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東京商工リサーチの調査によると、新型コロナウイルスの影響で業績が悪化した上場企業の早期・希望退職募集人数が、9月14日時点で1万人を超え、年間では、リーマン・ショックや東日本大震災後に次ぐ規模になると見込まれています。
早期・希望退職を募集した上場企業の数は9月14日時点で60社に達し、2019年の35社を、約1.7倍も上回り、最終的には、2010年のリーマン・ショックや東日本大震災に次ぐ規模になると見込まれています。
募集人数もすでに1万人を突破し、昨年の1万1,351人を上回る勢いです。しかも、昨年と今年では、早期・希望退職を募集する理由に明らかな違いがあります。
昨年は業績が黒字であったものの、将来を見据えた構造改革を目的とした早期・希望退職募集でしたが、今年は、募集した60社のうち21社が新型コロナを要因としてあげ、約7割の企業が通期決算や直近の四半期決算で赤字を計上しています。
新型コロナウイルス感染拡大により、経営環境が急速に悪化したことで、人員削減に踏み切らざるを得なくなったのは、アパレルや繊維製品、さらに昨秋以降の消費増税、暖冬、新型コロナの三重苦が続く小売で目立っています。
また、新型コロナに加え、米中貿易摩擦が影響した輸送用機器、電気機器も、新型コロナ感染拡大に伴う外出自粛、消費落ち込みにより、雇用への影響が顕在化していることが明らかになっています。
多くの早期・希望退職を募集しているのは、施工不良問題で債務超過となったレオパレス21の1,000人をはじめ、ファミリーマートの800人、シチズン時計の750人などです。
東京商工リサーチは「年末から来年にかけ、募集に拍車がかかることも懸念される」としていますが、上場企業以外の中小零細企業を含めると、2020年はリストラの嵐が吹き荒れることになりそうです。
ところで、今回の新型コロナのような、企業業績に悪影響を及ぼす要因が顕著な場合には、生き残るためのリストラ断行も“止むなし”、と受け止めることもできますが、昨年は、大手企業は軒並み史上空前の利益をあげていました。
しかも、労働人口の減少が著しい日本では、労働力を外国人労働者に頼らざるを得ないほど深刻な人出不足でした。
そうした人手不足の状況下にあっても、富士通の2,850人、ルネサスエレクトロニクスの約1,500人、ジャパンディスプレイの約1,200人、東芝の約1,060人など、昨年は大規模なリストラが行われました。
その背景にあるのは、バブル期に大量採用した40代後半~50代の社員によって、逆ピラミッド型のいびつな年齢構成になっていることを、是正しようという動きからです。
そのため、早期退職の募集には、退職金割り増しなどの特典が付くケースも多かったのですが、今年のような業績不振でのリストラとは、かなり事情が違うことを、認識しておく必要があるようです。
もし、勤務先が早期退職の募集に踏み切り、その対象になっていたとしても、これまでのように必ずしも有利な転職ができるわけではありません。ビジネスパーソンには、自分のキャリアや、将来をしっかりとみつめることが、より強く求められるのではないでしょうか。
いずれにしても、新型コロナは収束したわけではありません。海外では、感染が再拡大している兆候も出始めていますが、日本は経済活動を優先し、自粛緩和に動き出しています。それにより、さらなる業績悪化となるのか、注意深く見極める必要がありそうです。
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