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出張時の勤務時間はどこまで?管理部門担当者が押さえるべき勤怠・旅費精算・労務リスクのポイント

公開日2025/11/30 更新日2025/11/28 ブックマーク数
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出張時の勤務時間はどこまで?管理部門担当者が押さえるべき勤怠・旅費精算・労務リスクのポイント

出張時の勤務時間は、「どこまでを労働時間として扱い、どこからが移動や待ち時間になるのか」が曖昧になりやすく、経理・人事・労務担当者が判断に迷うケースも少なくありません。

本記事では、出張時の勤務時間に対する基本的な考え方から、移動時間・残業・休日勤務のケース別判断、旅費規程・勤怠ルールの整え方、出張管理チェックリストまでを整理します。

[ 目次 ]

出張中の移動時間は勤務時間に含まれる?

移動時間が労働時間に該当するかは、「会社の指揮命令下にあるか」で判断します。
例えば、移動中に会社の指示で会議参加や資料確認・チャット対応などの業務を行っている場合は、その時間を労働時間として扱います。

この判断基準をもとに、所定勤務時間内外、休日移動や前泊など、具体的なケース別に確認していきます。

所定労働時間内の移動

所定労働時間内で出張先へ移動している場合、その移動時間は原則として勤務時間に含まれると考えられます。始業時刻から終業時刻までが会社が定めた“働く時間”であり、その中で発生する移動は業務遂行の一環と判断されやすいためです。
たとえば始業直後に取引先へ直行したり、会社を出て移動している時間が既に始業時刻を含んでいたりする際には、移動時間として扱われた分の賃金計算や勤怠記録が必要になります。

ただし、所定時間内であっても、移動が業務とは無関係・自由な行為と評価されると勤務時間から除外される可能性もあるため、あくまで「使用者の指揮命令下にあった」「移動が業務のためであった」という実態の有無がカギとなります。

所定労働時間外の移動

所定労働時間を超えた移動時間についても、会社が出発時刻を指定したり移動手段・ルートを指示したりしている場合には、使用者の支配・指揮下にあると判断されて勤務時間に含まれるケースがあります。
つまり「勤務時間外だから必ず対象外」というわけではなく、指示の有無・移動の目的・途中で業務を行ったかどうかを基準に判断されます。

たとえば、定時後に会社から命じられて出張先に向かった移動、または移動中に指示を受けて資料を作成したりするような場合は、時間外労働として扱われる可能性が高まります。

一方で、移動中に特に会社の指示がなく、自由に時間を使える状況であれば、勤務時間とみなされない可能性もあるため、移動時間をどこまで賃金対象とするかにあたっては実態の確認が必要です。

休日の移動や前泊・後泊

休日に出張を行う場合や、出張のために前泊・後泊を伴う移動がある場合、その移動時間が労働時間となるかどうかも、やはり「指揮命令下にあるか」「業務としての移動かどうか」で判断されます。たとえば休日に会社命令で出張先へ移動しており、その移動中に資料確認や打合せ準備など業務的な行動があれば、休日労働として賃金計算の対象となることがあります。

ただし、前泊・後泊を含む移動で、自由に休息・仮眠を取れる時間と判断される場合や、会社から明確な指示がないままの移動であれば、勤務時間には含まれない場合もあります。

出張先での残業・休日勤務の扱い

出張時は、移動・直行直帰・宿泊などが絡み、通常勤務よりも労働時間の判断が複雑になります。実際の勤務実態と勤怠記録にズレが生じやすいため、残業代の計上漏れや割増賃金の誤処理が起こりやすい場面です。また、出張の内容によっては、事業場外みなし労働時間制を適用できるケースと適用できないケースが混在し、判断を誤ると未払い残業のリスクにつながります。

こうした背景から、出張時の労働時間管理では 「残業・深夜・休日労働をどのように扱うか」 と、「みなし労働時間制を適用してよいケースかどうか」 の2点を切り分けて考えることが重要になります。本章では、この2つの観点から、出張時に誤りやすいポイントを整理して解説します。

残業・深夜・休日労働が発生した場合の給与計算・残業代支給

出張先での業務が所定労働時間を超えたり、深夜・休日に及んだりした場合には、基本的には通常勤務時と同様に時間外・休日・深夜労働として割増賃金の対象となります。
特に押さえておきたい点は次の通りです。

法定労働時間(通常は1日8時間・週40時間)を超えているか

超過分は「時間外労働」となり、割増率25%以上が必要です。

休日出勤かどうか

休日に会社命令で出勤・業務を行った場合、「休日労働」となり割増率35%以上が適用されます。

深夜(22時〜5時)に及んだ場合

深夜割増(通常25%以上)を適用します。

みなし労働時間制を適用している場合の例外と注意点

みなし労働時間制とは、実際の労働時間を正確に把握することが難しい業務に対して、あらかじめ「この時間働いたものとみなす」と定めておく仕組みです。実際に働いた時間ではなく、会社が設定した一定時間を労働したものとして扱う点に特徴があります。

出張に関して、この制度のうち「事業場外みなし労働時間制」を適用する企業もありますが、出張であれば必ず使えるわけではありません。適用には、労働時間の把握が困難であることや、使用者の指揮命令が及びにくいことなど、法律上の要件があります。また、上司と一緒に行動していたり、細かな指示を受けながら動いている場合は「算定が困難」とは認められず、実際の労働時間に基づいて残業代を支払う必要が生じることもあります。

整備すべき「旅費規程」と「勤怠管理ルール」

出張に伴うトラブルや精算ミスの多くは、旅費規程や勤怠ルールが不明確であることに起因します。ここでは、旅費規程と勤怠ルールの両面から、整備のポイントを解説します。

旅費規程に明記すべき項目

前泊・後泊の基準は旅費規程に明記します。前泊は「会社命令で前日移動が必要な場合」に限定し、休日移動が勤務時間となるかは上長判断とします。後泊は業務都合で翌日帰着が必要なケースのみ認め、私的な延泊は対象外とします。

まず、出張の定義(どの範囲を「出張」と呼ぶのか)、命令・承認手続き、支給基準(日当・手当・宿泊費など)は必ず明記しましょう。
経費精算の期限・証憑管理、電子帳簿保存法やインボイス制度への対応も含め、関連ルールを整理しましょう。特に、出張手当を非課税で処理する場合は、所得税基本通達9-3(非課税とされる旅費の範囲)に沿った設計を行うことがポイントです。

担当者が押さえる出張管理チェックリスト

出張管理は旅費・勤怠・給与・労務が連動するため、小さなミスでも未払い残業や二重計上などのトラブルにつながります。以下では、経理が確認すべき4つのポイントを紹介します。

① 勤怠データとの照合

出張精算書・交通費明細・出張報告書と勤怠打刻の時刻が一致しているかを照合し、残業・休日勤務の判断に誤りがないか確認します。特に出発・到着時刻や所定外労働の有無は、残業代や休日勤務手当の支給判断に直結します。

打刻漏れや移動中の勤務時間の扱いなどは、人事部門・上司との認識が食い違いやすいため、「出発・帰着時刻の入力ルール」や「直行直帰時の打刻基準」をあらかじめ統一しておきましょう。

② 出張経費(旅費・手当・残業代)の一貫性確認

旅費・日当・残業代の処理ルールが給与・会計と整合しているかを確認し、データ連携に漏れがない仕組みを整えます。

経理担当者は、旅費規程・給与計算ルール・勤怠管理ルールの整合性を確認し、次のような点をチェックしておくとよいでしょう。

  • 出張日数・残業時間が、勤怠・給与計算・旅費精算の各データで一致しているか
  • 旅費精算システムで処理した金額が、会計ソフト上の経費データと突き合っているか

部門をまたぐデータフローを見直し、「勤怠 → 経理 → 給与 → 会計」の一気通貫プロセスを整備することが理想です。

③ 社内周知と運用ルールの定期見直し

出張管理ルールを作っても、運用が形骸化していては意味がありません。
法改正やシステム変更、テレワーク制度の導入など、環境が変わるたびに規程の更新が必要になるため、経理部門と人事部門が定期的に連携し、ルールの整合性をチェックしておきましょう。

④ 出張管理システム導入・活用の検討ポイント

出張精算や勤怠との連携ミスを防ぐには、クラウド型の出張管理システムを活用するのが効果的です。申請・承認から精算、会計仕訳までを一元化でき、経理担当者の負担を大きく減らせます。システムを選ぶ際は、以下の点を確認するとよいでしょう。

  • 勤怠・給与計算システムとの連携ができるか
  • 交通費精算、ICカード連携、領収書電子化(インボイス対応)に対応しているか
  • 承認フローを柔軟に設定でき、スマホでも操作できるか
  • 出張データの分析・レポート機能があるか

出張精算・勤怠連携を効率化したい方は、こちらの「出張管理サービス一覧(経理・財務向け)」もご参照ください。

まとめ

出張時の勤務時間の判断を誤ると、未払い残業や監査指摘につながります。旅費規程と勤怠ルールを明文化し、基準を統一することが何より重要です。

まずは「勤務時間の定義」「直行直帰・前泊の基準」「精算ルール」を見直し、旅費規程と勤怠ルールを一体でアップデートしていきましょう。

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