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非課税と不課税、免税の違いは?経理が迷いやすい課税区分をわかりやすく整理

公開日2025/12/20 更新日2025/12/19 ブックマーク数
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非課税と不課税、免税の違いは?経理が迷いやすい課税区分をわかりやすく整理

請求書や仕訳をチェックしていると、「非課税」「不課税」「免税」のどれで処理すべきか迷うことはありませんか。
いずれも消費税がかからない点は同じですが、目的や会計処理は異なるため、判断を誤るとインボイス対応や申告内容に影響することがあります。

本記事では、管理部門が必ず押さえておきたい「非課税と不課税、免税の違い」を、典型例や実務上の注意点とともに整理します。

[ 目次 ]

非課税・不課税・免税とは?

本章では「非課税」「不課税」「免税」それぞれの定義を整理します。

まず、消費税が課税される4つの要件を押さえておきましょう。
1.国内において行われる取引
2.事業者が事業として行う取引
3.対価を得て行う取引
4.資産の譲渡、貸付または役務の提供

国税庁│どんな取引が課税対象?

非課税とは

非課税とは、本来であれば消費税の課税要件を満たす取引であるにもかかわらず、消費税の性質や社会的な配慮を理由に、法律上「課税の対象外とする」と定められているものを指します。
通常であれば課税となる取引を、特別な根拠にもとづき例外的に非課税として扱う点が特徴です。

非課税の対象範囲は消費税法で限定的に列挙されており、その背景には主に2つの考え方があります。
一つは、消費税の仕組みそのものと合わず課税に適さない取引であること。もう一つは、医療や住宅など、社会政策的な観点から税負担を軽減すべき分野であることです。

これらは法律によって明確に規定されており、事業者が判断で非課税扱いにすることはできません。扱いを誤ると申告やインボイス処理に影響するため、根拠に基づいた判断が欠かせません。

不課税とは

不課税取引とは、消費税の課税対象となるための基本条件そのものを満たしていない取引を指します。
消費税は、国内で事業者が事業として行う「対価を得た資産の譲渡・貸付・役務提供」に課されますが、これらの要件のいずれかが欠ける場合、その取引は最初から課税の枠外となります。

たとえば、企業が従業員へ支払う給与は、事業者間の取引ではなく「事業としての資産の譲渡等」に該当しないため、不課税扱いになります。
また、寄附金の受領も、何らかの提供行為に対する見返りが存在しないため、同様に不課税に分類されます。

このように、不課税は「対価性がない」「事業取引に当たらない」といった理由で、消費税法上、課税対象外とされる点に特徴があります。

免税とは

免税とは、対価を得て行われる取引であっても、「国内で消費されない取引」に適用される制度です。
消費税は本来、日本国内で消費される商品やサービスに課される税金であり、国内で消費されないものには税がかかりません。
そのため、輸出品など最終的な消費が海外で行われる取引は、課税取引であっても税率を0%として扱われます。

一般に「免税店」と呼ばれる店舗は、この免税制度を利用し、旅行者が国内で購入しても日本国外で消費される前提のため、消費税を課さない仕組みになっています。

非課税と不課税と免税の区分はなぜ必要なのか

不課税・非課税・免税はいずれも「消費税がかからない」という点では共通していますが、それでも区分を明確に分けて処理する必要があります。

その理由は、これらの区分が課税売上割合(全売上のうち課税売上が占める割合)の算定に直接影響するためです。
不課税売上高は非課税割合の算出に当たって分母分子に含まれませんが、免税売上高は課税売上高に含まれます。課税売上割合が誤って計算されると、仕入税額控除の金額が変動し、最終的な消費税の納付額にもズレが生じてしまいます。

つまり、日々の仕訳で「どの区分に当たるのか」を正しく判断できなければ、申告内容そのものが不正確になる可能性があります。
消費税の適正な申告を行うためにも、取引が不課税・非課税・免税のどれに該当するのかを慎重に見極めることが求められます。

「非課税」取引の実務ポイント

非課税取引は法律で範囲が明確に定められており、日常の会計処理でも頻繁に登場します。まずはどのような取引が非課税に該当するのか、典型例から確認しておきましょう。

非課税となる典型例

非課税となる取引は幅広く、実務でも頻繁に登場します。代表例は次のとおりです。

<非課税取引の例>
・郵便切手・収入印紙の購入や譲渡
・社会保険診療などの医療費給付
・住宅の貸付(一定要件あり)
・預金利息・貸付金利息
・有価証券(小切手・手形など)の譲渡

非課税は範囲が広く判断が分かれるケースも多いため、迷った場合は国税庁の非課税取引一覧を確認することが有効です。

実務でのポイント

・取引が「対価を伴うものか」「貸付・利息・金融商品か」「住居用貸付か」など、どの典型例に近いかを整理して判断を進めましょう。

・法律に明記された非課税取引の範囲ですので、「なんとなく非課税」という判断ではなく、条文・国税庁の公表例・判例等の根拠を確認しましょう。

・特に「住居用貸付」と「事業用賃貸」では区分が異なり、誤処理しやすい点に注意が必要です。

「不課税」取引の実務ポイント

次は、不課税に分類されるのはどのような取引か、代表的なケースを確認していきましょう。

不課税取引となる典型例

代表的な不課税の例は以下のとおりです。

<不課税取引の例>
・給与・賞与(雇用契約に基づく労働の対価)
・寄附金・祝金・見舞金・補助金(対価性がない)
・無償の試供品や見本金の提供
・保険金・共済金
・配当金・出資分配金
・資産の廃棄・盗難・滅失
・損害賠償金(※対価性がある場合は課税)

なお、損害賠償金や補填金であっても、名称にかかわらず実質的に資産の譲渡等の対価とみなされる場合は課税扱いになる点には注意が必要です。

実務でのポイント

・不課税の最大の特徴は 「最初から消費税の対象にならない」 という点。

・つまり、課税売上割合にも入らず、仕入税額控除にも影響しない。

・一見「補填金」や「見舞金」のようにみえても、実態として対価性がある場合は課税扱いになるため注意が必要。

例:事務所の明渡しが遅れた場合に賃貸人が収受する損害賠償金が賃料相当の場合⇒ 課税

区分を誤った場合の影響

消費税の区分を誤って処理すると、企業の申告内容に大きなズレが生じる恐れがあります。
課税区分は課税売上割合の算定に直結するため、ひとつの誤りが納付額や還付額の計算結果にまで影響します。

特に、非課税取引は課税売上割合の「分母」に含まれる一方で、不課税取引は計算の対象外となります。
この違いを取り違えると、仕入税額控除の金額が変わり、最終的な税負担にも影響が及びます。

万が一、後になって誤りが判明した場合には、修正申告を行う必要があり、追加の税金や加算税が発生する可能性もあるため、日常の経理処理でも慎重な判断が求められます。

非課税・不課税に関するよくある質問

非課税と不課税は似た言葉ですが、「対価性があるか」「法律で非課税と定められているか」という点で大きく異なります。
ここでは、管理部門が日常業務で必ず直面する“迷いやすい取引”について、よくある質問形式で整理します。

寄附金・補助金は非課税か不課税か

寄附金・補助金は原則「不課税」です。
いずれも対価性がなく、消費税の対象となる「資産の譲渡や役務提供」に該当しません。

ただし、実質的に業務の対価とみなされる特殊な補助金は課税となる可能性があります。

給与・旅費・福利厚生費はどちらに区分するか

給与・賞与は「不課税」(雇用契約に基づくため)。
旅費は原則「課税」(運賃・宿泊費など)。

福利厚生費は多くが「課税」ですが、社会保険料など「対価性がないもの」は「不課税」になります。

保険金・損害賠償金・補償金はどの区分か

原則「不課税」です。
いずれも対価性がなく、損害や契約に基づく給付と位置づけられます。

ただし、賃料相当の遅延損害金や使用料の補填と判断されるものは課税扱いになります。

自治体交付金・助成金の課税区分

多くの交付金・助成金は「不課税」です。
行政目的の給付で対価性がないためです。

ただし、行政からの委託業務として支払われる「委託料」は課税となるため、通知書や契約書の文言で判定が必要です。

住宅家賃と事務所家賃の違い

住宅家賃は「非課税」、事務所家賃は「課税」です。
消費税法で「居住用の貸付のみ非課税」と定められているため、用途により区分が明確に分かれます。

まとめ

非課税・不課税・課税・免税の違いは、類似した名称でありながら、根拠・帳簿処理・申告への影響が大きく異なります。

特にインボイス制度開始後は、区分ミスがそのまま仕入税額控除や課税売上割合に影響し、取引先への迷惑や修正申告につながるリスクも高まっています。

まずは「対価性の有無」「法律で非課税と定められているか」という基本の分岐を押さえ、迷いやすい取引は社内でルール化しておくことが重要です。
今日から、請求書・仕訳・マスタ設定を見直し、区分ブレをなくす体制づくりを進めていきましょう。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。

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