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標準必須特許(SEP:Standard-Essential Patent)のライセンス交渉を巡る紛争が世界各国で発生しています。経済産業省は適正な取引環境を実現するため、「標準必須特許のライセンスに関する誠実交渉指針」を公表しました。
標準規格の普及に伴い、規格に必要な技術も複雑化しています。そのため、標準必須特許のライセンス交渉でのトラブルも多発するようになっていますが、トラブルを防ぐためには、交渉の透明性を確保するとともに適正な取引環境を実現することが求められます。
経済産業省が示した“誠実交渉指針”は、標準必須特許のライセンス交渉での規範を示したもので、知的財産法・競争法の有識者や産業界などから寄せられた意見や要望を踏まえて策定したものです。
標準必須特許のライセンスに関する紛争への対応は、欧米諸国でも検討されていますが、明確なルールはありません。そこで、欧米諸国に先駆けて日本が“誠実交渉指針”を定め、標準必須特許のライセンス交渉についての考え方を、海外に広く発信していくとしています。
特許を巡る紛争は、ただでさえ解決が難しいものですが、さらに権利関係を複雑にしているのが経済のグローバル化です。そして、ITの進化によって、産業構造は大きな変革期を迎えています。
GAFAに代表されるアメリカの大手IT企業が取得した情報が、新たな付加価値を生み出しているように、まさに“第四次産業革命”が進行中といえるでしょう。
日本が強みを発揮してきた自動車や建設機械の分野でも、これからは異業種間での標準必須特許のライセンス取引の増加が予想されます。日本の産業競争力を強化するためにも、“誠実交渉指針”を世界に先駆けて公表したことは評価されるのではないでしょうか。
適正な取引環境を実現するために、この“誠実交渉指針”を海外当局や司法関係者へ周知していくとともに、独占禁止法の不公正な取引方法に関する相談窓口(不公正な取引方法等の市場競争を巡る紛争の相談窓口)を設けて対応していくことも決定しました。
「不公正な取引方法等の市場競争を巡る紛争の相談窓口」では、不公正な取引方法に該当するような事案について、公正取引委員会と協力しながら情報収集や機動的な調査・処分の検討なども行ないます。
不公正な取引方法や標準必須特許のライセンス交渉による紛争が発生するのは、明確なルールが存在していないからです。交渉の当事者が誠実な交渉をすることで、万が一トラブルが発生しても早期に和解できたり、トラブルを未然に防ぐことも可能となります。
権利関係が複雑とはいえ、ビジネスのグローバル化の流れは止めようもなく、標準必須特許のライセンス交渉はますます増えていくと思われます。
世界の潮流に乗り遅れることなく、日本の産業をより発展させていくためには、日本発の“誠実交渉のルール”を軸に、早期の和解や無用な紛争を回避するための透明性のある取引環境の整備が、より強く求められることになりそうです。
欧米諸国に先駆けて日本が示した標準必須特許のライセンス交渉に関わる“誠実交渉指針”ですが、法的拘束力をもつものではありません。しかし、この指針に則って権利者と実施者の当事者が交渉することで、経済発展を阻害するような紛争を避けられるようになるのではないでしょうか。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
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