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減価償却とは?基本的な仕組みや計算方法、特例制度を徹底解説

公開日2025/12/21 更新日2025/12/19 ブックマーク数
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減価償却とは?基本的な仕組みや計算方法、特例制度を徹底解説

企業が保有する設備や機器などの資産は、時間の経過とともに価値が減少するため、その減少分を適切に費用化する「減価償却」の理解が不可欠です。
特に経理部門は、固定資産の管理や決算処理において、減価償却の仕組みや計算方法を正確に押さえておくことが求められます。

本記事では、減価償却の基本から計算方法、仕訳方法まで、経理担当者が知っておきたいポイントをわかりやすく解説します。

[ 目次 ]

減価償却とは?

減価償却とは、企業が取得した固定資産の価値が、使用や経年により徐々に減少していくことを会計上の費用として計上する仕組みです。
たとえば、パソコンや社用車、備品、機械装置などの資産は、購入した年だけでなく数年間にわたり使用されるため、その価値の減少分を耐用年数に応じて分配し、毎期の費用として計上します。

経過年数 購入金額 減価償却費
1年目 300,000円 50,000円
2年目 - 50,000円
3年目 - 50,000円
...

取得時に一度に全額を費用計上するのではなく、資産が生み出す利益と対応する形で費用を配分すること(費用収益対応の原則)で、期間ごとの利益を正しく把握できるようになります。

参照:減価償却のあらまし|国税庁

減価償却の対象資産・対象外資産

減価償却は、すべての固定資産に適用されるわけではなく、資産の種類によって処理方法が大きく異なります。

ここでは、減価償却の「対象資産」と「対象外資産」の区分を整理します。

減価償却の対象資産

減価償却の対象となるのは、1年以上使用する固定資産のうち、時間の経過や使用によって価値が減少するものです。
企業が日常的に使用する資産の多くが該当し、主に以下の3つの区分に分類されます。

有形固定資産

有形固定資産とは、建物や建物附属設備、機械装置、工具器具備品、車両運搬具、船舶など、物として存在し、使用とともに劣化する資産を指します。
オフィスの空調設備やコピー機、機械装置など、耐用年数が税法で細かく定められている点が特徴です。

参照:主な減価償却資産の耐用年数表|国税庁

無形固定資産

無形固定資産とは、ソフトウェア、特許権、のれんなど、物理的な形がない資産です。
物理的な形がない資産も価値が時間とともに減少するため対象となります。

生物や鉱物資源など特殊な資産

家畜(繁殖用・役務提供用)や鉱業権など、一部の特殊資産も減価償却の対象に含まれます。

これらの資産は、取得価額に付随費用(送料や設置費用など)も含めて資産計上し、耐用年数に応じて減価償却を行う点を押さえておく必要があります。

減価償却の対象外資産

一方、固定資産の中には減価償却の対象とならないものもあります。
代表的なものは次のとおりです。

土地

土地は時間の経過で価値が減少しないと考えられているため、減価償却の対象外です。
建物と同じタイミングで取得しても、土地部分は償却できない点に注意が必要です。

美術品・貴金属など価値が減少しない資産

希少性が高く、むしろ価値が上昇する可能性がある美術品や貴金属は、原則として償却対象外です。
ただし、会社で使用し、耐用年数が見込まれるものは減価償却の対象になる場合があります。

短期間で消費される資産

使用期間が1年未満の備品、または取得価額が10万円未満の物品は消耗品費として処理するのが一般的で、減価償却は行いません。

減価償却の計算方法

減価償却の計算方法には、毎年一定額を償却する「定額法」のほか、「定率法」「生産高比例法」「リース期間定額法」など複数の方法があり、資産の性質に応じて使い分けられます。

償却方法 特徴
定額法 ・毎年同じ金額を費用化する方法
定率法 ・期首帳簿価額に一定率をかけて計算する
・初期費用が大きい
生産高
比例法
・使用量(生産量)に応じて費用が変動する方法
リース期間
定額法
・リース期間で均等に償却する方法

定額法

定額法は、毎年同じ金額を費用として計上する減価償却方法です。
耐用年数に応じて取得価額を均等に配分するため、計算がシンプルで予測もしやすく、多くの企業で採用されています。
建物やソフトウェアなど、使用状況が年ごとに大きく変わらない資産に適しています。

計算式は、

各年の償却費の額 =
取得価額 × 定額法の償却率

で求めることができ、毎期一定額が減価償却費として計上されます。

定率法

定率法は、期首帳簿価額に一定の償却率を掛けて減価償却費を計算する方法で、減価償却費が年々減少していくのが特徴です。
資産の利用価値が初期ほど高い設備や機械装置など、使用開始直後に多くの価値を提供する資産に適しています。

初期の費用計上額が大きくなるため、当初の利益を圧縮し、税負担を軽減する効果があります。
250%定率法」など償却率が法令で定められており、最終的には定額法へ切り替わる仕組みになっている点も押さえておく必要があります。

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生産高比例法

生産高比例法は、資産の使用量に応じて減価償却費を計算する方法で、生産設備や採掘機械など、稼働量や生産量が価値減少と密接に結びつく資産に適しています。

計算式は、

各年の償却費の額 =
当期の生産量 ÷ 総生産可能量 × 取得価額

となり、生産量が多い年は減価償却費が増え、生産量が少ない年は減価償却費も小さくなります。

実際の使用実態を会計に反映できる一方、総生産可能量を正確に見積もる必要があるため、経理担当者は生産管理部門との連携が重要になります。

リース期間定額法

リース期間定額法は、リース資産の償却をリース期間で均等に配分する方法です。
所有権移転外リース取引では、借手側が資産計上し、リース期間にわたり定額で減価償却を行います。

計算式は、

各年の償却費の額 =
取得価額 ÷ リース期間

で求めることができ、毎期同額を費用として認識します。

使用期間が明確なリース契約に適しており、実務では会計基準や契約内容に沿った正確な償却処理が求められます。

参照:定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)|国税庁

減価償却の仕訳方法

減価償却では、「費用を計上する」だけでなく、固定資産の残りの価値(帳簿価額)をどのように管理するかによって、仕訳方法が「直接法」と「間接法」の2種類に分かれます。
ここでは、それぞれの違いや特徴を整理し、具体的な仕訳方法をわかりやすく解説します。

直接法

直接法は、減価償却費を計上すると同時に、固定資産の帳簿価額(資産の残り価値)を直接減らしていく方法です。
たとえば、機械装置を100万円で取得し、毎年10万円を償却する場合、減価償却費10万円を計上し、同時に固定資産の帳簿価額も10万円減少させます。

直接法での仕訳例(10万円を減価償却した場合):

借方 貸方
減価
償却費
100,000円 機械
装置
100,000円

固定資産の残高がそのまま「現在の価値」を表すため、帳簿価額をシンプルに把握できる点がメリットです。
一方、資産の取得価額が途中でわからなくなるため、実務ではあまり使われず、主に小規模な会計処理や内部管理で採用されるケースが多くなっています。

間接法

間接法は、減価償却費を「減価償却累計額」という専用の勘定科目に積み上げて管理する方法です。
固定資産そのものの帳簿価額は減らさず、別の科目で減価償却分を管理するため、実務ではこちらが一般的です。

間接法での仕訳例(10万円を減価償却した場合):

借方 貸方
減価
償却費
100,000円 減価償却
累計額
100,000円

固定資産の帳簿上は取得時の金額が残り続け、「取得価額」と「減価償却済額」が明確に区分できるのが特徴です。
税務・会計ともに管理がしやすいため、多くの企業の決算書では間接法が採用されています。
監査や税務調査でも、累計額によって償却済み金額が一目で分かりやすいというメリットがあります。

企業が減価償却をするメリット

減価償却は、単に会計上のルールとして行うものではなく、企業の経営管理や資金計画にさまざまなメリットをもたらします。
ここでは、企業が減価償却を行うことで得られる主な効果を、管理部門の視点からわかりやすく整理します。

キャッシュフローを安定させられる

減価償却は、資産を購入した年度に全額を費用化せず、耐用年数に応じて費用を分散して計上する仕組みのため、毎期の利益や税負担の変動を抑え、キャッシュフローを安定させる効果があります。
もし取得年度に全額を費用として認識すると、その年度だけ利益が大きく減少し、税額も大きく変動してしまいます。

減価償却によって費用を複数年に分散することで、利益計画の精度が高まり、資金繰りの見通しが立てやすくなります。

損益の実態を把握できる

減価償却は、資産が生み出す収益と、その資産の費用化を対応させる「費用収益対応の原則」に沿った会計処理です。
これにより、各年度の利益が実態に近い数値となり、経営判断に活用しやすくなります。

たとえば、製造設備を購入しても、その設備は複数年にわたり売上に貢献します。
そのため、購入時に全額を費用にしてしまうと、その年度だけ利益が不自然に圧迫され、翌年度以降は本来より高く見えてしまいます。

減価償却を行うことで、資産の価値減少を適切に反映し、企業の収益性をより正確に把握できるようになります。

財務指標の精度向上につながる

減価償却を正しく行うことで、営業利益・EBITDA・ROA(総資産利益率)などの重要指標が実態に近づき、財務分析の精度が高まります。
特に、減価償却費を除いた利益であるEBITDAは、企業の稼ぐ力を示す指標として金融機関や投資家から重視されており、設備投資の多い企業ほど影響が大きくなります。

また、固定資産の帳簿価額が正確に管理されることで、総資産の数値も信頼性が高まり、金融機関とのコミュニケーションや内部管理に役立ちます。
減価償却は、単なる会計処理ではなく、企業の財務基盤を支える重要な要素と言えます。

減価償却の特例制度

減価償却には、資産の金額や使用目的に応じて特例的な処理が認められているケースがあります。
ここでは、特に利用頻度の高い「少額減価償却資産」と「一括償却資産」について、その概要と扱い方を説明します。

少額減価償却資産の特例

少額減価償却資産とは、取得価額が30万円未満の減価償却資産を、購入した年度に全額を費用として計上できる特例(中小企業者等に対する税制措置)のことです。
通常の減価償却では数年にわたって費用化しますが、この特例を使うことで一度に経費処理でき、帳簿管理の手間を削減できます。

ただし、年間の限度額は300万円までと定められており、これを超える部分は通常の減価償却となります。
パソコン・事務機器・工具器具備品など、管理部門で頻繁に購入する資産が対象となるため、設備投資の予算管理や税負担の調整にも活用しやすい制度です。

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一括償却資産

一括償却資産とは、取得価額が10万円以上20万円未満の資産を、3年間で均等に費用化する制度です。
通常の耐用年数に関係なく、取得年度から3年間で処理できるため、耐用年数の判定が不要となり、実務の簡略化に役立ちます。
計算方法はシンプルで、「取得価額 ÷ 3」を毎期費用として計上します。

少額減価償却資産の特例と異なり、限度額の上限がない点が特徴です。
備品やオフィス機器など、日常的に購入する資産に適用されることが多く、固定資産管理の負担を軽減できます。

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項目 通常の減価償却 少額減価償却資産 一括償却資産
対象金額 10万円以上 30万円未満
(中小企業等の特例)
10万円以上
20万円未満
計上方法 耐用年数に応じて
毎年償却
購入した年度に
全額を経費化
3年間で均等に償却
年間限度額 上限なし 300万円まで 上限なし

まとめ

減価償却は、固定資産の価値減少を会計上で適切に費用化し、企業の財務状況を正確に反映するための重要な仕組みです。
資産区分や償却方法、特例制度を正しく理解することで、決算処理だけでなく資金計画や経営判断の精度も向上します。

経理部門においては、取得時の判断や台帳管理など、日々の運用が正確な財務数値の基盤となります。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。

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