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今やビジネスの世界では、PCを使って日常業務を行うのは当たり前となっています。しかし平成が始まった1989年当時はアナログ媒体による情報伝達が一般的で、現在のようなPCによるデジタル化された情報処理はほとんど行われていませんでした。
それではPC等が無かった時代、企業内ではどのようにしてデータ管理や資料作成、プレゼンテーションが行われていたのでしょうか。今回は、平成30年間で変わった企業における業務のあり方について紹介します。
目次【本記事の内容】
今や、Chatwork、Slack、Lineなど、社内コミュニケーションにおいて、ITツールが各企業で使用され、自分のデスクから動くことなく、データ・資料を使った情報共有を瞬時に行うことができます。
一方、30年前は、従業員同士が業務上の情報共有を行う基本的な方法は「回覧板」でした。資料やデータが挟んであるファイルを、関係者の間で回していくのです。閲覧したら、所定の記入箇所に認印もしくはサインをし、次に見てもらうべき従業員に回します。
この方法では当然、離れた階にいる人に連絡する場合、エレベーター・階段を使って行き来する必要があり、従業員にとっては大きな負担でした。
そこで、高層の本社ビルを持つ企業などでは「エアーシューター」が導入されていました。これは資料などを入れた筒状の容器を全階に通っている管の中に入れて、圧縮空気や真空圧を利用して、届けたい階に送るという器具です。今でも宿泊業や医薬品メーカーなど一部の業種では使用されていますが、一般の民間企業では現在ほとんど使われなくなりました。
インターネットが使えない時代、大変だったのは海外とのやり取りです。電話で言葉を伝えるだけでなく、文字化・図表化された情報を交換したい場合、方法は限られていました。
現在ではEメールを使った連絡はもちろん、WEB会議によって世界中どこにいる人とでも画像・映像を使った打ち合わせをリアルタイムで行えます。
しかし平成が始まった当時、連絡手段はFaxが中心で、企業・業種によっては電報やテレックスも使われていました。テレックスとはキーボードを備えている通信機器で、メッセージを打ち込んで送信ボタンを押すと、送付先にあるテレックス端末で文字が印刷されます。短い文章で連絡したいときは電報、比較的長い文章を送りたいときにはテレックスが使われていたのです。
現在ではPCのハードディスクをはじめ、ネット上のオンラインストレージを使ったデータ管理が当たり前となっています。情報はすべてデジタル化されており、データの検索、保存も容易です。
しかし、30年前は資料・データはすべて紙媒体であり、保存方法はファイルに挟んで職場の戸棚、あるいはデスクの大きな引き出しに入れておくのが基本でした。その際に重要だったのが「ファイル用のインデックス」。どこに何があるかが分かる「仕切り」を作り、取引先・得意先別、業務別、時間別といった形で整理されていたわけです。
ただ、必要な資料を探す場合はインデックスごとの大まかな検索しかできず、そこから先は一枚一枚を目でチェックするしかありませんでした。瞬時にキーワード検索できる現在に比べると、やはり業務効率は低いと言わざるを得ません。
現在はPCのワープロソフトや表計算ソフトなど、資料作成を容易にするツールが豊富にあります。しかし30年前は基本的に、文字はワープロまたは手書き、図表は基本的に手描きでした。
ワープロは、現在のPCにおけるワープロソフト機能だけを備えた機器です。ただ、大量のデータを保存・計算し、グラフ表示するといった機能までは、当時のワープロは備えていません。そのため、データ処理を行うための計算は従業員各自が計算機を使って行い、表やグラフは物差しや三角定規を使って書く必要がありました。これらの作業を1人ですべて行うのが難しいため、資料作成は「ワープロで文字を打つ人」「データを計算する人」「グラフを作る人」など、職場内での分業体制で行われることも多かったのです。
30年前のプレゼンテーションは、基本的に紙とOHPを使って行われるのが一般的でした。OHPとはオーバーヘッドプロジェクターのことで、透明なシート・フィルムに書かれた文字や図表を、スクリーンに映し出す機器のことです。現在ではパワーポイントなどの専用ソフトを使って、画像・映像を使いながらプレゼンテーションするのが常識となっていますが、当時はOHPを使うことがプレゼンテーションにおける一種のスタンダードとなっていました。
30年前と比較すると、情報化が進んだ現在はいかに業務が効率化しているのかが分かります。かつては何十分、何時間も要していたのに、今では瞬時にもしくは数分でできるという作業が少なくありません。
しかし、こうしたハード面での業務量が削減された分、現代の従業員は幅広い情報を素早く処理できる力、新しいものを創造できる力など、ソフト面での能力が問われるようになっています。自分を磨き、スキルアップを図る必要性は、30年前よりずっと増していると言えるでしょう。
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