2025.08.21

働きながら公認会計士試験に合格するためのポイント

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髙木先生

この記事を書いた人

髙木 瑞姫先生

2023年8月公認会計士登録。地方公務員から公認会計士を志し、2019年8月に公認会計士論文式試験に合格。合格後は大手監査法人に転職後、現在は大手税理士法人に勤務。クレアールの公式YouTubeチャンネルや公認会計士講座の公式Xなどで、受講生に向け、会計士としての仕事の魅力や勉強法のアドバイスなどを行っている。

目次

①勉強時間の確保が難しい社会人受験生は本当に不利なのか?

公認会計士試験はその試験範囲の広さと問題の難しさから、勉強時間をたっぷり取れる学生や受験専念者に有利であると考えられがちですが、本当にそう言い切れるでしょうか。

一般的に公認会計士試験の合格に必要な勉強時間は、3,000時間以上と言われており、私の場合は簿記3級の勉強開始から試験合格までに約3,700時間かかっておりますが、見方を変えると約3,000時間の勉強時間を確保することさえできれば合格することが可能な試験だと言うことができます。

ここで、目安となる3,000時間をどのように捉えるかが問題になりますが、私は、社会人でも十分に確保することが可能な時間数だと思います。では、これを、働きながら勉強する場合にあてはめて考えてみましょう。仮に、平日の勉強時間を4時間、休日を10時間とすると、1か月で約160時間の勉強時間を確保することができます。しかし、実際には残業しなければならない日があったり、余暇の時間も必要になるため、これらを考慮に入れて少し緩めに見積もって1か月120時間程度とします。この場合、計算上は1年半~2年で3,000時間を達成することができますが、合格者の平均的な勉強期間は2~3年程度ですのでこれと比較しても特別長い訳ではないことがお分かりいただけるかと思います。

このように、勉強時間の面では特に社会人に不利ということはありませんが、目安である3,000時間は比較的短期で合格できた場合ですので、これくらいの勉強時間で合格を勝ち取るには寄り道をせずに無駄のない正しい勉強をする必要があります。

②合格に向かった正しい勉強とは?

それでは、合格に向かった正しい勉強とはどのようなものでしょうか。

これは、ズバリ合格者が正答すべき問題を落とさない力をつける勉強であり、すなわち正答率の高い問題を確実に正答するための勉強です。特に、少ない学習時間でこれを身に着けるには出題頻度の低い問題は思い切って切るくらいの気持ちでメリハリをつけて勉強する必要があります!

では、どのように学習範囲にメリハリづけを行うのでしょうか?これには予備校のテキストや、答練・模試の出題内容が非常に参考になります。例えば、各科目のテキストで重要度がA・Bランクとされている論点は、その科目の基礎基本であり本試験レベルの問題を解くために必ず理解しなければならない内容であるため優先的に取り組むべきです。また、答練や模試で実際に本試験で問われる可能性の高い問題が出題されることが多く、さらにここで出題された問題は本試験までに多くの受験生がマスターしてくるため、合格するためには絶対に落とせない内容となります。私が受験した回でも、答練で出題されたものと似たような問題が多く出題されました。

私自身、テキストA・B論点中心の学習と答練や模試で出題された問題のマスターというシンプルな戦略で合格を勝ち取ることができました。このように、時間的制約のある社会人受験生が合格するためには、最低限の勉強時間で学生や受験専念者に差をつけられないよう工夫することが重要ですので、ぜひ学習範囲にメリハリをつけた勉強を実践していただきたいです。

③時間的制約を味方につけて合格を勝ち取る!

時間的制約は社会人受験生の敵と言われがちですが、これをうまく活用する方法があります。

例えば、依頼された仕事に締め切りが設定されていたため、締め切りまでに間に合わせようと集中して取り組んだという経験はありませんか?これを勉強に置き換えて、3問の計算問題に、①制限時間なしで取り組む場合と、②15分という制限時間の中で取り組む場合を考えてみましょう。さて、皆さんはどちらの方が集中して取り組めると思いますか?なんとなく、②15分という制限時間の中で3問の問題を解く方が、集中して取り組むことができると思いませんか?これは、心理学用語で「締め切り効果」と呼ばれており、人間は時間的余裕がある中で取り組むよりも、時間的制約がある方が高い集中力を発揮することができるということを説明した事例です。つまり、勉強時間を制限することで、集中力を高めて効果的な学習をすることができるということなのです。

社会人受験生の皆さんには、どうしても時間的な制約が伴います。しかし、それをマイナスに捉えるのではなく、むしろその制約を意識することで、限られた時間の中で集中力を高めて効率的に勉強に取り組むことができます。ぜひ前向きな気持ちで、この状況をプラスに変えていきましょう!

④短時間の学習サイクルで定着を図る

先ほどの例では15分という時間を使いましたが、これは一般的に人間が集中力を持続できる時間の限界だと言われております。さらに15分の学習+5分の休憩というサイクルが長期記憶に有効であるとの研究報告もあります。

また、公認会計士試験では、計算も理論も「定着」こそが合格への鍵となります。特に解答スピードが求められる短答式試験では、典型的な問題は見た瞬間にロジックや計算プロセスが頭に浮かぶレベルまで「定着」させる必要があります。
では、「定着」を図るためにはどうすれば良いのでしょうか?それは、シンプルに自分の頭に染み付くまで何度も繰り返すことです。私たちは何かを覚えようとする際に、できれば一度で記憶したいと考えますが、人は忘れる生き物であるため、大抵の場合それは叶いません。 忘れてしまうことはごく自然なことなので、忘れてしまっても自分を責めずに、「覚える→忘れる→覚え直す」というサイクルを何度も繰り返すことが大切です。繰り返していくうちに、必ず覚えられる時が来るので、焦らず粘り強く取り組んでいきましょう。

前述の「15分の学習サイクル」と「繰り返し学習」の理論を組み合わせて、日々のスケジュールの中に短時間の学習を上手く取り入れてみてください。15分程度であれば通勤時間や昼休憩などを利用して確保することが可能だと思います。例えば、行きの電車では監査論、帰りの電車では企業法、昼休憩には簿記の計算問題を2問解くといった具合にルールを決めて短時間の勉強を繰り返すことで、効果的な学習を実践してみてください。

⑤おわりに

今回は、社会人受験生に向けて、働きながら公認会計士試験に合格するための勉強方法に関するアドバイスをさせていただきました。これまで述べてきたとおり、合格のためには必ずしも長時間の勉強が必要というわけではありません。限られた時間の中で、いかに効率的かつ効果的に学習を進めるかが重要です。短時間でも集中して取り組むことで、十分に合格を目指すことができますので、ぜひ実践していただければと思います。「メリハリ」、「集中力」、「繰り返し」、この3つのポイントを意識してご自身に合った学習方法で進めてみてください!


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