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JR東日本が、2023年3月から「オフピーク定期券」の導入に踏み切ると表明しました。その影響を直に受けることになるのが、電車通勤をしているビジネスパーソンと交通費を負担する企業です。
戸惑う声も多く、問題点も数々指摘されていますが、果たしてどうなるのでしょうか。
「オフピーク定期券」とは、通勤ラッシュ時間帯を避けて利用すると、通常の定期券よりも10%割引になるというものです。
諸物価高騰が続いているだけに、10%とはいえ定期券代が安くなることは歓迎したいところです。しかし勤務先が時差出勤などの制度に対応していなければ、会社が定める始業時間に合わせて出社しなければなりません。
現実問題として、10%の割引のために混雑時間を避けての電車利用は難しく、オフピーク定期券の恩恵を受けることができないことになります。
JR東日本は首都圏の通勤定期券を対象に、ラッシュ時以外の乗車を促進させることで混雑緩和を目指すとしています。ところが実は、鉄道会社にとってもオフピーク定期券導入は“痛し痒し”でもあります。
というのも、ラッシュ時間帯は鉄道会社にとっては“稼ぎ時”でもあるからです。超満員になればなるほど料金収入が入ってくるわけですから、生産効率という点では、鉄道会社のまさに“ドル箱”といえる時間帯です。
しかし、通勤定期はもともと割引がありますし、通勤ラッシュの混雑を避ける対策にも資金を投入しなければならず、それほど収益アップにつながっていないというジレンマを抱えていたという事情もあるようです。
コロナ禍による行動制限や、リモートワークの導入が進んだことも、鉄道会社の経営を圧迫しています。その対策として、鉄道各社が打ち出したのは列車の運行本数を減らすことです。
一時的には朝のラッシュ時間帯の混雑は緩和されましたが、新型コロナウイルスの新規感染者数減少とともに、リモートワークから出社勤務に戻す企業も増え、電車の混雑ぶりもコロナ前の状態に戻りつつあります。
混雑時を避けて電車を利用すれば“お得ですよ”といわれても、それを利用できるビジネスパーソンがどれだけいるのか、という点も疑問です。
オフピーク定期券の割引恩恵を受けることができるのは、出勤時間や退社時間が比較的自由に設定されているIT企業や、時差出勤などの制度がある大企業の正社員に限られるのではないか、という声もあがっています。
コロナ禍でリモートワークが推奨されたときも、派遣社員はなかなかリモートワークで働くことができなかったように、オフピーク定期券の利用可否についても、正規雇用と非正規雇用で差が出るのではないでしょうか。
また、オフピークの設定時間がどうなるかも気になるところです。たとえば、高速道路の深夜割引となる時間待ちで、料金所前に渋滞が発生しているように、駅に行列ができることになるかもしれません。
つまり、ある時間帯の料金を下げたからといって、必ずしも混雑が避けられるわけではなさそうです。時給で働く非正規雇用者にとっては、オフピーク定期券を利用したくても利用することができず、決められた始業時間に遅れないように出社しなければなりません。
オフピーク定期券とは、どのような利用者と時間を想定しているのかがまだ見えず、場合によっては格差社会をさらに広げることにもなりそうな点が一番の問題点かもしれません。
「割引をすればその時間帯に電車に乗るはず」というのは、机上の空論という指摘もあります。しかも、オフピーク定期券導入と合わせ、通常の通勤定期券も約1.4%の値上げとなりそうです。そうなると、一段と批判の声が高まることになりそうですが、果たして2023年3月にはどうなっているのか、注意深く見守りましょう。

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