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【社労士執筆】2024年4月施行改善基準告示改正 管理部門の対応ポイント

公開日2024/08/27 更新日2024/11/08 ブックマーク数
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2024年4月施行「改善基準告示」の改正

改善基準告示とは、正式名称を「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」といい、いわゆる「自動車運転者」を対象とし、これらの方々の労働条件向上を図ることを目的として定められたものです。「自動車運転者」とは、労働基準法第9条に規定される労働者であって、四輪以上の「自動車の運転の業務に主として従事する者」を指します。

ここでの「自動車の運転の業務に主として従事する者」に該当するかどうかは、実態として、物品または人を運搬するために自動車を運転する時間が現に労働時間の半分を超えており、かつ当該業務に従事する時間が年間総労働時間の半分を超えることが見込まれる場合には該当するとされ、具体的には、トラック、バス、ハイヤー・タクシーの運転者が該当します。

改善基準告示がわざわざ労働基準法とは別に設けられているのは、自動車運転者の仕事は、その業務の特性上、拘束時間(休憩時間を含む始業から就業までの時間)・休息期間(勤務と勤務の間の自由な時間)・運転時間等などについて、すべての産業に適用される労働基準法では規制が難しい、ということがあります。

そのため、改善基準告示において具体的に定められている規制内容は、まさにこの拘束時間・休息期間・運転時間等についてとなります。1989(平成元)年に定められた改善基準告示は数度の改正を経ておりますが、直近では2022(令和4)年12月23日に改正されたものが、2024(令和6)年4月1日より適用開始となっております。

本記事では、この2024(令和6)年4月1日より適用が開始された改正のポイントとその影響、対応についてご説明していきます。

▼この記事を書いた人

寺山 晋太郎
社会保険労務士
社会保険労務士法人 宮嶋社会保険労務士事務所

福島県出身。一橋大学社会学部卒業。大手鉄道会社にて現業や本社勤務など様々な業務を経験。2014年第一子誕生を機に育休を取得。その後現職に転じ、働きながら社労士資格を取得。社労士業の傍ら、3児の父親としても奮闘中。

2024年4月施行「改善基準告示」の改正内容ポイント

改正の全体像

改善基準告示の改正内容ポイントを一言で表すと、「より労働者を保護する方向での改正が進められた」という一点に尽きます。なぜこのような方向性になったかというと、大きく二つの要因があります。

一つ目は労働基準法の改正です。2019(令和元)年に行われた労働基準法改正において、それまで実質的に制限がなかった「時間外労働時間」に上限規制(最大で年960時間以内)が設けられたのですが、運送業・物流業には2024(令和6)年3月末まで適用が猶予されておりました。今回の改正は、この猶予解除タイミングに合わせる形となっております。

二つ目は運送業界が抱える問題です。トラックやバスの運転業務は、他の業種と比較して労働時間が長い傾向があり、また有効求人倍率(有効求職者数に対する有効求人数の割合)も全産業平均より高い傾向が続いていることから、慢性的に人手不足となっております。

こういった状況のため、労働者の負担をより軽くする方向で改正がなされています。具体的には、拘束時間は改正前よりも基本的に短くなる一方で、休息時間は逆に改正前よりも長くなっています。では、改正ポイントを車種別に見ていきましょう。

トラック運転者の改正ポイント

 まず、1年の拘束時間は原則3,300時間、最大3,400時間(改正前:3516時間)に抑える必要があります。その枠の中で、1ヶ月の拘束時間は原則284時間、最大310時間(改正前:原則293時間、最大320時間)になりました。最大というのは、あくまで労使協定を結んだうえでの例外的な取り扱いとなります。

また1日の拘束時間は13時間以内で、やむを得ず延長する場合であっても15時間以内が上限となります。ただ、14時間を超える日は1週間に2回以内が目安です。次に1日の休息期間ですが、継続11時間以上与えることを基本とし、9時間を下回らないようにする必要があります。

また運転時間は、特定日を基準とし、その前日とその翌日の2日を平均した1日当たり(2日平均1日)の運転時間がどちらか9時間以内であれば良く、加えて2週間を平均した1週間当たり(2週平均1週)の運転時間を44時間以内とする必要があります。

なお連続運転時間は4時間以内とし、運転開始後4時間以内又は4時間経過直後に30分以上の運転の中断が必要となります。中断時には、原則として休憩を与えなければなりませんが、当該中断は1回をおおむね連続10分以上としたうえで分割して与えることも可能です。

バス運転者の改正ポイント

 まず拘束時間ですが、事業場の労務管理の実態等に応じて「1年・1か月」もしくは「52週・4週平均1週」のいずれかの基準を選択します。「1年・1か月」の場合は、1年では原則3,300時間、最大3,400時間(改正前:最大3,484時間)、1か月では281時間、最大294時間(改正前:最大304時間)となり、「52週・4週平均1週」の場合は、52週で原則3,300時間、最大3,400時間。4週平均1週で原則65時間、最大68時間となります。

最大というのは、貸し切りバス等乗務者でかつ労使協定を結んだ例外的な場合となります。また1日の拘束時間は13時間以内で、やむを得ず延長する場合であっても15時間以内が上限となります。ただ、14時間を超える日は1週間に3回以内が目安です。次に1日の休息期間ですが、継続11時間以上与えることを基本とし、9時間を下回らないようにする必要があります。

また運転時間は、特定日を基準とし、その前日とその翌日の2日を平均した1日当たり(2日平均1日)の運転時間がどちらか9時間以内であれば良く、加えて4週間を平均した1週間当たり(4週平均1週)の運転時間を40時間以内(貸し切りバス等乗務者かつ労使協定を結んだ場合は44時間)とする必要があります。

なお連続運転時間は4時間以内とし、運転開始後4時間以内又は4時間経過直後に30分以上運転を中断し、休憩を与えなければなりません。運転の中断は1回を10分以上としたうえで分割することも可能です。加えて高速バス・貸し切りバスの場合は、高速道路の実車運行区間の連続運転時間はおおむね2時間以内とするように努めなければなりませんので注意が必要です。

タクシー・ハイヤー運転者の改正ポイント

 日勤か隔日勤務(始業及び就業の時刻が同一日に属さない業務)かによって異なります。まず日勤の場合、1か月の拘束時間は288時間(改正前:299時間)、1日の拘束時間は13時間以内(上限15時間、14時間を超える日は1週間に3回以内が目安)です。1日の休息期間は継続11時間以上与えることを基本とし、9時間を下回らないようにする必要があります。次に隔日勤務の場合は、1か月の拘束時間は原則262時間、最大270時間。2暦日の拘束時間は22時間以内かつ2回の隔日勤務を平均して隔日勤務1回あたり21時間以内とする必要があります。

また休息期間は勤務終了後継続24時間以上与えるよう努めることを基本とし、継続22時間を下回ってはいけません。なお、日勤勤務と隔日勤務を併用して頻繁に勤務形態を変えることは、労働者への負担が大きいことから認められませんので注意が必要です。なお、いわゆる「車庫待ち」(顧客の需要に対応するため常態として車庫等において待機する就業形態)の場合については、一定条件を満たせば上記とは異なる基準が適用されることとなります。

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