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少子高齢化による労働力人口の減少などの変化を受け、多くの企業が女性にとって働きやすい職場を提供するべく様々な取り組みをおこなっています。
これまではSDGs的な文脈で語られることも多かった女性活躍推進ですが、最近は「経営戦略を実現する上で不可欠な要素」として多様な人材を確保し、そうした人材がエンゲージメント高く仕事に取り組める職場風土や仕組みを整備し「経営上の成果」に繋げようと考える企業が増えています。
マッキンゼーの行った調査によると、「経営陣における性別の多様性が高い上位25%の組織は、同業の他組織の中央値よりも15%業績が良い」ことが分かっており、多様性が業績に直結する競争優位として働く可能性を示しています。
マッキンゼーの行った調査
これまでの日本企業は企業内の同質性が極めて高いケースが多くみられました。
例えば、「日本人 × 男性 × 業界出身者(あるいは新卒者メインの会社であれば、該当企業の勤務経験しか持たない人材)」といったところでしょうか。
こうしてグループ内の属性が偏ると、課題解決において「業界(自社)の常識に引っ張られてしまう」「各人が保有している経験値やスキルが似ているため、新しい取り組みやアイデアの突破口を見いだせない」といった事態に陥ります。
これまでの日本のビジネスの中心であった規格大量生産型のモデルでは、同質性の高いチームの方が上手く機能することもありました。しかし、環境変化の激しいVUCAの時代においては、そもそも正解のない課題や全く新しい発想が求められるため、多様性の高いチームを実現することは組織が成果を出す上で不可欠な要素へと変化していると言えるでしょう。
では、「これまで全く女性活躍推進の取組みを行ってこなかった!」「これから始めたい!」という企業はどこから着手すれば良いのでしょうか。
多くの企業の成功事例を読み解くと、大きく2つの要素が最低限欠かせないことがわかります。1つは、トップのコミットメント。もう1つは、当事者たちの意見を吸い上げる仕組みをつくることです。
まず何より重要なのはトップが経営戦略として職場の多様性を推進することの重要性を理解し、変革へのコミットメントとリーダーシップを示すことです。
多様性の推進は経営にとってメリットのあることですが、多様な人材を組織に内包することは、一言でいうと「面倒くさい」ことも多くなります。職場の中で多様な意見や価値観をまとめることはたやすくないですし、意見を調整するための時間やコストがかかります。
多くの反対意見が出ることもあるでしょう。多様性を経営上の成果に繋げるまでには、(特に取組み始めの段階においては)こうした痛みの発生は避けて通れないものであり、トップの確固たるコミットメントなしには達成されません。
また、中小企業においては、当該社員の意見を積極的に吸い上げ制度化していくことも有効です。マンパワーが不足しがちな中小企業では、そもそもこうした戦略を担うはずの人事部が不在のケースもしばしばです。その場合、まずは、既に自社で働いている女性社員が何に困っているのか、どういった支援があれば継続的に働けるのかをヒアリングした上で、一つ一つ解決策を見出し制度化していくことから始めてみるのも立派な一歩ではないでしょうか。

今では女性活躍リーディングカンパニーとして様々な情報発信を行っている弊社も、女性が働きやすい職場を実現するため、これまでに当事者たちからの様々な声を拾い上げ制度化してきました。
例えば、最近導入されたベビーシッター補助制度は、業務上のニーズで発生したベビーシッターサービスの利用料を会社で負担するものですが、「子どものお迎え時間の都合で業務上のニーズに対応したくてもできないことがあり、ストレスになっている」といった女性社員からの声を仕組み化したものです。
もちろん、女性でも男性でも、育児中の社員であれば利用することが可能です。育児中でない社員は対象にならないことから、「平等でないのではないか」という声も出ましたが、これからの時代、すべての人に区別なく等しい対応をする(=Equality=平等)ではなく、何かしら不利な状況に置かれている人たちに追加の支援や配慮を行う(=Equity=公平)ことで、誰もが活躍できる環境や機会を提供する必要があると考え導入しました。
こうした制度を少しずつ整備し、その都度「多様な人材が働きやすい環境にするには」について対話を重ねることで、制度を利用しやすい風土の醸成も同時に行っています。
こうした多様性を内包する努力を続けることは経営上の成果にもつながっており、新しい視点での取り組みやイノベーションが継続的に生まれる、優秀女性の採用競争力が上がるなどの好影響をみせています。
生命科学者の高橋祥子さんは、生物学と組織運営の共通点を鋭く指摘しています。それは、「絶滅危惧種の特徴は多様性がないこと」。
いずれは、組織の長期的な存続を図る物差しとして、多様性の指標が問われるようになる日が来るかもしれません。
ぜひ、これを機にご自身の組織の未来について考えてみてください――あなたの組織の未来に多様性は必要ですか?
2022年 4Wcollege
キックオフイベント
「可能性が広がる女性の多様な働き方について」
記事提供元

SDGsの中でジェンダー平等や働き方ということが、社会課題としても唱えられています。そこに向かうためには、現状の仕組みを変えていくとともに、女性側の不安をひとつずつ、ひとりずつ、開放していくことが大切ではないでしょうか。
この4W collegeは、一度キャリアを離れてもまた自信をもって働くという選択肢を、 ひとりでも多くの方にもってもらいたいと、強く想い、立ち上げたプロジェクトです。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
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