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総務省は、ふるさと納税に係る返礼品の見直し状況についての調査結果(平成30年9月1日時点)を取りまとめて公表し、制度の見直しについても言及しました。
総務相、制度見直しに言及
野田聖子総務大臣は、「ふるさと納税に係る返礼品の見直し状況についての調査結果」の公表に伴い、閣議後の記者会見で、次のように述べています。
「これまで、制度の趣旨に沿わない返礼品を送付する地方団体については、あらゆる機会を通じて必要な見直しを要請し、市町村長お一人お一人の責任と良識ある対応をお願いしてまいりました。しかしながら、一部の地方団体において通知に沿った対応が行われていない実態があります。大変残念なことではありますが、これまでと同様に見直し要請を行うだけでは自発的な見直しが期待できない状況です」。
さらに、「過度な返礼品を送付し、制度の趣旨を歪めているような団体については、ふるさと納税の対象外にすることもできるよう、制度の見直しを検討」と、抜本的に見直しをする方針を正式に表明しました。
過熱する返礼品合戦
ふるさと納税は、故郷や応援したいと思う自治体に寄付をすることで、2000円を超える部分について、住民税などから控除される制度です。寄付を受けた自治体は、返礼品として地域の特産品などを贈るようになりましたが、これが人気となり各自治体の返礼品合戦が過熱化しているというのが現状です。
ふるさと納税は、地域活性化を目的として始まった制度で、初めは返礼品を想定していませんでしたが、お礼の意味で地域の特産品を返礼品として送付する自治体が現れ、次第に、返礼品の内容をアピールして寄付を募る自治体が増えてきたのは周知の通りです。
その結果、地元の特産品とは無関係な返礼品や、金額的にも増加する一方となり、総務省は過度な返礼品競争を是正するため、2017年春と2018年春に返礼品について、寄付額の3割以下でかつ地場産品とするよう総務大臣名の通知を出したほどです。
246市町村が寄付額3割超の返礼品
2018年9月1日時点で全1788自治体のうち、寄付額の3割超の返礼品を送付している自治体は246市町村(13.8%)で、このうち174市町村(9.7%)が、10月末までに見直しの意向がない、またはその時期を未定としています。
また、地元産以外のブランド牛や、外国産ワインを返礼品としている自治体数も190で、総務大臣名の通知によって、各自治体で見直しが進んでいる一方で、一部の自治体では、依然として見直しが行われていないことが判明いたしました。
通知に従って返礼品の見直しを行った自治体からは、「正直者がバカを見ないようにしてほしい」という、不公平感を訴える声も出ているようです。
寄付金は8年で36倍の伸び
ところで、このふるさと納税、2006年に西川一誠福井県知事が、過疎などにより、税収の減少に悩む自治体に対しての格差是正を推進するための新構想として、2006年に「故郷寄付金控除」の導入を提言したことがきっかけで誕生したようです。
また、芸能人やスポーツ選手などからも、生まれ故郷に何らかの貢献をしたいという声が多く持ち上がり、生活の拠点や住民票を残したまま活動を続けることで、住民税を故郷で納めるといったケースもありました。
こうした背景を受け、ふるさと納税制度は2008年から始まりました。初年度の2008年の利用者は33,149人で、寄付金額は7,259,958,000円でしたが、2016年の利用者は2,252,793人で、寄付金額は254,040,784,000円と、ざっと35倍の伸びとなっています。
しかし、慢性的な財政赤字に悩む地方からは歓迎する意見が多いものの、税収が多い大都市からは、反対や慎重な意見が多い制度でもあるだけに、このまま一部の地方団体による突出した対応が続けば、制度の見直しも検討せざるをえないというのが総務省の見解のようです。
ふるさと納税は、企業活動とは一見無縁のように思えますが、地方の企業にとっては、返礼品に選定されることで売り上げを維持しているところも多く、また、ふるさと納税を行っている企業人もいることから、企業にとっても、管理部門にとっても、ふるさと納税がどうなるかを見守る必要がありそうです。
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