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この記事では、「業務委託契約において、委託の範囲をめぐる争いを防ぐため、どのような点を考慮し委託内容を記載すべきか」について、委託者からのご相談にお答えします。
目次【本記事の内容】
~A社(業務委託契約 委託者)より~
サプリメントなどを製造販売している当社(A社)は、実店舗だけの販売のみならず、より大きな集客と収益を得るため、ECサイト(ネットショップ)での販売を開始したいと考え、自社ECサイトを構築し、公開に踏み切りました。ECサイトの保守については、当社には専門の技術者がいないため、X社にお願いすることとし、ECサイトの保守業務委託契約を結ぶことにしました。その際、当社から提示した業務委託契約書では、委託業務の内容として「A社ECサイトの保守業務」とだけ記載し、具体的な委託内容については特定しませんでした。
今回、当社は、保守業務の内容を具体的に定めてはおりませんが、これはX社に広く対応をお願いしたいためであり、たとえば「新たな商品情報の追加・修正」や「ECサイトのアップデート」等についても、委託の範囲内として、今後対応をお願いしようと思っております。
しかしながら、本契約の委託内容に基づき、いざ対応をお願いした場合、委託の範囲外であるとして対応してもらえない場合や、別途報酬が発生する事態とはならないでしょうか。そもそも今回のように、業務委託契約書の委託内容について記載する際、委託の範囲をめぐるトラブルを回避するため、どのような点を考慮して記載すべきでしょうか。
業務委託契約の委託内容について記載する際、委託の範囲をめぐる受託者との争いを防ぐためには、委託内容をできる限り明確かつ詳細に記載しておくことが推奨されます。
以下、詳しく見ていきましょう。
まずは、「業務委託契約」「委託の範囲」「委任(準委任)契約か請負契約か」について、説明します。
「業務委託契約」とは、委託者が何らかの業務を、自己に代わって第三者(受託者)に行ってもらうための契約です。一口に業務委託契約といっても、委託する業務の内容によって様々な類型があります。例えば、部品の製造委託契約、機械の保守委託契約、システムの開発委託契約、コンサルティング契約など、委託する内容によりその種類は多岐にわたります。
なお、「業務委託契約」について定めた法律はありません。しかし、民法の委任(準委任)契約や請負契約が、業務委託に関して法的根拠を持つと考えられています。委任契約とは、法律行為に関わる事務を委託する際に結ぶ契約であり(民法第643条)、法律行為を伴わない事務の処理を委託する際に結ぶ契約は、準委任契約といいます(民法第656条)。また、請負契約は、当事者の一方が仕事を完成させることを約し、その仕事の結果に対して報酬を支払うことを約する契約です(民法第632条)。
~ご参考~
●委任契約の例:税理士や弁護士に業務を委託する契約 など
●準委任契約の例:医師による診察やコンサルティングを委託する契約 など
●請負の例:建築工事請負契約、運送委託に関する契約、コンテンツ制作に関する契約 など
●両方の性質を備えている例:システム開発に関する契約 要件定義工程については準委任契約の性質を有し、開発工程については請負契約の性質を有すると評価される。
・・・
取引実務上、委任(準委任)契約も、請負契約も、「業務委託契約」と呼ばれることがあり、両者には混同が生じやすいとされています。しかし、民法、商法の原則では、委任(準委任)契約であるか、請負契約であるかによって、当事者の権利義務が変わってきます。したがって、業務委託契約書を作成、審査しようとする場合、委託する業務の内容を確認し、法的性質が委任(準委任)か、請負か、あるいはその両方の性質を備えているのか、確認し判断する必要があります。 その上で、民法、商法の原則に従うとどのような権利義務を有するのか(例えば、契約不適合責任の有無、善管注意義務の有無、再委託の可否、報酬請求権の有無、費用負担の有無、中途解約の可否等)を把握し、法の原則以外の権利義務を契約書上で規定するのか等について検討していくことが必要となります。
◆WRITER
弁護士 小野 智博
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士
企業の海外展開支援を得意とし、日本語・英語の契約をレビューする「契約審査サービス」を提供している。
また、ECビジネス・Web 通販事業の法務を強みとし、EC事業立上げ・利用規約等作成・規制対応・販売促進・越境ECなどを一貫して支援する「EC・通販法務サービス」を運営している。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
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