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従業員のエンゲージメントは、企業が自社の成長や事業拡大を目指す上で欠かせません。従業員が仕事に対して前向きかつ充実した心理状態で臨むための効果的な施策としては、「賃上げ」や「福利厚生」などが挙げられるでしょう。
では、エンゲージメント向上の施策として、どちらの方がより効果的でしょうか?
マネジーではこのたび、管理部門に勤める人々を対象に、エンゲージメント向上と「賃上げ」「福利厚生」の効果についての実態調査を実施しました。
本記事でその結果をまとめてご紹介します。
【調査概要】
調査テーマ:「エンゲージメント向上施策」の実態調査
調査実施日:2024年5月16日~5月22日
調査方法:Webアンケート
調査対象:マネジー会員ユーザー
有効回答数:601人
【回答者属性】
職種:経理 18.1%、総務 14.8%、人事 11.5%、経営企画 11.6%、法務 4.7%、内部監査 5.3%、その他の管理部門 13.1%、管理部門以外の職種(営業など) 14.8%、士業(会計士・税理士・弁護士など) 3.3%、事務所勤務スタッフ(会計事務所・監査法人・法律事務所など) 2.7%
業種:インフラ 1.3%、サービス業 20.5%、運輸業 1.3%、卸売・小売業 11.1%、教育・医療・福祉 6.0%、金融・保険業 3.5%、建設業 6.7%、宿泊・飲食業 1.2%、情報通信業 12.5%、製造業 21.6%、不動産業 4.2%、その他 10.1%
企業規模:10人以下 13.0%、11~99人 25.1%、100~499人 25.0%、500~999人 9.7%、1,000人以上 27.3%
設問1では、従業員エンゲージメントの向上が経営戦略のなかでどの程度重要視されているかを尋ねました。
結果は、「非常に重要」と回答した人が全体の17.8%で、最多は「重要」(56.3%)でした。両方を合わせると、7割以上の人が「従業員エンゲージメントの向上は重要」と考えていることがわかります。
設問2では、近年に自社で賃上げが行なわれたかについて尋ねました。 結果は「はい」が39.1%、「いいえ」が60.9%でした。ニュースなどで賃上げが話題になることがたびたびありますが、マネジー読者が勤めている企業においては、実施していないところの方が多いという結果になりました。
職種別で見てみると、賃上げが行なわれた職種で最多だったのが「不動産業」(68.0%)で、以下「サービス」(52.0%)、「金融・保険業」(42.9%)、「建設業」(40.0%)と続きました(「その他」は除く)。また、賃上げが行なわれなかった職種の最多は「製造業」(80.8%)で、以下「卸売・小売業」(67.2%)、「情報通信業」(62.7%)、「教育・医療・福祉」(61.1%)が並びました。
企業の従業員数別で見てみると、賃上げ実施の最多は「10人以下」の企業(82.1%)で、行なわれていないのは「1,000人以上」(76.2%)でした。このことから、人手不足の傾向がある中小企業は、賃上げをして離職防止などにつなげていると予測できるでしょう。
また、設問3では前問を受けて賃上げがあった人を対象に、賃上げによって従業員のエンゲージメントは向上したかを聞いてみました。 結果は、「非常に向上した」(7.0%)と「ある程度向上した」(47.8%)を合わせて過半数の人は「向上した」と回答し、「変わらない」(42.8%)の回答者と大きな差はないという結果になりました。
設問4では、賃上げによるメリットを自由記述形式で尋ねました。以下は、その中から抜粋した回答です。
・経営に対する期待値の上昇
・物価高への対応
・仕事に対するモチベーション向上や、不平不満の軽減
・離職率の改善
・企業のイメージアップ
・採用活動における優秀な人材の確保
・無駄な残業の削減
など
設問5では逆に、賃上げによるデメリットについて自由記述形式で尋ねました。以下は、その中から抜粋した回答です。
・人件費の増大
・賃上げの継続が望まれる(賃上げが“当たり前”になってしまう)
・賃金だけでなく、社会保険や福利厚生が増え、企業の利益が圧迫される
・これまで適切に賃上げしていなかったことが、逆に印象づけられる
・評価制度による妥当な評価のもとで賃上げしないと、人によっては不満が生じる
・長期的に見ると、働く理由が「お金のため」になったり、「やる気はないが給与がいいから」という理由でぶら下がり社員が増えたりする
など
設問6以降は、福利厚生について質問しました。 まず、設問6でどのような福利厚生を自社で提供しているか聞いたところ、「学び(自己啓発、資格取得)」(41.5%)が最も多く、以下「家族(子育て、介護)」(34.7%)、「健康」(34.7%)、「住宅」(27.1%)、「余暇(旅行、趣味)」(24.6%)と続きました。
一方、「導入されていない/分からない」(24.6%)と答えた人が全体の約4分の1となり、自社の福利厚生を把握・利用していない人も一定数いることが判明しました。この点については、企業の総務や人事などの福利厚生担当部門が、従業員に認知されるように働きかける必要であると言えるでしょう。
また、設問7で聞いた「今後導入したら従業員に喜ばれそうな福利厚生サービス」については、「余暇(旅行、趣味)」(33.9%)がトップで、「学び(自己啓発、資格取得)」(26.3%)、「家族(子育て、介護)」(20.3%)、「食」(19.5%)、「資産形成」(19.5%)なども選ぶ人が多かったです。特に、若い世代を中心にワーク・ライフ・バランスを重要視する従業員が増えていることから、「家族(子育て、介護)」は票を集めたのでしょう。また「資産形成」も、近年の投資人口の増加を反映していると言えそうです。
設問8では、福利厚生の充実によって従業員のエンゲージメントが向上したかを尋ねました。 結果は、「非常に向上した」(6.6%)と「ある程度向上した」(51.0%)を合わせて6割近くの人は「向上した」と答えていますが、「変わらない」(41.2%)と回答した人も意外と多くいました。この結果は、賃上げで同じ質問をした設問3とあまり変わらない傾向であり、従業員のエンゲージメント向上については、シビアに捉えている人が多い印象です。
また、福利厚生に関しても設問9でメリットを自由記述形式で尋ねました。以下は、そのなかから抜粋した回答です。
・生活が充実し、豊かになる
・ワーク・ライフ・バランスが改善する
・従業員が長く働ける環境を作れる
・エンゲージメントが向上する
・採用活動において優秀な人材を確保できる
・従業員の心身の健康管理に役立ち、健康意識も向上する
・従業員の家族なども恩恵を受けられる
など
設問10では、福利厚生のデメリットについて自由記述形式で尋ねました。以下は、そのなかから抜粋した回答です。
・コストや手配するスタッフの業務(手間)が増える
・全従業員が恩恵を公平に受けているわけではない(例えば家族手当など、対象になる従業員が限られるものもある)
・費用対効果が見えづらい
・従業員のニーズに合わないものもある
ここまでは、賃上げと福利厚生について、自社の取り組み状況やメリット・デメリットなどについて尋ねました。 設問11からは賃上げと福利厚生の比較を調査しましたので、ご紹介します。
設問11では、賃上げと福利厚生のどちらが従業員エンゲージメントの向上により効果的かを尋ねました。
結果は、「賃上げ」(75.1%)が「福利厚生」(16.3%)を、圧倒的に上回りました。ちなみに「状況による」と回答した人々に具体的な理由を尋ねたところ、「物価上昇以上の賃上げならメリットがあるが、一定金額以下なら効果はあまりない」「立場やライフスタイルの違いなど、人によってどちらがよいか異なる」「不況下では福利厚生よりも賃上げの方が効果的と思うが、一時的な賃上げでは意味がない」といった声が寄せられました。
設問12では、従業員エンゲージメントを向上させるために今後どのような施策を計画しているかを、自由記述形式で聞きました。以下、回答の一部です。
・働きやすさの追求、風通しのよい組織づくり
・資格取得の支援
・iDeCoプラス導入
・ライフイベントの応援(お祝い金や特別休暇)拡大
・継続的な賃上げと利用価値の高い福利厚生の導入
・子育て支援
など
最後に、設問13で「自社の従業員エンゲージメント向上のために最も優先すべきこと」を聞いてみました。
結果は、「賃上げ」(75.7%)が「福利厚生」(18.3%)よりも4倍以上多い結果となりました。福利厚生のメリットは複数ありますが、設問10でもご紹介したデメリット「コストやスタッフの業務が増える」「恩恵を公平に受けられない」などを踏まえると、賃上げの方がシンプルで喜ばれやすいのかもしれません。
今回の調査で、エンゲージメント向上と「賃上げ」「福利厚生」の効果について、ビジネスパーソンの本音が見えてきました。
・7割以上の人が「従業員エンゲージメントの向上は経営戦略のなかで重要」と考えている。
・賃上げが実施されたのは全体の約4割で、そのうちの過半数の人は「従業員エンゲージメントが向上した」と実感。
・6割近くの人は「福利厚生の充実によって従業員のエンゲージメントが向上した」と回答。
・従業員エンゲージメント向上のために最も優先すべきことは、「賃上げ」が7割以上。
以上を踏まえ、本アンケートでの結果としては、従業員エンゲージメント向上のために最も優先すべきことは「賃上げ」ということがわかりました。一方で、賃上げにはコスト増大や継続性、適切な評価に基づく実施など、複数の課題も見えてきました。
マネジーではこれからも働く皆さんのお役に立てる情報を発信してまいりますので、ぜひご注目ください!
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