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日本公認会計士協会が毎月公表している資料によると、令和1年12月現在、日本には241もの監査法人が存在しており、この数は毎年増え続けています。その中でも、通称Big4と呼ばれる世界四大国際会計ファーム系の監査法人は、規模やクライアント数、業績において傑出し、キャリアをスタートさせたい場所として多くの会計士試験合格者から人気を集めています。
そこで、Big4監査法人がそれぞれどのような歴史をたどって現在の地位を築き上げたのかについて、順に解説していきます。今回の記事で紹介するのは「EY新日本有限責任監査法人」です。
世界四大会計事務所の一つであるアーンスト・アンド・ヤング(Ernst&Young、略称EY)と提携しているEY新日本有限責任監査法人は、日本における公会計制度の先駆者としても知られています。
あらゆる分野にまんべんなく大口のクライアントを抱え、特に建設・不動産分野においては、他の大手監査法人を圧倒している特徴を持ちます。総業務収入は長年トップの地位を守っていましたが、2018年6月期に非監査報酬を近年急増させているトーマツを初めて下回りました。しかし、監査報酬のみの数字は依然として業界最多を維持しています。
EY新日本有限責任監査法人は、1985年に二つの大手法人同士が合併して設立された「太田昭和監査法人」が直接の前身です。
合併前の二つのうち「太田」側の法人は、1967年1月に会計学者の太田哲三が設立した「監査法人太田哲三事務所」です。一橋大学の名誉教授であった太田哲三は、大学退職後の1950年に公認会計士の資格を取得し、同年に日本公認会計士協会が発足すると初代会長に就任しています。
1965年の山陽特殊製鋼倒産事件をはじめ、1960年代前半に多発した粉飾決算事件などの影響により、組織的監査の導入を求める動きが活発化しました。1966年には、監査法人としての業務を定める改正公認会計士法が施行され、監査法人の第一号として設立されたのが「監査法人太田哲三事務所」です。
合併前のもう一つの法人である「昭和監査法人」とは、1980年代中頃の監査法人再編の動きの中で合併が決まりました。海外提携先は、太田側が提携していた当時の世界Big8「アーンスト・アンド・ウィニー」と、昭和側が提携していた同じくBig8「ピート・マーウィック・ミッチェル」のどちらとも関係を維持する状態が2003年まで続くことになります。なお、アーンスト・アンド・ウィニーは同じく世界Big8の一角であったアーサー・ヤングを合併し、1989年にアーンスト・アンド・ヤング(EY)となっています。
合併して太田昭和となった翌年の1986年には、太田と昭和の2法人と同じく初期の頃に設立された三つの会計事務所が合併し、「センチュリー監査法人」が誕生します。合併前の所属海外ファームが3法人ともに昭和と同じだったこともあり、太田昭和の合併に追随するような形での大型合併となりました。
1989年にはピート・マーウィック・ミッチェルが欧州の大手会計事務所と合併し、「KPMG」となります。その後、海外の会計事務所は大手六つが勢力を保つ形で落ち着いていましたが、1997年にその中の2法人が合併の動きを見せたことに影響され、EYとKPMGも一つになる形に向けて動き始めました。
太田昭和はこれまでの流れもありKPMGとも提携が継続していましたが、KPMGは日本での主要な提携先がセンチュリーだったこともあり、日本でもこれら二つの大手事務所が一つになる形への交渉が開始されます。結局EYとKPMGが一つになることはありませんでしたが、日本側の合併は成立し、「監査法人太田昭和センチュリー」が誕生することになりました。
監査法人太田昭和センチュリーは、2001年に新しく二つの法人を吸収し、「新日本監査法人」と名称を変更します。2003年まで続いた海外2法人との二重提携状態は、KPMGの監査部門を切り離し単独の法人を立ち上げることで解消に至りました。同時に新日本監査法人自体もKPMGとの関係を解消しEYに一本化、現在まで関係が続いています。
2007年には、当時の国内四大法人とされていた「みすず監査法人」が解散したことにより、大半のスタッフとクライアントが新日本に移り、国内最大規模の会計事務所にまで規模を拡大します。翌2008年には、国内初の有限責任監査法人として「新日本有限責任監査法人」となり、2018年には「EY新日本有限責任監査法人」に改称、現在に至ります。
このように、EY新日本有限責任監査法人は、幾度もの合併・合流・分離を経ながら、常に国内トップの監査法人として君臨し続けてきました。
近年は、オリンパスや東芝、日産などの不祥事に絡み、大口のクライアントが次々と離れていくなど苦境に立たされています。これまで業界をリードしてきたBig4の一角として、どのような巻き返しが見られるのかも注目されるところです。
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