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改正民事訴訟法の成立で、民事裁判の提訴から判決までの手続きがオンラインでもできるようになります。法務省は刑事手続きでも「電子令状」の導入などIT化の検討に着手し、早ければ来年の通常国会へ改正案を提出することを目指しています。着々と進む司法のIT化によって、刑事ドラマや弁護士ドラマの裁判光景も大きく変わることになりそうです。
容疑者の逮捕や家宅捜索など強制捜査を行うためには、裁判所が出す令状が必要です。令状をもらうためには、容疑を裏付ける捜査資料を添えて裁判所に請求し、裁判所は逮捕や家宅捜査の必要があるかどうか判断して、必要があると認められると令状発付となります。
この令状が出されてはじめて、逮捕や家宅捜索ができるわけです。そのため、令状が出るまでに時間がかかると、その間に容疑者が姿を隠してしまうこともあります。この時間とのせめぎ合いが、刑事ドラマでは見どころの一つでもあります。
紙でやりとりされていた令状の請求・発付を、電子データでのオンライン送信を可能にするのが「電子令状」の導入です。こうした刑事手続きのIT化に向け、法務省は昨年3月、有識者による検討会を立ち上げ、今年3月に報告書を取りまとめました。
全裁判所が2020年度に発付した令状の総数は44万1,139件(司法統計より)と、膨大な件数です。これがオンラインで送信可能になれば、警察と裁判所の大幅な負担軽減につながることは明白です。
また、弁護人の事務作業の手間も、IT化によって大幅に削減されることになります。現行法では、検察から証拠開示を受けると、直接検察庁に出向いて閲覧、コピーを取る必要があります。
証拠書類の量が多ければ、コピーするだけでも大変な作業です。これが法改正によって、証拠書類を電子データで検索・受け取れるようになれば、事務作業の軽減だけでなく、裁判の迅速化にも期待できそうです。
また、「電子令状」導入によって、捜査が飛躍的に効率アップする可能性もあります。たとえば事件現場の映像情報などからも、逮捕・家宅捜索が必要か否かを判断することも可能になるかもしれません。
手続きの簡素化、裁判の迅速化、捜査の効率アップなどがIT化によるプラス面ですが、もちろん解決しなければならない課題もあります。
たとえば刑事訴訟法では、令状を請求する時間がない緊急時には裁判官の令状がなくても緊急逮捕・捜索することが、一定の要件を満たせば認められています。しかし「電子令状」導入となれば、緊急逮捕の理由がなくなります。
そして、一番懸念されるのが、情報漏洩のリスクが高まることです。捜査資料や証拠書類、裁判手続きの書類ですから、まさに重大なプライバシーにかかわる個人情報の宝庫でもあります。
それが不正アクセスなどによって流出してしまうようなことがあれば、裁判所に対する信頼は一気に失墜してしまいます。セキュリティ保持とシステムの安全性も、刑事、民事を問わず司法のIT化の大きな課題と言えそうです。
IT化によって、裁判手続きのスピードアップにつながることは歓迎すべきでしょう。しかしスピード化や効率化を追求するあまり、安全性や公正さが損なわれないことが求められています。
諸外国に比べ遅れているとされてきた司法分野でも、着々とIT化が加速していることがわかりました。日常生活では、デジタル技術による利便性の高いサービスを受ける場面も多いのではないでしょうか。もはやIT化の流れは社会全体に広がりつつあると言えそうです。
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