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行き過ぎたクレームで店員を罵倒するカスハラ問題、どうやって従業員を守るのか?

公開日2019/12/16 更新日2019/12/17
カスハラ対策、どうやって従業員を守るのか?

従業員が客から土下座を強要されたり、ネット上に実名を晒されたりするなど、サービスを提供する側への客による度を越えたクレームや迷惑行為が問題となっています。「カスハラ(カスタマーハラスメント)」と呼ばれるこれらの行為により、従業員が精神的に追い込まれ退職するケースも後を絶たず、企業の人材不足を加速させる原因にもなっているのです。カスハラから従業員を守るためには、企業としてどのような対策を施せばよいのでしょうか。

社会問題化するカスハラの具体的な事例

産業別労働組合であるUAゼンセンが実施したアンケートによると、接客対応業務に従事する従業員の約7割がカスハラを経験しているという結果が出ています。また、厚生労働省が2018年に行った「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」では、カスハラの現状を問題視すると共に検討会などを設置すべきとの意見が出され、同じく2018年に行われた労働政策審議会でも、カスハラに対する適切な取り組みを真剣に考えるべきとの報告がなされています。国も対策に乗り出すほど社会問題化しているのが、カスハラの現状といえるのです。

アンケートで回答されたカスハラの主な事例は以下のようなものがあります。

・レジでの会計時に舌打ちをしたといわれ、他の客がいる前で怒鳴られた

・客がいうとおりに商品を入れたつもりが、「気に入らない」と強い言葉や態度で罵倒された

・笑顔で接客した際、「人を馬鹿にして笑っている」と大声で罵倒され土下座させられた

・「態度や見てくれが悪い」と他の従業員に聞こえるほどの大声でいいふらされた

・約2時間一方的な要求をいわれ、拒否したところ「馬鹿、低能、社会人失格」などと罵詈雑言を浴びせられた

・商品の購入履歴が確認できないことを伝えたところ、「株主総会で名前を出してやる」といわれた

・謝罪のために自宅へ訪問した際、約9時間拘束された

これらの他に、話し合いの場で片手にナイフを持ちながら暗黙で金品を要求されるなど、明らかな違法行為を受けた事例も報告されています。

客が理不尽に憤る背景

日本では、同じような商品を複数の企業が販売する「同質競争」により、商品そのものではなくサービス面で差をつけようとする独自の企業風土があるといわれています。カスハラが深刻化している背景には、この過剰サービスが日本人の標準となってしまっていることが要因だという指摘があります。「やってもらって当たり前」という意識が強いため、消費者の期待が膨らんでいき、やがてサービスが追いつかなくなり新たな不満が生まれるという悪循環に陥っているのです。

また、自らが置かれた苦しい状況から生まれる不満を店員にぶつけるなど、社会に広がる格差意識が原因の一つであるという指摘や、社会全体が疲弊し身の回りで起こることに対し不寛容になっているという指摘もあります。

カスハラに関する課題

UAゼンセンの「悪質クレームの定義とその対応に関するガイドライン」では、カスハラに関する課題として次の三つを挙げています。

顧客至上主義従業員が消費者に対し過度に責任を感じたり、無理をして対応し続けたりすることで、自らの業務に支障をきたし、本来対応すべきサービスのレベルも落としてしまう
企業側の対応の遅れインターネットの普及により、クレームが瞬く間に拡散することを恐れ、その場で解決しようとするあまり対応が過剰になり、長期化するなどして生産性に影響を及ぼす
定義が存在しない明らかな違法行為を伴うクレーム以外は悪質さの線引きが難しいため、企業の受け止め方に差異が生じ、対応の難しさにつながっている

カスハラから従業員を守るために企業がとるべき対策

UAゼンセンの「悪質クレームの定義とその対応に関するガイドライン」では、カスハラに対し企業がとるべき対応として以下の三つを挙げています。

・企業ごとに悪質クレームの定義を明確にし、現場レベルでクレーム対応の判断ができるように対応の仕方を統一する。また、クレームを蓄積して類型ごとに精査し、より適切な対応ができるような基準を作成する。

・従業員に対して悪質クレーム対策についての教育を実施し、過度に対応しないような考え方や対応を徹底する。

・行き過ぎた顧客至上主義を見直し、悪質クレームに対しては「社会通念上受け入れられないことはしっかりと断る」という毅然とした対応ができる体制を整える。

実際に、菓子業界では、企業同士が団結しカスハラに向き合う動きを見せています。これまで菓子業界では、クレームに対し各企業が個別に対応していました。そのため、例えば商品に異物が混入していたというクレームを受けた企業が、確認のために現物を見せてほしいと頼んでも、「同業の○○社は見せなくても対応してくれた」といわれれば、風評被害を恐れて要求に従うしかありませんでした。しかし、菓子メーカー150社以上からなる「日本菓子BB協会」では、企業同士が情報を共有し、クレームには同一基準で対応することにしたのです。

まとめ

カスハラで苦しむのは現場で客に対応する従業員であり、従業員がストレスを抱えることにより経営にも悪影響を及ぼす可能性があります。国や団体が動く前に、企業としてもしっかりとカスハラ問題に取り組むことが重要といえるでしょう。

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