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去る10月20日、企業会計基準委員会は、第560回企業会計基準委員会(第5回「のれんの非償却の導入及びのれん償却費計上区分の変更」に関する公聴会)を開催した。
「のれんの非償却の導入及びのれん償却費計上区分の変更」に関して、財務諸表利用者として永沢裕美子氏(フォスター・フォーラム(良質な金融商品を育てる会)世話人)から、個人投資家の立場での意見を聴取した。
説明者の主な発言は次のとおり。
個人投資家は、企業の財務諸表自体でなく、四季報やYahoo!ファイナンス等に掲載されているPL(営業利益、経常利益、当期利益)をみて投資判断を行っているのが大半である。
日本基準と国際基準が混在しているなか、投資の本質は比較であり、異なる基準が混在する現状は問題であると考える。
一般の個人投資家にとって、基準が混在していることや「のれん」が発生することについても知られておらず、機関投資家との情報格差が生じているのかもしれない。
また、企業経営者のなかには実際より「業績をよく見せたい」という欲のある人もいて、その意図を会計監査人や社外取締役が見抜くことが難しいことが問題である。
のれんの非償却導入の前提として、「のれん」の現在価値が定期的に厳格に評価される必要がある。突然の減損や特損の発生は一般の個人投資家に衝撃を与えるが、企業にとっては「のれん」の毎年評価は監査コストの増加になる懸念がある。そのため、のれんの償却に合理性はあると考える。
個人投資家に「のれん」の存在を意識させ、その情報も踏まえた投資判断を可能とする情報開示が求められる。個人投資家は財務諸表の注記がどのように利益に反映するかがわからないので、四季報等でわかるようにするための投資家への情報提供が必要である。
「のれん」の償却方針について一般投資家にも見える形での説明を義務づけ、加えて、損益計算書の営業利益の前に「『のれん』償却前営業利益」を表示することはできないか。
委員から「のれんの非償却を導入するには、ガバナンスの充実などを前提とすべきか」との質問に、説明者は「役員の成功報酬が導入されているなか、経営者が業績をよくみせようとすることを防ぐためのガバナンスが求められる。のれんの非償却は大半の企業では時期尚早、特にガバナンスが機能していない企業の存在には危惧する」と回答した。
また、計上区分の変更の賛否については、「特損への計上は違和感がある」と反対した。
委員から「スタートアップのスピーディな成長は個人投資家にとってもプラスか」との質問に、説明者は「個人投資家に大きなリスクを取らせるのではなく、スタートアップの資金調達は機関投資家が中心になるべき」と回答した。
去る10月16日、企業会計基準委員会は、第97回税効果会計専門委員会を開催した。第96回専門委員会(2025年10月10日号(№1756)情報ダイジェスト参照)等に引き続き、法人税等会計基準の見直しについて、事務局がこれまで行った提案を反映した文案が示され、検討が行われた。
また、同テーマについて10月20日開催の第561回親委員会でも審議された。
主な審議事項は次のとおり。
見直し後の基準の適用時期について、最終基準を公表した日から1年程度経過した年の4月1日以後に開始する連結会計年度および事業年度の期首から適用すると明記されるとともに、前回の検討を受けて、適用初年度の比較情報について新たな表示方法に従い組替えを行わないことができるとする経過措置が盛り込まれた。
専門委員からは、前回の検討で設けないこととなった住民税(均等割)に関する経過措置について、それを設けていないことがわかるようにしてほしいとの意見が聞かれた。
また、第561回親委員会では、「比較情報に関する経過措置を入れた経緯を、結論の背景などで説明したほうがいい」などの意見が聞かれた。
「法人税等」の定義を「法人税その他課税対象利益を基礎とする税金」とするほか、法定実効税率の定義について、現行の算式を削除し、「法令を適用して算定された、課税対象利益に対する税負担」とする案が示された。なお、補足文書で情報提供すること等を今後議論したいとした。
実務対応報告42号「グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示に関する取扱い」について、今後、防衛特別法人税も入ることから、「法人税及び地方法人税に関する会計処理」から「法人税などのグループ通算制度の対象とされている税金に関する会計処理」と、より一般的な表現への置換えや、設例を削除し補足文書で対応する案などが示された。
移管指針6号「連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針」の法人税等の表示区分において、法人税の支払額に含めないものとして、住民税(均等割)を追加するなどの修正案が示された。
令和7年3月31日に公布された「所得税法等の一部を改正する法律」における「防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法(防確法)」の改正により創設された、防衛特別法人税の会計処理および開示に関する当面の取扱いの文案が示された。 会計処理の概要は次のとおり。
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・防衛特別法人税に関する会計処理 地方法人税と同様に取り扱うものとして、法人税等会計基準の定めに従う。 ・税効果会計に関する会計処理 ① 防衛特別法人税について、繰延税金資産および繰延税金負債の計算に用いる税率は、地方法人税と同様に取り扱うものとして、税効果適用指針の定めに従う。 ② 法定実効税率の算定において、地方法人税と同様に防衛特別法人税率を考慮して算定する。 |
適用は、2026年4月1日以後に開始する連結会計年度および事業年度の期首からとする。
専門委員からは、特段異論は聞かれなかった。
第561回親委員会では、「本実務対応報告は、改正法人税等会計基準が適用された後には不要になるが、自動的に削除されるのか」との質問に、事務局から「改正法人税等会計基準と並列に存在しても問題ないものであるが、会計基準適用後どのような形にするか、今後検討する」との回答があった。
受取利息および受取配当金に課される源泉所得税等、親会社および国内子会社が外国の法令に従い納付する税金に関する定め、ならびに結論の背景の文案は次回以降別途検討する予定。
去る10月23日、SSBJは第58回サステナビリティ基準委員会を開催した。
主な審議事項は次のとおり。
(1) コメントの募集期間
ISSBにおけるIFRS S2号「気候関連開示」の修正は年内の公表が目標とされており、事務局は来年3月末までに当該改正に対応するSSBJ基準の改正をすることとしている。その場合、年内には公開草案を公表し意見を募る必要があるため、IFRS S2号の修正が公表される前からSSBJ基準の改正が検討されている。
今回、コメント募集期間を原則的な期間よりも短縮し、40日程度を想定しているとした。
委員からは賛意が聞かれた。
(2)スコープ3カテゴリー15の温室効果ガス排出の測定および開示
ISSBの公開草案と整合的にするため、図表1の修正・追加を行う。
委員からはおおむね賛意が聞かれた。

(3) ファイナンスド・エミッションに関連する特定の要求事項の適用における「世界産業分類基準」の使用
ISSBの公開草案等の内容と整合的にするため、図表2の修正・追加を行う。
また、現行の気候基準におけるファイナンスド・エミッションの開示に関する当面の取扱いを削除する対応案が示された。委員からは賛意が聞かれた。

(4) 適用時期等
事務局はISSBボード会議の暫定決定の内容と整合的にするための次の案を提示した。
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① 適用時期について、2027年1月1日以後開始する年次報告期間からの適用とし、早期適用を認める。 ② 気候基準の改正に伴う比較情報の更新に関して、一定の項目について、改正気候基準を適用する最初の年次報告期間において、比較情報の更新を求める経過措置を追加する。 |
委員からは異論は聞かれなかったものの、比較情報の更新が求められるケースの判別について整理を求める意見が聞かれた。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
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