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去る10月3日、企業会計基準委員会は第134回リース会計専門委員会を開催した。 第133回(2023年10月10日号(NO.1690)情報ダイジェスト参照)に引き続き、企業会計基準公開草案73号「リースに関する会計基準(案)」等に寄せられたコメントへの対応と個別審議事項について、審議が行われた。 また、10月5日開催の第511回親委員会でも同テーマについて議論された。
⑴ 「合理的で確実」の閾値
リース期間の定めについて、延長または解約オプションの行使可能性に関する「合理的で確実」の閾値の明確化を求めるコメントが寄せられた。事務局から、米国基準トピック842「リース」の閾値の考え方に基づき、蓋然性を判断する案が示された。 専門委員から「事務局提案で問題ないと思うが、設例8には経済的インセンティブ以外の要素も含めすべての事実と状況を考慮したうえでリース期間を判断するとあり、本基準と整合していないのではないか」との意見が聞かれた。
事務局は「別のコメント提出者からも見直すべきというコメントをいただいているので、設例の検討時にあらためて検討する」とした。
⑵ リースの強制力に関するガイダンスの追加
リースの強制力について「IFRS16号『リース』BC127項のような規定がないと、どのようなものが本会計基準案等における延長オプションに該当するのかについて多様な解釈が生じ得る」としてガイダンスの追加を求めるコメントが寄せられた。事務局からは、「簡素で利便性の高い会計基準」の開発方針に基づき、ガイダンスを追加しない旨が提案された。
専門委員から「IFRS16号の考え方に慣れていない方は、日本特有の契約書の文言が延長オプションに該当するのかしないのか判別するのが難しいため、ガイダンス追加を求めるコメントを出してきているのでは」と、ガイダンスの追加を求める意見が聞かれた。
事務局は「こういった説明を入れ始めると、他の箇所も入れなくてはならず、当初の『簡素で利便性が高い会計基準を開発する』というコンセプトからは外れてしまう。ガイダンスを追加する意味がどれだけあるのか考えたい」とした。 第511回親委員会では、「不確実性が増すので、追加しないほうがいい」との意見が聞かれた。
⑶ その他コメント対応
借手のリース期間に関する定めについて、「使用権資産およびリース負債の計上を回避するために短期リースを繰り返し契約するという懸念がある」とのコメントが寄せられた。
事務局は、「短期リースに該当するかどうかは、解約不能期間に延長または解約オプションの対象期間を加えた期間で判定することになっているため、その懸念は一定程度排除されている」とした。
専門委員からは、「『短期リースを繰り返し契約するという懸念』については、質問者は1年リースを繰り返し契約するような形で短期リースを想定して質問されており、延長オプションとは関係ないのでは」という意見が聞かれた。
事務局は、「解約の期間のみ定められていて延長オプションなしでというケースがあるのであれば、回答は異なると思うので、コメントの書き方を再検討する」とした。
事務局は、IFRS16号における簡便的な取扱いについて米ドルで閾値を設定している点について、反対意見が多かったため、次の3つの案を示し、案1を事務局案として提案した。
(案1)適用指針本文において、「原資産の価値が一定金額以下のリース」と定め、結論の背景において、当該定めがIFRS16号における原資産が少額であるリースの取扱いとの整合性を図ったものであることを追記する。
(案2)適用指針本文において「原資産の価値が新品時におよそ60万円以下のリース」と定め(2015年の為替レート約120円で換算)、結論の背景において、当該定めがIFRS16号における原資産が少額であるリースの取扱いとの整合性を図ったものであること、2015年の為替レート約120円で換算したものであることを追記する。
(案3)本公開草案の提案から変更しない。
専門委員からは、案1を推す声が聞かれた。
第511回親委員会でも、案1への賛成意見が聞かれた。
去る10月4日、企業会計基準委員会は第87回税効果会計専門委員会を開催した。 前回(2023年9月10日号(No.1687)情報ダイジェスト参照)に引き続き、グローバル・ミニマム課税(以下、「GM課税」という)に関する改正法人税への対応について、審議が行われた。また、10月5日開催の第511回親委員会でも議論された。 主な審議事項は以下のとおり。
事務局から次の提案が示された。
⑴ 当連結会計年度および当事業年度を対象会計年度とするGM課税に関する法人税等の見積りにあたっては、財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき、その合理的な金額を見積る旨を定め、結論の背景において、財務諸表作成時に入手可能な情報に関する考え方を記載する。
⑵ 適用初年度における年度の連結・個別財務諸表に関して考えられる簡便的な見積りの例を規範性のない教育文書として提供する。
専門委員からは、事務局案への賛成意見が聞かれた。また、「経過措置を選択適用したら、その旨を注記すべき」との意見も聞かれた。
第511回親委員会では、「教育文書は公開草案と同時に公表するのか」との質問に対し、事務局から「教育文書に関するデュープロセスの改正を行うため、同時は難しい」と回答があった。
事務局から、「適用初年度と同様に、適用初年度の後の各年度についても、当面の間、四半期連結・四半期財務諸表においてGM課税制度に基づく上乗せ税額を計上しないことができる」との経過措置案が示された。
専門委員からは、異論は聞かれなかった。
*
専門委員から今後のスケジュールについて質問があり、事務局から年内の早い段階で公開草案を公表したいとの回答があった。
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