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【公認会計士・税理士執筆】2024年度税制改正の概要と管理部門に与える影響

公開日2024/07/11 更新日2024/08/21 ブックマーク数
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2024年度税制改正

2024年度税制改正に関して、「所得税法等の一部を改正する法律」が2024年3月28日に可決成立し、3月30日に公布、4月1日に施行されました。今回は、2024年度税制改正のうち、主に法人にかかわる改正の概要や改正が管理部門に与える影響を解説します。

松本佳之
みんなの会計事務所  (https://www.office-kitahama.jp/)
代表 公認会計士・税理士

「みんなの会計事務所」では、各分野のスペシャリストが在籍して、経営に関する様々なお悩みをワンストップでサポート。
グループ会社「みんなの会計ビジネスサポート株式会社」では、経理業務のアウトソーシングサービス
「みんなの経理部(https://keiribu.co.jp/)」を運営。企業の税務・経理の課題を様々な形で解決する。

1.2024年度税制改正の概要について

法人に関係する主な改正は次のようなものがあります。


(1)賃上げ促進税制の拡充

給料等の支給額が前年を上回るなど一定の要件を満たした場合に税額控除を受けることができる賃上げ促進税制があります。この賃上げ促進税制について、物価上昇を十分に超える持続的な賃上げを促すための拡充が行われた上で、適用期限が3年間延長されました。

改正のポイントは次のとおりです。

①大企業向け賃上げ促進税制の改正
大企業向け賃上げ促進税制について、原則の税額控除率が15%から10%に引き下げられたものの、教育訓練費の上乗せ要件の緩和や仕事と子育ての両立支援等に取り組む企業の上乗せ措置が創設され、最大35%(改正前は30%)の控除を受けることができるようになります。

②中堅企業向け賃上げ促進税制の創設
資本金1億円超で、常時使用従業員数2,000人以下の法人を中堅企業と位置付け、大企業向け賃上げ促進税制より要件が緩和された中堅企業向け賃上げ促進税制が創設されました。中堅企業向け賃上げ促進税制の最大控除率は45%(改正前は30%)となります。

③中小企業向け賃上げ促進税制の改正
中小企業向け賃上げ促進税制は、上乗せ要件や控除率の見直しが行われ、最大控除率は45%(改正前は30%)となります。また、赤字の中小企業の賃上げを支援するため、当期の税額から控除できなかった分について5年間繰越控除することが可能となりました。


(2)交際費等の損金不算入制度の見直し・延長

①接待飲食費に係る損金算入の特例と中小法人に係る損金算入の特例の適用期限が2027年3月31日までの間に開始する事業年度まで3年間延長されます。

②これまで1人当たり5,000円以下の社外飲食費については、損金不算入となる交際費等の範囲から除外され、全額を損金算入することができました。2024年4月1日以後に支出する飲食費から、この基準となる金額が5,000円以下から1万円以下に引き上げられました。


(3) 少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例の延長

中小企業者等が30万円未満の減価償却資産を取得した場合に合計300万円まで全額損金算入することができる少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例について、対象法人から常時使用従業員数300人超の電子申告義務化法人が除外されたうえで、適用期限が2026年3月31日まで延長されます。


(4)外形標準課税の適用対象法人の見直し

これまで、外形標準課税の適用法人が、形式的に減資をして外形標準課税の適用を逃れることが頻繁に行われ、問題となっていました。このような行為を防ぐことを目的として、外形標準課税の対象法人の見直しが行われます。

具体的には、外形標準課税の対象法人は、現行基準(資本金または出資金が1億円超)を維持したまま、前事業年度に外形標準課税の対象であった法人が、当該事業年度に資本金1億円以下となった場合でも、資本金と資本剰余金の合計額が10億円超となる場合は、外形標準課税の対象となります。この改正は2025年4月1日以後に開始する事業年度から適用となります。

また、資本金と資本剰余金の合計額が50億円超の法人等の100%子法人等のうち、資本金が1億円以下で、資本金と資本剰余金の合計額が2億円超のものは、外形標準課税の対象となります。この改正は2026年4月1日以後に開始する事業年度から適用となりますが、この改正により新たに外形標準課税の対象となった法人に対しては、一定期間の軽減措置が講じられます。


(5)中小企業倒産防止共済掛金の損金算入の特例の見直し

中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)の掛金を損金計上できる特例について、共済契約の解除後に再度共済契約を締結した場合、その解除の日から2 年以内に支出する掛金は損金算入することができないこととなりました。2024 年 10 月 1 日以後の共済契約の解除について適用されます。


(6) イノベーションボックス税制の創設

企業が国内で自らが研究開発した特許権やAI分野のソフトウェアに係る著作権などの知的財産権から生ずる譲渡所得、ライセンス所得のうち、最大30%の金額を損金算入することができるイノベーションボックス税制が創設されます。2025年4月1日から2032年3月31日までの間に開始する事業年度について適用することができます。


(7)欠損金の繰戻し還付制度の不適用措置の延長

現在、中小企業者等以外は、欠損金の繰戻し還付制度の不適用措置により、繰戻し還付を受けることができません。この中小企業者の欠損金等以外の欠損金の繰戻しによる還付制度の不適用措置について、対象の見直しが行われた上で、適用期限が2年延長されました。


(8)ストックオプション税制の利便性の向上

ストックオプション税制とは、個人がストックオプションで得た利益について、権利行使時の取得株式の時価と権利行使価額との差額に対する課税が株式売却時まで繰り延べられ、売却時に譲渡所得として課税する制度です。 このストックオプション税制について、スタートアップの人材確保や従業員のモチベーション向上のためのストックオプションを活用しやすくするため、主に次のような改正が行われます。

・年間の権利行使価額の限度額を最大で3,600万円に引き上げ
・外部協力者にストックオプションを付与する際の要件が緩和
・ストックオプションの権利行使後の証券会社等での保管・管理等信託の要件を撤廃

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