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日本紙幣の歴史

公開日2019/06/17 更新日2019/06/18
日本紙幣の歴史

「平成」から「令和」へ元号改正が行われると同時に、大きな話題となっているのが、新紙幣発行のニュースです。2024年に1000円札に北里柴三郎、5000円札に津田梅子、1万円札に渋沢栄一が起用される予定です。

そこで今回の記事では、これまでの紙幣の歴史と共に、どのような人物が肖像画として起用されたのか、振り返ってみましょう。

紙幣の登場以前は硬貨が主流

紙幣(お札)が金銭的価値をもって流通し始めたのは江戸時代からです。それまで、お金として用いられていたのは「硬貨」でした。鋳造技術さえあれば同じ形状で、いくらでも量産できるほか、ヒモに通してどこにでも持ち運びできる利便性などから、広く一般に流通していました。とりわけ金、銀、銅などの鉱物は貴金属としての価値もあることから、信頼を得やすかったというのも、硬貨が流通していた大きな理由として挙げられます。

紙幣の誕生

江戸時代に入って人口が急増すると、硬貨を作るための金属が不足するようになりました。そこで着目されたのが、海外で流通していた紙幣です。日本最初の紙幣は、三重県の商人の間で使われていた「山田羽書(やまだはがき)」だといわれています。1600年頃のことですので、ちょうど徳川家康が江戸幕府を始めた頃です。

その後、1661年頃に福井藩が領土内だけで使用できる「藩札(はんさつ)」を発行しました。財政難に苦しんでいた日本中の藩主にとって、鉱物を用いずに経済活動を促進できる紙幣は、大変魅力的に映りました。この動きは国内で大きなムーブメントとなり、244藩で藩札が発行されたといわれています。

日本全国共通の紙幣が発行

明治時代の幕開けとなる1868年には、日本全国で通用する政府紙幣「太政官札(だじょうかんさつ)」が発行されました。明治の始まりは文明開化の幕開けだといわれていますが、日本の貨幣経済にとってもエポックメイキングな年だったのです。しかし「太政官札」は簡単に偽造できるものだったため、日本経済に大きな混乱を招きました。そのため、日本政府は印刷技術で世界有数の技術大国だったドイツやアメリカにお札の発行を依頼しました。1870年、ドイツに製造を依頼した紙幣は「新紙幣」、1871年、アメリカに依頼した紙幣は「国立銀行紙幣(旧券)」といいます。

肖像画入りの紙幣が登場

1881年に、新紙幣に代わるお札として初めて「肖像入りの紙幣」が登場しました。ここから、肖像画を用いた日本紙幣の歴史が始まります。肖像画に起用された人物は「神功皇后(じんぐうこうごう)」です。朝鮮半島(新羅)に出兵し、広い地域を征服下に置いたという「三韓征伐物語」の中心人物です。この紙幣は、エドアルド・キヨッソーネというイタリア人技師が担当したこともあり、洋風の顔立ちで描かれている点が大変特徴的です。

日本銀行から紙幣が発行

1885年に日本銀行から初めて発行されたのが「日本銀行兌換銀券(にほんぎんこうだかんぎんけん)」です。七福神の一人である大黒天が描かれていることから「大黒札(だいこくさつ)」といわれ、広く親しまれました。

その後は現在に至るまで、肖像画が描かれた紙幣が日本銀行券の中心となりました。現在、日本はもとより世界で流通している紙幣の70%に肖像画が起用されています。人間は、顔の特徴や違いを識別する能力に優れており、偽造された紙幣の小さな変化にも敏感に気づくことができるため、肖像画が多く起用されるようになったといわれています。

これまで日本紙幣に登場した人物

日本の紙幣には、今まで誰の肖像画が紙起用されてきたのか、簡単にご紹介します。

1881年
神功皇后(古墳時代の第14代天皇)「三韓征伐物語」の中心人物
1888年菅原道真(学者・政治家)学問の神様として著名な人物
1889年武内宿禰(大臣)神功皇后と共に新羅征伐に関わったとされる歴史上の人物
1890年和気清麿呂(貴族)
僧侶・道鏡が天皇位を得ようとした画策を阻止した人物清麿呂(貴族)
1891年藤原鎌足(政治家)大家の改新を成し遂げた人物
1930年聖徳太子(皇族/政治家)仏教文化の開花に貢献した人物
1945年日本武尊(皇族)日本書紀や古事記に伝わる歴史上の英雄
1946年二宮尊徳(農民思想家)苦学ののち一家を再興した努力家
1948年板垣退助(政治家)倒幕に関わったのち、自由民権運動を主導した人物
1951年高橋是清(政治家)総理大臣や大蔵大臣を務めた人物
1951年岩倉具視(政治家)廃藩置県を行い、近代的集権国家を築いた人物
1963年伊藤博文(政治家)木戸孝允、高杉晋作と協同して尊王攘夷運動を行った人物
1984年夏目漱石(小説家)「吾輩は猫である」「こころ」などで知られる人物
1984年新渡戸稲造(思想家)「武士道」を英語で世界に紹介した人物
1984年福沢諭吉(思想家)「学問のすすめ」などで知られる人物
2000年紫式部(作家)「源氏物語」などで知られる女性作家
2004年野口英世(学者)黄熱病の研究など、医療の発展に尽力した人物
2004年樋口一葉(小説家)「たけくらべ」や「にごりえ」などの小説で知られる人物
2024年(予定)渋沢栄一(実業家)道徳経済合一を唱え約500の企業を創設した人物
2024年(予定)津田梅子(教育)女子の英語教育を推進した人物
2024年(予定)北里柴三郎(学者)伝染病や細菌学の研究に尽力した人物

肖像画の起用におけるトレンドの変遷

概観してみると、初期は歴史上の英雄が起用されることが多いです。しかし、戦後に入ると一変し、政治家が立て続けに起用されています。そして昭和から平成への元号改正を前後して夏目漱石(小説家)が肖像画に起用されて以降は、小説家や学者、教育・思想家などの起用が目立つようになりました。学術・文芸分野の功績者が起用されるようになったのは平成以降の大きな流れといえそうです。

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