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2024年12月17日に、公正取引委員会と中小企業庁は、政府に対して下請法の改正を求める報告書をまとめました。現行の下請法では規制が難しい事案についても、新たな基準で規制強化を図る改正原案です。多くの企業にとって重要な改正になると思われるので、現在明らかになっている原案の中身について紹介しましょう。
元請・下請などが階層構造で業務を遂行する場合、立場によって優劣関係が生じる可能性があります。そのような親事業者と下請事業者との間での、優越的地位の濫用を取り締まる法律が「下請法(下請代金支払遅延等防止法)」です。
下請法で下請として規制される取引関係は、以下の4つに分類されています。
こうした取引関係にある場合、親事業者側が一方的に代金支払いを遅らせたり、著しく低い代金設定をすることは、決して珍しいことではありません。この状況を放置しておくと、下請事業者側は健全な経営ができません。そのため、適正な取引関係を構築するために下請法が必要になるのです。
下請法改正は通常国会において、2025年のうちに成立を目指すと見られます。現行法では、親事業者と下請事業者との資本金比率によって適用条件が決まっていました。しかし実際には抜け道があり、「下請法逃れ」も横行していました。
そこで、改正案では適用条件に従業員数も追加することになりました。また、これまでは下請法の対象にならなかった、荷主と運送事業者との関係にも同法を適用する見込みです。中小企業の経営基盤が弱まりつつある中で、政府も下請法改正の緊急性を重視していたのでしょう。
今回の改正案では、どのような点が変わるのでしょうか?ここから、現行の下請法の問題点と、それに対する改正内容を比較・検証してみましょう。
(問題点1)資本金のみにより適用が決まる
現在は資本金によって下請関係が決められていますが、資本金を操作することにより、下請法逃れをするケースがあります。そこで改正案では、従業員数300人(役務提供委託は100人)が基準に追加される見込みです。
(問題点2)買いたたきを規制できない場合がある
一般的に適正と考えられる代金よりも、著しく低い金額を設定する、いわゆる「買いたたき」にはいくつかのパターンがあり、いずれも優越的立場を濫用した悪質な行為です。そのため現行の買いたたき規制に加えて、親事業者の下請代金決定に関する新たな規制の枠組みを設ける予定です。
(問題点3)代金支払いまでに60日間を超えるケースがある
現行法では、親事業者は手形などによる支払いが認められていますが、場合によっては下請事業者が代金を受領するまでに60日を超えることがあります。これでは資金繰りに大きな支障を来すでしょう。そこで改正案では、手形などによる支払いは認めないことになっています。
(問題点4)物流・運送業者は対象になっていない
現行法では、事業者どうしは下請関係が認められますが、荷主と事業者の間では認められていません。業界の現状を考慮して、改正案では荷主と物流・運送事業者の間でも下請法が適用されることになります。
ここ数年続く物価上昇は、国内の中小零細企業の経営に多大な影響を与えています。しかも資金に余裕があり、比較的値上げや賃上げに自由度がある大企業とは異なり、中小零細企業がコストの上昇分を価格転嫁するのは簡単ではありません。
また、元請・下請という取引関係では、どちらが優位な立場にあるのかはいうまでもなく、下請事業者は取引を維持するため、多少無理な注文でも受け入れざるを得ないのが実情です。こうした状況は、名の知れた大企業周辺でも珍しいことではなく、時折ニュースでも報じられています。
この現状を見直して、中小零細企業でも適正な代金で仕事を受注でき、賃上げも実現可能にするためには、実質的に抜け道のある下請法を改正して、規制の厳格化に着手する必要があると考えられます。今回の法改正が成立したとしても、さらに次の改正案が提議されるかもしれません。法務担当者は、常に新しい法令について確認する必要があるでしょう。
最新の法令改正のまとめについては、以下のページでご確認いただけます。
https://www.manegy.com/article_review/
2024年11月からは、ひと足早くフリーランス保護法が施行されました。2025年には対象になる範囲をさらに拡大して、企業間または事業者間における公正な取引関係の維持が強化されるでしょう。結果的に中小零細企業の経営基盤が底上げされれば、すべての企業や事業者の賃上げも可能になるというのが、政府が描くシナリオのようです。
参考サイト)
公正取引委員会|ポイント解説下請法
日本経済新聞|下請法改正案、従業員数の基準新設 中小の価格転嫁促す
日本経済新聞|下請法改正案、価格協議を義務に
牛島総合法律事務所|下請法2025年改正検討案の現在
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