2025.12.12

新着 行政書士の難易度は「管理部門での実務経験」で変わる? 働きながら合格を目指す時間術とキャリア戦略

「今の管理部門の業務経験を活かしつつ、さらに専門性を高める道はないだろうか」
「会社の看板がなくても通用する『法務の専門性』が欲しい」

管理部門や士業事務所で働いている方の中には、こうした向上心をお持ちかもしれません。

選択肢の1つとして行政書士が気になりつつも、「合格率10%台」「働きながらの合格は難しい?」「合格しても資格を活かせない?」といった情報に、一歩を踏み出せずにいませんか?
この記事では、働きながら行政書士の合格は可能か。合格後はどのように資格を活かすことができるのかを解説します。

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目次

【結論】行政書士資格は、社会人がキャリアの選択肢を広げる上で、有力な選択肢の一つ

行政書士は、社会人が働きながら現実的に合格を目指せる法律系資格の中で、独立・転職という選択肢も持てる有力な資格と位置づけられます。

行政書士試験は、社会人が働きながらでも、計画的な学習を継続することで合格を目指せる資格です。 もちろん、膨大な学習時間が必要な難関資格であることに変わりはなく、短期決戦で突破できるほど甘くはありません。
しかし、合格した際のキャリア上のメリットは、大きいと言えるでしょう。

理由としては

  • 会社の看板に依存しすぎない「法律専門家」という立場
  • 管理部門の業務を高度化する「専門知識」
  • いざという時に自分と家族を守る「独立・転職」という選択肢

などがあげられます。

行政書士試験の難易度とは? 合格率と「本当の壁」

まず、行政書士試験の難易度を客観的なデータで見ていきましょう。

最新の合格率と推移

最新の令和6年度(2024年実施)行政書士試験の合格率は12.90%でした。
以下の表のように、過去5年の推移を見ても、おおむね10%〜14%ほどで推移しています。

年度 受験者数 合格者数 合格率
令和6年度 47,785人 6,165人 12.90%
令和5年度 46,991人 6,571人 13.98%
令和4年度 47,850人 5,802人 12.13%
令和3年度 47,870人 5,353人 11.18%
令和2年度 41,681人 4,470人 10.72%

(参照:一般財団法人 行政書士試験研究センター

行政書士試験の合格条件

この難易度を乗り越えるため、法律初学者の場合は800〜1,000時間の勉強が標準的な目安とされています。これは、法律特有の考え方や膨大な試験範囲をゼロから学ぶための時間です。一方で、これまでの学習経験は、勉強時間を短縮する上で有利に働きます。

合格に必要な勉強時間は法律経験で変わる

行政書士試験の合格には、以下の3つの条件を同時に満たす必要があります。

【行政書士試験の合格基準】

  1. 「合計得点」
    300点満点中180点以上(得点率60%)
  2. 「法令等科目」(憲法・民法・行政法など)
    244点満点中、122点以上(得点率50%)
  3. 「一般知識等科目」(政治・経済・社会・情報通信など)
    56点満点中、24点以上(得点率42.8%)

これが、行政書士試験が「片手間の勉強」では合格しにくい理由の1つとしてあげられます。
なお、合格点を突破するためには、一般的に「600時間〜1,000時間」の学習が必要と言われます。

「簡単」は誤解。行政書士試験が難関といわれる理由

ネット上では「行政書士は簡単」という声も見受けられますが、上記で記した通り、行政書士の合格率は10~14%程度となっており、決して簡単な試験とは言えません。

  • 広範な学習範囲: 憲法、民法、行政法、商法と多岐にわたり、特に「行政法」は馴染みが薄く膨大です。
  • 「記述式」問題の存在: 単なる暗記でなく、法的思考を40字程度で要約・記述する力が問われ、独学者がつまずきやすい点です。
  • 「足切り」制度: 法令科目・一般知識等科目それぞれに足切り点が設定されています。

などがあげられます。

このような理由から、行政書士試験は十分な準備が求められる試験であると認識するのが適切です。

【課題1】働きながら「1,000時間」を確保するには

1,000時間の学習時間を確保するためには、勉強を継続する必要があります。
しかし、社会人の皆さんは、繁忙期や急な残業が発生することもあるため「1日3時間×1年」というように、勉強時間を固定するのは計画倒れの危険があります。

多忙な社会人の皆さんは、「勉強時間を捻出する工夫」「無理のない学習計画」「効率的な勉強方法」が合格のカギとなるでしょう。

「机に向かう時間」だけが勉強ではない

社会人の勉強は「平日の夜に、机に3時間向かう」のは非常に難しいです。そこで、「スキマ時間」の活用が有効といえます。

あなたの日常に潜むスキマ時間を洗い出しましょう。

  • 通勤電車(往復60分) → スマホで動画講義を視聴、音声講義を聴く
  • 昼休み(最後の15分) → スマホアプリで一問一答を解く
  • 定時後の30分(帰宅前に) → 集中して記述式の論点暗記

これらを活用することで、机に向かわずとも1.5〜2時間の勉強時間を確保することが可能となります。

現実的な学習スケジュールモデル(1.5年プラン)

「1年合格」に固執すると、繁忙期に計画が破綻し、挫折に繋がる可能性があります。
「1.5年」で着実に実行可能なプランを立てることを視野に入れてもいいでしょう。

1.5年 合格プラン

急な残業や繁忙期があった際もリカバリーできるように、勉強時間は週単位で目標設定をしておくのが良いでしょう。

【1.5年で合格を目指す勉強プランの例】

  • 平日:1.5時間 (スキマ時間1時間+机に向かう勉強0.5時間)
  • 休日:各4時間 (家族が起きる前の早朝など)
  • 週合計: (1.5h × 5日) + (4h × 2日) = 15.5時間
  • 総時間: 15.5時間 × 70週(約1.5年) = 1,085時間

【課題2】「膨大な試験範囲」攻略しなければならない

【課題1】で「時間」を確保しても、法律初学者にとって膨大な試験範囲は大きな壁です。挫折しないための学習戦略(勉強法)を解説します。

社会人の鉄則:「満点」ではなく「合格点(180点)」を目指す

先に述べたように、社会人は勉強時間が限られています。すべてを完璧に行うのは現実的でありません。時には「捨てる勇気」を持つことが合格への近道です。

記述式対策=「要約するクセ」

記述式問題(3問・計60点)は、合否を分ける重要なポイントですが、「特別な対策が必要」と構えがちです。
もちろん記述対策は必要ですが、多忙な社会人が記述対策に膨大な時間を費やすのは難しいかもしれません。

そこで、日々のインプット学習(講義視聴やテキスト読み)の段階から、常に「要約するクセ」をつけましょう。
「もし、この論点が記述で問われたら、40字でどうまとめる?」と自問自答する習慣です。

この訓練を日々繰り返すことで、単なる知識の暗記(択一対策)を超え、論点の核となるキーワードを抜き出し、法的な文章として再構成する「感覚」が自然と養われるでしょう。直前期に慌てて一から記述対策を始めるのでななく、インプットと同時にアウトプットの練習を組み込むことが、社会人にとって効率的な戦略となります。

社会人は「時間」を効率化する視点も重要

合格を目指すにあたって、大きく分けると独学か資格講座の利用があります。

独学のメリットは費用を抑えられることです。
しかし「疑問の解決に時間がかかる」「重要でない部分に時間を割いてしまう」など学習が非効率になった場合、想定以上の時間がかかる場合があります。また、時間がかかるほど最新版のテキストや模試等の費用が想定以上にかかる可能性も考えられます。
一方で、質の高い通信講座などを利用すれば、合格レベルに達するまでの時間を短縮できるノウハウが凝縮されています。

Manegy Learning編集部おすすめの講座は以下になります。

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「食えない」の真相 は実務経験不足が原因?

「行政書士が食えないと言われる背景の1つに、「行政書士が食えない」と言われる背景の一つとして、資格(法律知識)の習得と、ビジネス(営業)のスキルは別である点が上げられます。クライアントである企業のニーズや内部事情を理解できなければ、価値あるサービスを提供しにくいのは当然かもしれません。

しかし、管理部門や士業事務所でキャリアを積んできたのであれば、日々の業務で行っている「内部統制の知識」「契約書レビューの経験」「許認可管理のノウハウ」などは行政書士としてキャリアを歩む際に役立つ可能性があります。

管理部門・アシスタント経験が活きるBtoB業務

あなたの実務経験は、そのまま活かせる可能性があります。「企業が何を求めているか」を知っていることが強みとなります。

  • 法務・総務部経験者 → 契約書作成、機関設計、コンプライアンス支援、許認可申請
    企業が「何をリスクと感じるか」を肌感覚で知っており、自社の許認可管理に携わった経験はそのまま行政書士の専門業務に直結します。
  • 人事部経験者 → 外国人雇用(在留資格・ビザ申請)サポート
    外国人採用の実務(手続きの煩雑さ)を経験していれば、「在留資格(ビザ)申請」において、企業の採用担当者のニーズを深く理解したサポートが可能です。
  • 経理部経験者 → 補助金申請サポート、記帳代行
    事業計画書の「数字の裏付け」を理解できるため、採択率の高い申請書作成に貢献できます。
  • 士業事務所(アシスタント)経験者 → 即戦力
    既に関連業務の流れを理解しているため、独立後のスタートダッシュがスムーズです。

現職(管理部門)へのシナジー

合格のリターンは独立・転職だけではありません。現職の業務を高度化する武器になることでしょう。

例えば、あなたが総務部で働いている場合、事業部門から「新規事業でこの許認可のリスクは?」と相談されたとします。
その時、「専門家に確認します」と答えるのか。それとも、「行政書士の知識」に基づき「行政手続法上、このプロセスが必要で…」と法務的な視点でアドバイスを行えるのか。

どちらが社内で評価されるかは想像に難くありません。行政書士の知識は、あなたの社内での付加価値を高めることにも寄与します。

まとめ:行政書士の難易度は高い。だが、「専門性」を手に入れる価値は十分にある

行政書士試験の難易度は確かに高いですが、それは「時間がないから難しい」のではなく、「戦略(スキマ時間の活用・講座の利用など)がないと難しい」ということです。
その壁を越えた先には、「会社の看板に頼らない専門性」と「独立・転職」という、キャリアを支える有力な武器が手に入る可能性があります。

「自分には無理かもしれない…」と迷っている時間こそが、キャリアにとっての機会損失かもしれません。
まずは「自分にもできるか」を確かめるために、講座の無料資料請求や「お試し講義」から、その第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

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