風速的な実力を測る、いわゆる「点による選抜」になっていることが懸念材料となっていました。受験テクニックばかりが偏重されて、本当に法律実務家としてのポテンシャルを測るための試験からは程遠い実態になっていることが、かねてより問題視されていたのです。

1990年代から2000年代初頭にかけて模索されていた「司法制度改革」の一環として、「点による選抜から、線による養成」というキャッチフレーズの下、欧米諸国でのロースクール制度にならって、日本国内でも「日本版ロースクール」としての法科大学院が全国各地に設置されるようになったのです。

しかし、法科大学院に通学するには、少なくとも年間100万円を超える学費を納めなければなりません。もともと、司法試験の難度激化に伴って、司法試験予備校の対策講座費用も高騰するようになっており、「お金持ちの子息にしか法曹になれない『資本試験』」と揶揄されることもありました。

1990年代には、司法試験の合格者は400人から500人台で推移していました。しかし、アメリカ合衆国政府からの「年次改革要望書」で、刑事裁判での市民参加(裁判員制度)と同様に、ロースクール制度の導入によって法曹人口を増加させるようにと指示があり、その一環で、一時期は司法試験の合格者は年間800人前後にまで枠が拡張されました。

その一方で、若手の優秀層を優先的に合格させるために、司法試験の受験回数3回以内の受験者について、合格ラインを人為的に引き下げる、通称「丙案」が導入されるに至ります。しかし、受験回数3回か4回かでそれほど大幅に待遇を変えることは合理的でないとの批判もありました。

こうした不平等感を払拭するために、「線による養成」機関としての法科大学院が導入されたのでした。そのはずが、法科大学院の学費も高騰するにつれ、残念ながら「資本試験」という皮肉を拭い去れるほどの改革は行われなかったといえるのかもしれません。現在では、予備試験が経済的に余裕のない法曹志望者の受け皿となっています。

法科大学院の内容、学校数

法科大学院は、2003年の認可時には、申請があった72校のうち、68校に正式な認可が下りたことで、発足時の2004年には全国各地に「乱立」したといっても過言ではないほどの状況になりました。

しかし、新たに開始した新制度の司法試験における合格率などから、2008年から2009年にかけて、日弁連法務研究財団、大学評価・学位授与機構、大学基準協会といった第三者認証評価によって、68校中22校が不適合評価を受けており、その後も定員割れなどによって、新規募集停止や廃校に追い込まれた法科大学院も相次ぐようになります。

2018年現在では、全国で国立15校、公立2校、私立19校、計36校の法科大学院が存在しています。

法科大学院の教育内容は、司法試験の受験科目に限りません。もともとは司法試験受験予備校が「受験テクニックには長けているが、法曹としての適性が低い人材に司法試験の合格ラインを超えさせてきた」と問題視し、ペーパーテスト得点能力のみに惑わされない多方面の技能を養成するために設けられた教育機関なのです。

大学の法学部は、必ずしも卒業後に法律実務を意識したスキルを磨いているわけではないことから、法科大学院は、法曹としての基礎的な能力に時間をかけて養成することを目的としています。よって、座学のみに偏らず、法律相談のシミュレーションや、模擬法廷での弁論能力なども磨いています。

法科大学院卒業後の進路

法科大学院の修了後には、司法試験の受験を目指す人が大半です。司法試験の受験資格を得るために法科大学院に入る人がほとんどですし、制度設計上もそれを前提にしているからです。

しかし、現行の司法試験には5年間で5回の受験制限がありますし、受験制限を使い果たす前に、司法試験合格を断念する場合もあります。また、法科大学院に通いながら、「自分は法律実務家に向いていない」と思い知って、司法試験を受験せずに断念する場合もあるのです。

このように司法試験の合格を果たせなかった人々のほとんどは、一般企業や法律事務所などへの就職を目指します。

一般企業への就職活動では、「法務博士」という学歴をアピールすることもできますが、人事採用の担当者にとっては、その学歴だけで採用ラインを超える判断をすることはまずありません。むしろ、「なぜ法律家にならなかったのか」「それとも、なりたくてもなれなかったのか」「法曹界に未練が残っているのではないか」と気にしているものです。一般企業への就活が「挫折感」を帯びすぎないよう、積極的な志望理由を練りましょう。

法務博士は、法律知識や模擬法廷でのディベート能力には長けているかもしれませんが、一般企業にとって必ずしも即戦力とはいえません。即戦力といえるのは、「会社の利益向上に貢献できる人材」です。アカデミックな能力をそのままアピールすることは、むしろ敬遠される傾向にあります。

よって、模擬法廷で立ちふるまう能力を「公開の場でのプレゼンテーション能力」と定義し直したり、法曹になるための法律知識を「コンプライアンスを図り、会社の保有する権利を戦略的に利益化する知識」と言い換えたりして、面接でアピールする必要もあるでしょう。

法科大学院からの就活には、大学新卒者の中に埋もれがちな一般的な就活サイトを活用するより、転職エージェントやビジネス系SNS(LinkedInやWantedlyなど)を活用したほうがうまくいきやすいようです。また、友人や恩師の紹介など、リアルな繋がりのほうが諸事情を伝えやすく、採用に繋がる可能性が高まります。

MS-Japanでは、法科大学院修了生を対象に個別相談会の実施や求人情報を発信しています。実際に、法科大学院を修了したキャリアアドバイザーもいますので、もしキャリアに関する悩みがあれば、一度相談してみてはいかがでしょうか。

まとめ

法科大学院は、2004年に発足した専門職大学院で、修了すると司法試験の受験資格が得られます。しかし、すべての人々が合格できるわけではありませんし、法曹を目指すだけが法務博士の進路ではありません。企業の法務部や法律事務所のパラリーガルなど、将来への道は多様なのです。

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