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リバースチャージ方式の会計処理とは?仕訳例や消費税申告の考え方を解説

公開日2026/02/13 更新日2026/02/12 ブックマーク数
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リバースチャージ方式の会計処理とは?仕訳例や消費税申告の考え方を解説

海外の広告配信サービスやクラウドツール、SaaSの利用が一般化する中、経理・税務担当者が判断に迷いやすいのが「リバースチャージ方式」です。
請求書に消費税の記載がなくても、取引内容によっては自社で消費税を計算し、申告・納税が必要になる場合があります。

本記事では、リバースチャージ方式の基本から、対象取引の考え方、会計処理・仕訳例、消費税申告時の注意点までを、実務目線でわかりやすく解説します。

[ 目次 ]

リバースチャージ方式とは?

リバースチャージ方式とは、通常はサービスを提供した側が行う消費税の申告・納税を、サービスを受けた側が行う特別な仕組みです。

一般的な消費税取引では、売手が消費税を上乗せして請求し、その消費税を自ら申告・納税しますが、リバースチャージ方式が適用される取引では、この流れが逆になります。

請求書に消費税の記載がない場合でも、サービスを利用した事業者が自ら消費税額を計算し、申告・納税を行う点が、通常の消費税処理との大きな違いです。

リバースチャージ方式の仕組み

リバースチャージ方式が適用されるのは、海外事業者から「事業者向け電気通信利用役務」の提供を受けた場合です。
この場合、海外事業者は日本で消費税の申告・納税を行いません。

例えば、国内事業者が海外事業者の広告配信サービスや業務支援ツール、クラウド型ソフトウェアなどを業務目的で利用した場合、利用料は海外事業者に支払いますが、消費税については国内事業者が自ら税額を算定し、自社の消費税申告で申告・納税を行います。

このように、対価の支払いと消費税の申告・納税の主体が分かれる点がリバースチャージ方式の特徴であり、実務上は「特定課税仕入れ」として、課税売上割合などを踏まえた申告判断が求められます。

リバースチャージ方式が導入された背景

リバースチャージ方式が導入された背景には、海外事業者によるデジタルサービスの利用が急速に広がったことがあります。

従来の仕組みのままでは、国外事業者が提供するサービスについて消費税が適切に課税されず、国内事業者との間で税負担の不公平が生じるおそれがありました。

そこで2015年の制度見直しにより、役務提供の内外判定については、「どこで提供されたか」ではなく「誰が提供を受けたか」を基準に判断する考え方が整理されました。
その結果、一定の取引については、サービスを受けた側である国内事業者が消費税を申告・納税するリバースチャージ方式が採用されています。

リバースチャージ方式は、国境を越えた取引においても消費税の負担の公平性を確保するために設けられた、例外的な仕組みといえるでしょう。

リバースチャージ方式の対象になる取引・ならない取引

リバースチャージ方式は、国外事業者との取引であってもすべてに適用されるわけではありません。
ここでは、対象となる取引と、対象外となる取引を整理します。

対象となる取引

リバースチャージ方式が適用されるのは、国外事業者が提供する役務のうち、特に課税関係の整理が必要とされる取引です。
具体的には、次の2つの類型が対象となります。

事業者向け電気通信利用役務の提供

事業者向け電気通信利用役務の提供とは、国外事業者が国内事業者に対してインターネット等を通じて行う役務提供を指します。

インターネット広告の配信、クラウドサービス、オンラインプラットフォーム利用料などが代表例です。
提供者が国外に所在し売手側での申告が難しいため、買手である国内事業者が消費税を計算し申告・納税する方式としてリバースチャージが採用されています。

特定役務の提供に該当する取引

特定役務の提供とは、国外事業者が日本国内で直接行う人的役務の提供です(例:国外の俳優の出演、プロスポーツ選手の国内大会出場等)。

役務の提供地は国内でも提供者が国外であるため、課税関係の整理が必要となり、買手側が申告・納税するリバースチャージ方式が適用されます。
対象取引である旨の表示がある場合もあるため、請求書等の記載も手がかりに確認しましょう。

対象にならない取引

国外事業者との取引であっても、すべてがリバースチャージ方式の対象ではありません。
特に、消費者向けの電気通信利用役務(例:電子書籍・音楽配信サービスなど)は、リバースチャージ方式による申告・納税の対象外となります。

そのため、契約主体・利用用途・取引相手の属性を踏まえ、対象取引かどうかを個別に判断する必要があります。

※「事業者向け電気通信利用役務の提供」のみがリバースチャージ方式の対象です(国税庁)。

参考:国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係について|国税庁

リバースチャージ方式の会計処理

リバースチャージ方式では、国外事業者から役務提供を受けた国内事業者が、自ら消費税を計算し申告・納税する必要があります。
そのため、通常の課税仕入れとは異なり、取引時点で「仮払消費税」と「仮受消費税」を同時に計上し、決算時に課税売上割合に応じて納付税額を調整する点が特徴です。

以下では、会計処理の基本となる勘定科目と、具体的な仕訳例をケース別に整理します。
※前提として、課税売上割合90%・簡易課税制度の適用なしのケースを想定します。

リバースチャージ方式の勘定科目

リバースチャージ方式における会計処理では、主に次の勘定科目を使用します。

  • 広告宣伝費、支払手数料、通信費ソフトウェア利用料など
    役務の内容に応じて通常の費用科目を用います。
  • 仮払消費税
    国外事業者から役務提供を受けた際に、「支払ったものとみなす消費税額」を計上します。
  • 仮受消費税
    同時に、「預かったものとみなす消費税額」を計上します。
  • 未払消費税
    決算時に、仕入税額控除を反映した結果、納付すべき消費税額を計上します。
  • 雑損失等
    課税売上割合により控除できなかった消費税相当額を処理します。

リバースチャージ方式 仕訳例

ここからは、リバースチャージ方式が適用される代表的な取引について、仕訳の流れを具体的に見ていきます。

海外広告サービスを使用したケース

【取引の概要】
・海外の広告配信サービスを利用
・広告費:15,000円(税抜)
・消費税相当額:1,500円(10%)
・請求書に「リバースチャージ方式の対象」である旨の記載あり

取引発生時の仕訳

借方 貸方
広告
宣伝費
15,000円 現金 15,000円
仮払
消費税
1,500円 仮受
消費税
1,500円

決算整理時の仕訳(課税売上割合90%)

借方 貸方
仮受
消費税
1,500円 仮払
消費税
1,500円
租税公課 150円 未払
消費税
150円

※控除できなかった消費税150円(1,500円×10%)を納税対象として処理します。

海外のツールを月額契約したケース

【取引の概要】
・海外事業者が提供する業務支援ツールを月額利用
・利用料:22,000円(税抜)
・消費税相当額:2,200円
・課税仕入れに該当

取引発生時の仕訳

借方 貸方
支払
手数料
22,000円 普通
預金
22,000円
仮払
消費税
2,200円 仮受
消費税
2,200円

決算整理時の仕訳

借方 貸方
仮受
消費税
2,200円 仮払
消費税
2,200円
雑損失 220円 未払
消費税
220円

※仕入税額控除できなかった220円が、実際の納税対象となります。

クラウドストレージの年額利用をしたケース

【取引の概要】
・海外のクラウドストレージを年額契約
・利用料:120,000円(税抜)
・消費税相当額:12,000円

取引発生時の仕訳

借方 貸方
通信費 120,000円 普通
預金
120,000円
仮払
消費税
12,000円 仮受
消費税
12,000円

決算整理時の仕訳

借方 貸方
仮受
消費税
12,000円 仮払
消費税
12,000円
雑損失 1,200円 未払
消費税
1,200円

消費税の申告・納税はどうなる?

リバースチャージ方式の対象取引がある場合、取引先(国外事業者)が日本で消費税を申告・納税するのではなく、サービスを受けた国内事業者側が、消費税を計算して申告・納税するのが基本です。

ただし、すべての事業者が一律に「申告が必要」になるわけではなく、課税事業者かどうかに加えて、課税売上割合や簡易課税の適用有無などによって実務対応が変わります。

リバースチャージ方式で申告が必要な事業者

リバースチャージ方式で消費税の申告・納税が必要になるのは、次の要件を満たす事業者です。

  • 課税事業者であること(免税事業者は原則として対象外)
  • 一般課税(本則課税)で申告していること
  • 課税売上割合が95%未満であること

ポイントは「課税売上割合」です。
課税売上割合が95%未満の場合、仕入税額控除が全額認められず一部が控除対象外となるため、リバースチャージ対象取引についても、計算した消費税の一部が納付税額として残る可能性があります。
非課税取引を含む事業を行う会社では、課税売上割合が下がりやすいため、特に注意が必要です。

少額でも対象取引は集計漏れが起きやすいため、経費精算やカード明細で国外サービスを抽出できる運用にしておくと安心です。

※一方で、課税売上割合が95%以上の一般課税事業者や、簡易課税制度を適用している事業者は、リバースチャージの申告・納税が不要となる扱いになることがあります(自社の申告方式・年度ごとの課税売上割合の確認が前提です)。

仕入税額控除との関係で注意すべき点

リバースチャージ方式では、取引時に「仮払消費税」と「仮受消費税」を計上していても、仕入税額控除の可否・範囲によって最終的な納付税額が変わる点が重要です。実務上、特に次の3点に注意が必要です。

1)課税売上割合による控除制限

課税売上割合が95%未満の場合、算定した消費税額のうち控除できるのは課税売上割合相当分のみとなり、残額は納付税額として残ります。
仕訳上は相殺されていても、申告段階で差額が生じやすい点に注意が必要です。

2)税区分設定ミスによる申告漏れ

会計ソフトで税区分を誤ると、リバースチャージ取引として集計されず、申告漏れや控除誤りにつながります。
海外SaaSや海外広告は、リバースチャージ対象かを判定したうえで、専用の税区分で処理するルールを社内で統一すると安全です。

3)証憑・記録の保存

国外事業者取引は請求書様式が不統一なことが多いため、請求書・利用明細、決済記録、業務利用や国内消費であることが分かる社内メモをあわせて保存しておくことが重要です。

リバースチャージ方式を使用する際の注意点

実務では、対象取引の判定に加え、インボイス制度下での保存要件にも注意が必要です。

事業者向けに提供される電気通信サービス

リバースチャージ方式の中心となるのが、国外事業者が国内事業者に提供する「事業者向け電気通信利用役務」です。
海外の広告配信、クラウドサービス、オンラインツール利用料などが典型例で、請求書等に対象取引である旨が表示されることがあります。

一方、消費者向けに該当する電気通信利用役務はリバースチャージの対象外となるため、取引の実態(契約主体・用途・提供形態)と相手方の表示を確認し、区分を誤らないことが重要です。

国内事業者には適用されない

リバースチャージ方式は、国外事業者から受ける役務提供に限って適用されます。
同様のサービス内容であっても、提供者が国内事業者であれば、通常どおり売手側が消費税を申告・納税します。

請求書に消費税の記載がない、外貨決済、英語表記といった理由だけで判断せず、契約書や請求元の所在地から「国外事業者かどうか」を先に確認することが実務上のポイントです。

インボイス制度導入に伴う影響

インボイス制度導入後は、リバースチャージに関する仕入税額控除の要件が取引類型ごとに整理されています。

事業者向け電気通信利用役務(リバースチャージ対象)では、一定事項を記載した帳簿の保存で足り、適格請求書の保存は必須ではありません。
一方、消費者向け電気通信利用役務では、原則として帳簿に加えて適格請求書等の保存が必要です。

登録国外事業者制度は令和5年9月30日で廃止され、現在は国内事業者・国外事業者を問わず、適格請求書発行事業者登録制度に一本化されています。

そのため、インボイス制度下では、取引時期に加えて、取引が「事業者向け電気通信利用役務」か「消費者向け電気通信利用役務」かを確認し、それぞれの保存要件や仕入税額控除の可否を判断することが重要です。

まとめ

リバースチャージ方式は、国外事業者から提供される一定の役務について、国内事業者が自ら消費税を計算し、申告・納税する例外的な仕組みです。
海外広告やクラウドサービスなどの利用が増える中、実務では「対象となる取引か」「申告が必要な事業者か」「仕入税額控除がどこまで認められるか」を正しく判断することが重要になります。

特に課税売上割合が95%未満の場合は、仕訳上は相殺されていても、申告時に納付税額が生じる点に注意が必要です。
また、インボイス制度導入後は、取引の類型によって必要な保存要件も異なります。
海外サービスだからといって一律に判断せず、取引内容・相手方の属性・制度要件を踏まえた整理が、申告ミスや控除否認を防ぐポイントです。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。

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