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長引くコロナ、食料品や日用品・燃料の高騰、歴史に残る円安、ロシアの軍事侵略…… 身近には不景気を感じさせる原因となるものが渦巻いています。それによって、日本の中小企業・零細企業にはどんな影響が出ているのでしょうか。
株式会社フリーウェイジャパンが実施した「2022年下期の景況調査*」の結果を紹介します。
*調査方法:インターネットリサーチ
調査対象:中小企業/零細企業の従業員106人、代表取締役102人
調査期間:2022年11月29日~12月5日
出典:株式会社フリーウェイジャパン
目次【本記事の内容】
2022年度下期の営業利益が黒字見込みと答えた企業は、2022年上期の調査から6.5ポイント上昇し、全体の41.3%でした。赤字見込みの企業は、2021年以降減少が続いています。
2022年上期と比べると、営業利益が改善していると答えたのは前回から1.9ポイント上昇の28.4%でした。変化なしと答えている企業がもっとも多く、41.8%となっています。
企業は黒字見込みが増えているにも関わらず、身の回りの景気は「悪くなっている」もしくは「やや悪くなっている」と感じている従業員や経営者が53.4%と全体の半数以上を占めています。
一方で「良くなっている」と答えたのは3.4%、「やや良くなっている」と答えたのは16.8%と景気の上昇を感じているのは全体のわずか20%程度でした。
企業の営業利益は黒字化へ転換し、前年からの営業利益も改善しているにも関わらず、なぜ景気が悪くなっていると感じているのでしょうか。
今回行われた調査の中で「賃金の引き上げ」と「物価高・資源高などコスト増に伴う価格転嫁は実施できているか?」という質問がありました。
来年度の賃金引き上げに対して「引き上げ予定(もしくは引き上げ済)」と回答したのは18.3%でした。「検討中」は13.0%、「わからない」は10.1%、そして「変動はない」と回答した企業は半数以上の53.4%という結果になっています。
さらに「物価高・資源高などコスト増に伴う価格転嫁は実施できているか?」という質問に対して、75.0%の企業が「できていない」と回答しました。 賃金引き上げの可能性が低く、増え続けるコストに従業員も経営者も未来に希望が持てていないことが、景気不安の一因かもしれません。
今後の事業拡大の展開に対しての質問には、全体の71.2%が「現状維持する」、13.9%が「縮小する」と回答しています。「拡大する」と答えたのは13.5%でした。
前回2022年上期の調査では「拡大する」は15.1%、「縮小する」は9.3%だったので、企業の事業拡大意欲の減少が顕著になってきています。それどころか、「拡大する」予定企業が「縮小する」予定企業を上回る結果となり、将来の見通しが良くないことが読み取れます。
今回の調査は業種を絞らずに実施されています。それでも為替変動(円安)によるマイナス影響を感じているのは全体の39.4%にもおよび、先端半導体技術の「対中輸出規制」によって事業へのマイナス影響を感じている企業は13.9%でした。
黒字なら給料を上げて欲しいと言うのが企業で働く従業員の本音でしょう。そう言われても仕方ない理由は、当サイト内のこちらの記事(過去最高を更新した2021年度の企業の内部留保)でも紹介している通り、企業の内部留保が金融・保険業を除く全業種で500兆円を超えて過去最高額を更新しているからです。
しかし、物価高や資源高に伴う価格転嫁ができない現状や、いつまた世界や日本経済を揺るがす出来事が起きるかわからないことから、利益分を内部留保しておきたい企業が多くなりこのような状態に陥ってしまっています。
また帳簿上は黒字になっていても回収できていない売掛金など、実際動かせる資金ではない資産も含まれており、一概に企業の資金状態が潤っているとも言い切れないのでしょう。
コロナが猛威を振るい、世界経済はこれまでにないほどに落ち込んでしまいました。しかし、ウィズコロナを掲げたアメリカや欧州諸国を筆頭に、経済は徐々に回復を見せています。日本も後れながらもコロナ以前へ戻りつつあります。今回の調査結果からは、企業の黒字見込みが増えているにもかかわらず、景気不安がぬぐえない実態が見えてきました。それにより、賃金が上げられない状況につながっているようです。
日本の企業が賃金を上げられない理由やその解決策は色々考えられると思います。この状況を打破するためには、これまでにはない思い切った策が必要なのかもしれません。
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