新着 中小企業診断士の資格試験の難易度は?合格率・試験内容・対策法を徹底解説!

「中小企業診断士」は、経営コンサルタントに関する唯一の国家資格です。中小企業の経営に対してコンサルティングをはじめとしたサポートを行います。経営に関する幅広い知識を証明できることから、昇進・転職・独立などを目指す人が毎年数多くの人が受験しています。
しかしその一方で、「難易度が高くて合格は難しい」という声も多く、挑戦に踏み切れない人もいるのではないでしょうか。
本記事では、中小企業診断士の資格試験の概要や合格率、学習時間、効果的な勉強法などを解説します。中小企業診断士の資格に興味がある人は、ぜひ参考にしてください。
中小企業診断士とは?資格の価値と社会的ニーズ
資格の概要
中小企業診断士とは、中小企業の経営内容を診断し、課題に対して助言・指導を行う専門家のことです。経済産業省が認定している「経営コンサルタントに関する国家資格」です。
資格の試験範囲は、経済政策、財務・会計、経営法務など、企業活動に必要な知識が多岐にわたって含まれています。企業の成長や改善をサポートする役割を担うため、単に知識を問う試験ではなく、それをどう活かすかが問われます。そのため、資格の勉強によってビジネスで役立つ力が身につくのも大きな魅力です。
資格試験の合格後に実務補習・実務従事を経て、晴れて中小企業診断士になると、「経営のスペシャリスト」としての評価を得られ、信頼される立場として活躍できます。
活躍の場は?
中小企業診断士の活躍の場は多岐にわたります。
- 中小企業支援機関(商工会議所、支援センターなど)
経営相談やセミナー講師として活動。 - 経営コンサルタント(独立)
自ら事務所を構え、クライアント企業の経営課題を解決。 - 企業
会社員として、自社のなかで経営企画や人材育成、新規事業の立ち上げなどに関与。
以上、経営全般の知識が求められるため、業界や職種にかかわらず幅広く応用可能な資格です。
中小企業診断士の仕事内容についてさらに詳しく知りたい方は、ぜひこちらをチェックしてみてください。
試験概要
中小企業診断士試験は、「一次試験」と「二次試験」で構成されています。毎年1回実施され、一次試験が例年8月頃、二次試験は筆記が10月頃で口述は翌1月頃に行われます(実施年により変更となる可能性あり)。受験資格に制限はなく、誰でも受けることが可能です。
一次試験はマークシート方式で、7科目が出題されます。一方、二次試験は筆記試験の事例問題に加え、面接形式の口述試験で構成されます。二次試験の事例問題では、与えられた事例を読み解き、論理的かつ実践的な解決策を文章で表現する力が求められます。
一次試験
- 試験形式:多肢選択式(マークシート方式)
- 問題数:7科目(各100点満点)
- 試験時間:1科目60分~90分(2日間にわたって実施)
- 合格基準:総点数の60%以上かつ1科目でも満点の40%未満がない(科目合格基準は満点の60%以上)
二次試験(筆記)
- 試験形式:記述式
- 事例問題数:4事例(組織戦略・人事戦略、マーケティング戦略、生産管理、財務会計)
- 試験時間:各事例80分(1日で実施)
- 合格基準:総点数の60%以上かつ1科目でも満点の40%未満がない
二次試験(口述)
- 試験形式:面接
- 試験時間:10分程度
- 合格基準:評定が 60%以上
科目合格制度について
中小企業診断士の一次試験では「科目合格制度」が導入されています。これは、7科目全てを一度に合格する必要がなく、一部の科目に合格した場合は、その科目を合格した年度の試験を含めて3年間、合格が有効になるという制度です。例えば、2025年度の試験で3科目に合格した場合、2026年と2027年の試験でその3科目の受験が免除され、残りの科目のみの合格を目指せばよい、とされています。ただし、免除を受けるためには事前の申請が必要です)。
中小企業診断士試験の難易度は?
一次試験・二次試験の合格率
中小企業診断士試験は、一次試験と二次試験の両方に合格しなければいけません。それぞれの試験には異なる出題形式と評価基準があり、独自の難しさがあります。ここでは過去3年分の合格率を見ていきましょう。
一次試験
年度 | 合格率 |
---|---|
2022年 | 28.9% |
2023年 | 29.6% |
2024年 | 27.5% |
二次試験
年度 | 合格率 |
---|---|
2022年 | 18.7% |
2023年 | 18.9% |
2024年 | 18.7% |
なお、最終的な合格率は4~8%と言われており、難易度が高い部類といえるでしょう。
なぜ「難易度が高い」と言われるのか
中小企業診断士試験が「難しい」とされる理由は、試験そのものの構成と出題傾向、さらには合格までのプロセスの複雑さにあります。以下に主な理由を詳しく見ていきましょう。
- 科目数が多い
一次試験は全7科目というボリュームで、内容も経済から法務、情報システムまで多岐にわたります。全ての分野で一定の理解が求められるため、勉強量も多くなるのです。 - 記述の事例問題が難しい
二次試験は4つの事例についての筆記試験です。正確な知識に加え、限られた時間で論理的に文章を構成し、読み手に伝える表現力が求められます。単なる知識では対応できない、事例をもとにした思考力や分析力などを問う問題となります。 - 長期間の学習が必要
合格までに1~2年以上かけて準備する人も多く、社会人が仕事と並行して勉強するには相応の覚悟と計画が必要です。
試験科目の内容とポイントを紹介
一次試験(筆記試験)
最初の難関となる一次試験。ここでは、全7科目についての内容や難易度などを見てみましょう。
科目名 | 内容概要 |
---|---|
経済学・経済政策 | ミクロ経済・マクロ経済の基本理論、財政政策、金融政策など |
財務・会計 | 簿記、財務諸表の読解、原価計算など |
企業経営理論 | 経営戦略論、組織論、マーケティング論など |
運営管理 | 生産管理、店舗・販売管理など |
経営法務 | 会社法・知的財産関連法・民法などの法知識 |
経営情報システム | 情報処理の基礎技術、データベースとファイル、情報システム開発など |
中小企業経営・政策 | 中小企業経営、中小企業政策など |
1次試験はマークシート形式ですが、単純な暗記のみでなく、本質の理解をしていないと解けない問題も少なくありません。演習問題なども行いながら、学習を進めましょう。
二次試験の難易度と合格のカギ
二次試験(筆記試験)
事例 | 分野 | 内容の概要 |
---|---|---|
事例Ⅰ | 組織戦略・人事戦略 | 組織構造、人材育成、人事制度、働き方改革など |
事例Ⅱ | マーケティング戦略 | 商品戦略、販売促進、流通チャネル、ブランド戦略など |
事例Ⅲ | 生産管理 | 生産体制、工程改善、技術導入、現場マネジメント |
事例Ⅳ | 財務会計 | 資金繰り、損益分岐点分析、投資意思決定、財務指標分析 |
1全て記述式で、80分×4事例に解答します。
記述式となるため、予備校などで添削をしてもらえると、合格に近づくことができるでしょう。
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二次試験(口述試験)
項目 | 内容の概要 |
---|---|
試験形式 | 面接方式(個別) ※筆記試験の合格者のみが受験対象 |
試験時間 | 10分程度 |
内容 | 筆記試験で出題された4事例の内容に関連した質問 |
質問内容例 | ・事例Ⅰ~Ⅳの設問に関する理解や改善提案 ・コンサルタントとしての助言内容 |
合格基準 | 回答の論理性、態度、受け答えの的確さなどを総合評価 |
合格率 | 約99%以上(筆記合格者のほとんどが合格) |
合格基準と評価方法(足切り制度について)
前述のとおり、中小企業診断士の二次試験は筆記試験と口述試験で構成されていますが、主に筆記試験が合否の鍵を握ります。
事例Ⅰ~Ⅳはそれぞれ100点満点で、筆記試験の合格基準は総点数の60%以上です。ただし、いずれかの事例で40点未満を取った場合は「足切り」され、不合格となります。これは一部の科目で高得点を取っても、他の科目で極端に低い点を取ると「知識が十分に備わっていない」と判断されるためです。なお、事例問題は、記述内容の論理性や一貫性、具体性などが評価対象となります。
対策法
過去問を繰り返し解く
二次試験対策では、「過去問の繰り返し演習」が最も重要です。試験の傾向や出題形式に慣れることで、本番での対応力が身に付きます。特に、事例Ⅳ(財務・会計)は計算問題が中心のため、反復練習で得点力を高めることが不可欠です。
添削してもらう
答案の添削を受けることも合格への近道です。自分の書いた解答が採点者にどう評価されるかを第三者にチェックしてもらうことで、論理構成や表現方法の改善点が明確になります。
資格講座を受講する
中小企業診断士の資格対策として、通学やオンライン、通信などの講座の受講は非常に有効です。資格講座では、過去問分析や模擬試験、添削指導、個別質問対応など、独学では得にくいさまざまなサポートを受けることができます。特に、試験に初挑戦する方や前回不合格だった人は、講座受講によって合格への道が近づくかもしれません。
自分に合う講座の選び方を知りたい方は、こちらの記事を参考にしてみてください。
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独学 と 講座受講。それぞれのメリットとデメリットを解説
ここでは、独学と講座受講(通学・オンライン・通信など)のそれぞれのメリットとデメリットをあげてみました。
独学のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
教材費のみで費用が安い | 情報収集が必要 |
自分のペースで学習可 | モチベーション維持が課題 |
勉強のコストが低く、自分のペースで進められるのが大きな利点です。一方で、法改正をはじめとしたあらゆる最新情報を自らキャッチアップする必要があり、また、勉強のモチベーション維持にも努めなければなりません。
講座受講のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
効率的かつ体系的に学べる | 独学よりも費用がかかる |
添削・質問・進捗管理 | スケジュールに縛られる |
最新の出題傾向や評価基準への対応も講座でカバーできるため、無駄のない学習が可能になります。その分、費用は大きくかかり、通学の場合は時間の制約もあります。
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合格までの勉強時間とスケジュール一例
勉強時間について
中小企業診断士試験に合格するには、1,000時間もの勉強が必要と言われています。
例えば、勉強期間を1年間とすると、平日なら毎日2時間、休日は3~5時間程度の勉強を継続する必要があります。
一次試験では7科目の知識を網羅的に習得する必要があります。また、二次試験では記述力や分析力を鍛える必要があり、単なる知識の暗記では通用しません。そのため、計画的かつ継続的に勉強時間を積み重ねていくことが重要です。
この「1,000時間」という数字はあくまで目安であり、初めて受験する人または再受験者する人、独学または講座利用など、状況によっても必要時間は異なります。いずれも現実的なスケジュールを立て、長期戦を乗り切る覚悟を持つことがポイントです。
スキマ時間学習の工夫
スキマ時間を上手に活用することは、忙しい社会人にとって合格への大きな助けとなります。例えば、通勤中や昼休み、自宅での家事の合間など、細切れの時間を積み重ねることで、1日あたり30分~1時間程度の学習時間を確保できるでしょう。
動画講座を活用する
通勤電車や車での移動時間などに、スマートフォンなどで動画講座を視聴することで、効率よくインプットができます。何度も繰り返し見聞きすれば、記憶の定着が進みます。短時間で内容を把握するなら、1.5倍速~2倍速での再生もおすすめです
アプリなどで問題演習を解く
スマートフォンのアプリやWebサービスを使って、過去問や一問一答を解くことができます。短時間でもアウトプットを積み重ねることが大切です。
このように、まとまった学習時間が取れない日でも、スキマ時間を積極的に使えば学習時間を確保する事が可能です。特に、勉強時間が限られてしまう社会人の方は、スキマ時間をうまく活用することで合格へ近づくことができるでしょう。
まとめ
中小企業診断士の資格取得は、決して簡単ではありません。しかし、正しい学習法と継続的な努力があれば、誰でも合格を目指すことが可能です。特に、働きながら効率的に学びたい人には、サポート体制が整ったオンライン・通信・通学の講座を受講することが有効です。「経営のプロ」を目指し、ぜひ資格取得を検討してみませんか?
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