司法書士の仕事内容とは?やりがい・試験・年収などもあわせて徹底解説!

司法書士は、私たちの生活やビジネスに密接に関わる法律専門職のひとつです。一方で、実際の仕事内容ややりがい、資格取得の試験や年収など、詳しく知る機会は意外と少ないかもしれません。
本記事では、司法書士という職業についてわかりやすく解説します。
司法書士とは?
司法書士とは、法務局や裁判所などに提出する書類の作成および提出手続きを行う“法律事務の専門家”です。主に、不動産や法人に関する登記業務、裁判関連書類の作成、成年後見制度の手続きなどを取り扱います。認定を受けた司法書士は、簡易裁判所での訴訟代理も可能です。
また、弁護士や行政書士などと異なり、登記業務に関しては司法書士のみが独占的に行える業務があることから、不動産取引や会社法務では欠かせない存在です。よって、司法書士は「法律実務のプロフェッショナル」と言えます。
司法書士の仕事内容
司法書士の仕事内容は非常に幅広く、多岐にわたります。主な業務内容をご紹介しましょう。
不動産登記業務
不動産の売買や相続、贈与があった際に発生する所有権の移転登記などを代行します。書類の不備や法的ミスがないよう、細心の注意を払って業務にあたる必要があります。
特に、相続登記の義務化が2024年に施行されたことで、今後はますます司法書士の需要が高まると予想されています。例えば、相続人が複数にわたるケースでは、戸籍の収集や遺産分割協議書の作成など、専門的な支援が司法書士に求められるのです。
商業登記業務
会社設立、役員変更、本店移転など、法人に関する登記を行います。企業の法的な基盤を整える際に欠かせない業務で、中小企業から上場企業まで幅広く関わる機会があります。
また、スタートアップ企業の支援や、M&A(企業の合併・買収)に関する登記手続きなど、経営戦略に関わる場面でも司法書士の専門性が求められます。
成年後見制度に関する手続き
認知症などで判断能力が低下した人の生活や財産を守るための「成年後見制度」において、司法書士が後見人として選任されることもあります。高齢化社会である現代に、ますますニーズが高まっている分野です。成年後見制度は、家族の支援が難しい時や財産管理に一定の専門性が必要な場合に、司法書士が法的サポートを担います。
裁判所提出書類の作成
自己破産、個人再生、過払い金請求など、裁判所へ提出する書類の作成も司法書士の仕事です。認定司法書士であれば、簡易裁判所における訴訟代理業務も可能です。
債務整理の相談対応や消費者トラブルに対する法的アドバイスを通じて、生活再建を支援する役割を果たすこともあります。
その他の業務
司法書士は、他にも幅広い分野で活躍しています。 例えば相続手続き全般では、不動産以外の預貯金や株式の名義変更手続き、遺産分割協議書の作成支援などを行います。
また、遺言書作成のサポートも重要な業務のひとつです。公正証書遺言の作成支援や遺言執行者として、遺産トラブルの防止に貢献します。 また、会社法務のコンサルティング業務も請け負います。定款の作成・見直し、株主総会の開催支援、各種契約書のチェックなども、司法書士の大事な仕事です。
このように、個人から法人まで、日常生活とビジネス両方の場面で、安心と法的サポートを提供する専門職として、司法書士は欠かせない存在となっています。
司法書士のやりがい
司法書士は、大きなやりがいを感じることができる職業です。以下、一例をあげましょう。
さまざまな人の人生に深く関われる
不動産の購入や相続、会社の設立など、人々の人生の大きな節目に関わる業務が多いのが司法書士です。依頼者から感謝される機会も多く、専門職としての達成感を得やすいでしょう。
専門職として自立できる
司法書士は国家資格者であり、自らの知識と経験によって独立・開業できる専門職です。自分の裁量で仕事を進め、専門性を活かして安定した収入を得られる点も大きな魅力です。
社会的信用が高い
法律を扱う職業であるため社会的信用が高く、顧客や取引先から大きな信頼を寄せられます。特に、地域密着型のサービスを提供すれば、顧客と長期的な関係性を築いていくことができるでしょう。
働き方の自由度が高い
司法書士は独立・開業だけでなく、企業内司法書士や事務所勤務など多様な働き方が可能です。結婚や出産・育児などのライフステージに応じたキャリア設計がしやすいため、女性も長く働きやすいと言えます。
司法書士になるには?
司法書士になるためには、
- 司法書士試験に合格する
- 法務大臣の認定を受ける
の2つの方法があります。
試験の合格を経て司法書士になる人がほとんどとなるため、本記事では司法書士試験合格のルートのみ解説していきます。
司法書士試験は、法学の知識を中心に幅広い範囲をカバーする難易度の高い試験です。試験内容は、民法や不動産登記法、商業登記法など、実務に直結した法的知識を問うものが多いため、受験にあたって綿密な準備が必要です。
司法書士試験の概要
司法書士試験は毎年1回実施され、筆記試験と口述試験の2段階で構成されています。筆記試験では、民法や不動産登記法、商業登記法、憲法などの法律知識が必要となります。受験勉強では、過去問の演習を重ねるとよいでしょう。また、筆記試験に合格した後は、口述試験で実際に登記書類を作成する能力が問われます。
筆記試験と口述試験のどちらも合格したら、司法書士登録を行い、司法書士として正式に活動を始めることができます。
司法書士の試験合格までのステップ
試験合格を目指すには、まずは基本的な法律知識を習得するための学習が必要です。通信教育や専門学校を利用する方法が一般的です。試験対策にあたっては、過去問や模擬試験にしっかり取り組み、試験の形式に慣れることが効果的です。合格に必要な学習時間の目安は3,000時間程度と言われています。
司法書士試験の合格率は毎年4~5%程度で、難易度は非常に高いです。試験勉強は計画的に、十分な時間を確保して行うことが、合格への近道となります。
司法書士の試験勉強に興味を持った方は、ぜひこちらの記事も参考にしてみてください。
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司法書士資格の活かし方
司法書士として働く方法には複数の選択肢があります。以下、それぞれの方法をご紹介しましょう。
司法書士事務所に勤める
既存の司法書士事務所に勤務する、という選択肢もあります。実務経験をしっかり積みながら働くことができるため、特に資格を取得したばかりの人や、将来的に独立を目指している人にとって有益な働き方です。
経験豊富な司法書士のもとで働くことで、実務知識だけでなく、顧客対応や業務管理、法務実務のコツなども学ぶことができます。また、勤務司法書士としてキャリアを築くなかで、責任あるポジションに昇格したり、パートナーとして共同経営に関与したりする道もあります。自分で事務所を構えるリスクを負うことなく、安定した環境で働けるのが大きなメリットです。
勤務先によっては、業務分野が特定されていることもあるため、自分の興味のある分野や将来的に伸ばしたい専門性に合った事務所を選ぶことがポイントです。
企業に勤める
司法書士の資格を、企業勤めで活かす方法もあります。企業によっては、社内法務担当者として登記業務や契約書の作成、法的アドバイスを担うポジションがあります。また、大手企業や不動産関連企業では、司法書士の専門的知識が活かされる場面も多いようです。
企業での正社員勤務なら長期間安定して働くことができ、収入や福利厚生などの待遇面も整っている傾向があるため、ライフプランに合わせて働きやすいでしょう。一方で、独立・開業の自由度に比べると、仕事の選択肢やフレキシビリティが制限されることがあります。
開業する
自ら事務所を構え、個人や企業に対して法的サービスを提供します。開業には、事務所の運営や顧客獲得、広告宣伝、経営管理などのスキルも求められるため、経営者としての責任を持ちながら主体的に働けるでしょう。
開業後は、地域の不動産登記や相続登記、成年後見手続きなど、幅広い業務に携わることができます。依頼者と強い信頼関係を築ければ、長期的に仕事を得られるでしょう。開業は自由な働き方が可能ですが、収入が安定するまでには時間がかかる場合もあります。
他の専門職との連携
司法書士は、弁護士や税理士、行政書士など他の専門職と連携して業務を進めることがよくあります。これにより、自分の専門性を活かしつつ、他の分野の知識も得て、仕事の幅を広げることができます。
司法書士の年収は?
厚生労働省が発表している調査によると、司法書士の年収は、1121.7万円と発表されております。 ただし、司法書士の年収は、働く場所・年数・働き方等によって大きく変動します(以下は一例であり、状況や環境により金額は異なります)。
まとめ
司法書士は“法律事務の専門家”として、登記業務を中心に個人や企業の法的なサポートを行います。その仕事内容は非常に幅広く、不動産登記や商業登記、成年後見制度など、さまざまな分野にわたります。特に、不動産や企業法務、相続などに関する重要な業務を担い、社会的な意義も大きい職業です。
司法書士としてのやりがいは、依頼者の信頼を得て、生活やビジネスの重要な面をサポートできることです。資格の受験には高度な法的知識と試験対策が求められますが、資格取得後は開業や企業勤務など自分に合った働き方を選び、充実したキャリアを築くことができるでしょう。司法書士の資格取得を目指すのは、いつでも始められます。もし興味があったら、ぜひチャレンジへの第一歩を踏み出してみてください。
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