経理職の残業は本当に多い？平均時間・繁忙期の実態と「残業なし経理」を目指す方法

経理職の残業は、全体平均では月20～30時間とされていますが、決算期などの繁忙期には大幅に増えることが多いのが実態です。

業務プロセスの電子化や効率化、体制強化によって「残業なし経理」も実現できる状況にあります。

経理職の残業は本当に多い？平均時間と全体傾向

経理職の残業は「多い」と思われがちですが、実際には営業職など他部署より際立って長いとは言えません。ただし、会社の規模や業種、担当領域などによって残業時間の実態は大きく異なります。

特に人数の少ない中小企業の経理では一人あたりの業務が集中しやすい傾向があり、企業規模や体制によっては月30～50時間程度の残業が発生するケースもあるようです。
このように、経理職の残業は固定的な数字で語るのが難しく、繁忙期と閑散期の波に左右されやすい職種であることを理解する必要があります。​

繁忙期と閑散期で異なる経理の残業時間

経理職特有の繁忙期は毎月の月末月初、四半期決算、さらに年度末決算業務の時期に集中します。

月初は請求書や領収書の処理、月末は集計や締め作業、年次決算期には資料作成・監査対応などが重なり、通常業務以上の作業量が一気に押し寄せてきます。
こうした時期には、普段なら定時で退社できる職場でも深夜までの残業や休日出勤が発生します。

特に上場企業の場合、連結決算・有価証券報告書の作成なども加わるため、繁忙期には月50～80時間に達する事例もあるようです。 ただし、企業規模や体制により状況は大きく異なります。

経理の残業が多い企業の特徴と少ない企業の違い

残業が多い企業では、業務内容が属人的な運用となりがちです。
一部の担当者に作業が偏り、紙伝票や手入力、手作業中心のアナログ業務が現在も残っています。 こうした環境下では、イレギュラー対応や突発的なトラブルも多く、一人の負担が大きくなり慢性的な残業が発生します。

反面、残業が比較的少ない企業ほど経理業務の標準化と分業が徹底され、電子化やクラウド導入、RPAを積極的に活用して業務効率化を図っているのが特徴です。
また、フレックスタイム制やテレワーク等の働き方改革、社内マニュアルやナレッジ共有の整備も、健全な業務体制構築に欠かせない要素となっています。

業界や企業規模による残業傾向の違い

業界ごとの業務特性も、残業時間の大きな差につながっています。 例えば製造業や商社では取引量が多く、関係部門・取引先との調整や資料回収業務も増えるため、残業過多に陥りやすい傾向があります。

一方、IT系やベンチャー企業は業務デジタル化が進み、労働環境の整備も早いことから平均残業は比較的少なめです。
また、上場企業本体は連結決算・監査・内部統制対応など必要な業務が多く、サービス残業や追加業務も含めると実態はさらに厳しいという現場の声も聞かれます。

経理職の残業を減らす方法

経理職の残業削減には業務効率化が欠かせません。

仕訳や消込作業の自動化、電子請求書・電子領収書導入、ワークフローのデジタル化など、クラウド型会計ソフトやSaaSツールの活用が効果的です。
RPAやOCRによるデータ入力の自動化、社内ナレッジや業務マニュアルの整備による属人化の排除も残業削減の重要なポイントとなります。

近年はfreee、マネーフォワードなど、経理向けのクラウドサービスの普及により、経理仕訳や請求処理を効率化する導入事例が急増しています。
また、チーム単位での業務分担や定型業務のルーティン化、フレックスやリモートワークなど、多様な働き方の導入も大きな効果を発揮しています。

経理の残業に関するよくある質問（FAQ）

Q1： 経理の残業が多いのはなぜですか？

業務が月末・月初の締日や決算期に集中するため、残業が多い時期があります。
また、経理部門には必要最低限の人員を配置する企業もあるため慢性的に人手不足な状態となり、DX化や業務フローの整理といった業務生産性を高める取り組みが進んでいない環境だと、手作業や属人化、マニュアル未整備等が起こり残業が多くなります。​

Q2： 残業60時間は危険水準ですか？

月60時間の残業は健康や生活への負荷が大きく、厚生労働省も危険水準と位置づけています。
このため、法定割増賃金率が50％以上に引き上げられ、長時間残業には代替休暇制度の導入も推奨されています。

Q3： 経理職の繁忙期を乗り越えるコツは？

スケジュールの見える化、分担の徹底、早めの準備、タスク細分化、システム化による負担軽減などがあります。​

まとめ

経理職は「残業が多い」のイメージが先行しがちですが、実際は業務プロセスや組織体制の違いによって大幅に状況が変わります。
システム導入や働き方の見直し、現場の工夫次第で「残業なし経理」を目指すことは十分可能です。
残業の多少だけではなく、業務の成熟度や改善に向けたアクションを重視する視点も必要です。

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