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去る9月4日、企業会計基準委員会は、第161回実務対応専門委員会を開催した。
企業会計基準諮問会議からASBJの新規テーマとして提言されたバーチャルPPA(電力購入契約の一種)の会計処理について、第531回親委員会(2024年9月10日号(№1720)情報ダイジェスト参照)で新規テーマとされたことを受け審議されたもの。
主な審議事項は次のとおり。
第49回企業会計基準諮問会議(2023年12月10日号(№1696)情報ダイジェスト参照)において、日本公認会計士協会より、環境意識の高まりとともに今後、取引の拡大が見込まれるバーチャルPPAの会計処理の明確化が提案された。これを受けたテーマ評価の結果、「優先度の高い論点に範囲を限定する(アプローチ1)」と、「範囲を限定せず国際的な整合性も考慮して検討を行う(アプローチ2)」が検討され、次のとおり報告された。
・現在わが国において行われているバーチャルPPAの一般的な取引形態で用いられる差金決済の基礎となる発電量の条件や、需要家が取得する非化石証書の性質等に基づき、バーチャルPPAについて需要家の観点から優先度の高い論点に範囲(会計処理単位や時価評価の要否)を限定して会計処理を検討するアプローチ1については、実務対応レベルの新規テーマとして取り上げる要件を満たしていると考えられる。
・アプローチ1は、現状の取扱いを考慮してニーズの高い領域について当面の取扱いを定める。
以上から、アプローチ1によって審議することとされた。
事務局は、本プロジェクトの範囲を次のように整理した。
⑴ 本プロジェクトの対象とする契約は、発電事業者から需要家に電力の取引を伴わずに非化石証書を移転する契約のうち、次の特徴を満たすものとする。
① 契約で指定された発電設備の発電量に相当する量の非化石証書が需要家へ移転する。
② 長期契約である。
③ 発電事業者と需要家の相対の契約である。
⑵ 前記⑴の契約は、取引の対価が変動価格となる契約のほか固定価格となる契約も含む。
⑶ 前記⑴の契約における需要家の取扱いを定める。
⑷ 本プロジェクトの対象とする契約の範囲は、需要家により非化石証書の転売が想定されない取引であり、次のいずれにも該当する場合とする。
① 需要家は非化石証書を転売目的ではなく、自己使用目的(別途調達する再生可能電力ではない電力を組み合わせることで、実質的に再生可能電力を調達したのと同じ効果を得る目的)で取得する。
② 需要家は想定する自社の電力の消費量の範囲で非化石証書を購入する契約を締結する。
専門委員からの「小売電気事業者などの仲介業者を間に挟むケースはどう考えるか」という質問に、事務局から「仲介業者を挟む場合においても、電力と非化石証書がセットで需要家に移転するというケースが一般的であると考える」との回答がされた。
去る9月10日、企業会計基準委員会は、第225回金融商品専門委員会を開催した。
前回(2024年9月10日号(№1720)情報ダイジェスト参照)に引き続き、金融資産の減損に関して、ステップ4(信用リスクに関するデータの詳細な整備がなされていない金融機関に適用される会計基準の開発)を採用する金融機関の代表者への意見聴取で聞かれた意見への対応について、審議が行われた。
主な審議事項は次のとおり。
事務局から、実務負担に配慮する観点から、「最も可能性が高い中心となる将来予測シナリオと他の将来予測シナリオの発生確率が正規分布で近似できる関係にあり、関連する信用損失の間に線形の関係があると予想されるとみなし、最も可能性が高い中心となる将来予測シナリオ(予想信用損失が発生することを前提とする)のみを考慮することを認める」等の提案がされていた。
これに対し、提案に賛同する意見のほか、将来予測シナリオにおける損失率や予想信用損失の推計には、実務上の課題が多いため、補足文書等で具体的な考え方や参考事例を示してほしいとの意見が聞かれていた。
事務局から、補足文書の文案検討時に、将来予測シナリオにおける将来予測の考慮方法についてどの程度示すことができるか議論するとの対応案が示された。
債権における予想信用損失の算定および償却原価の算定のいずれにおいても、実効金利に代えて約定金利を用いることができるオプションを設けるとの事務局案に対して、賛同する意見のほか、引当における貨幣の時間価値の考慮は現行にない概念で実務対応が不明との意見が聞かれていた。
これを受けて、現行の金融商品会計基準等では、定めは置かれていないが概念自体は明確なものであるとの分析がされ、追加の対応は不要との対応案が示された。
⑴ 実務への配慮
IFRS9号「金融商品」の定めを取り入れる提案をしている次の項目について、ステップ4で実務に配慮した検討を要望する意見が聞かれていた。
① 直接償却の取扱い
② 金融保証契約への引当
③ ローン・コミットメントの引当
① では、IFRS9号を取り入れても、企業の判断によっては、現行実務や方針が大きく変わらない可能性があること、②、③では、現行の実務で貸付金と同様の信用リスク管理および貸倒引当金の計上が行われていることから、現行実務に大きな差異はないとの分析が示された。
その結果、事務局より、ステップ4において、ステップ2、3と異なる定めを設ける必要はないとする対応案が示された。
専門委員から、「③のローン・コミットメントは影響が大きい。慎重に検討を」との意見が聞かれた。
⑵ 引当金の考え方
債務者の破綻等による最終的な会計上の貸出金の毀損に対して引当金を計上する現行の考え方は変わらない理解でよいかとの意見が聞かれ、ステップ2と同様、ステップ4においてもIFRS9号の信用損失の定義を取り入れるとの分析が示された。
去る9月5日、SSBJは第38回サステナビリティ基準委員会を開催した。
3月29日に公表されたサステナビリティ開示ユニバーサル基準およびサステナビリティ開示テーマ別基準の公開草案(以下、あわせて「本公開草案」という)に寄せられたコメントへの対応案について、審議が行われた。
主な審議事項は次のとおり。
本公開草案では、ISSB基準における「amount」という用語に対し、「金額」という訳語を用いていた。
これに対し、IFRS S2号「気候関連開示」の付属ガイダンスでは、気候関連の機会に関する指標の例として「件数」が挙げられているため、ISSB基準の「amount」は必ずしも「金額」のみを想定したものではないのではというコメントが寄せられた。
事務局は、「開示される情報は金額であることが多いと考えられるものの、金額以外も排除しないために、『数値』に修正し、修正の理由を結論の背景に加えるのはどうか」と回答した。
委員からはおおむね賛意が聞かれたため、事務局は、「いったん、『数値』とする」とした。
本公開草案では、気候関連のリスクおよび機会に関する産業横断的指標等に関連してISSB基準を一部除いた形で取り入れたうえで、「金額及びパーセンテージ」だけではなく、「規模に関する情報」も選択することができるオプションを独自に加えた。
これに対し、選択肢の追加への反対意見や、文中の「脆弱な」や「整合する」の定義が明らかではないとして要求事項の明確化を求めるコメントが寄せられた。
事務局は、開示項目を満たす情報開示を促進することを目的としているため、公開草案を変更しない旨を提案した。また、要求事項の明確化に関しては、ISSB基準自体が明確ではないため、SSBJ基準においても明確化せず、企業の判断に委ねるとし、企業がどのように解釈したかの開示を求めるとした。
委員からは、「ISSB基準にない『企業の解釈に委ねて開示する』ことをあえて基準に明記しなくてもいいのでは」などの意見が聞かれた。
事務局は、「ISSB基準が明確ではない以上、結果的に企業の判断でやっていくことになる。開示した指標が独り歩きして利用者をミスリードすることを防ぐためにも、はじめから明記する」と回答した。
本公開草案では、IFRS S2号と同様に気候関連のリスクおよび機会に投下された資本的支出、ファイナンスまたは投資の金額を開示しなければならないとすることを提案している。
これに対し、「産業特性などによって大きく異なることから、産業横断的指標等として開示することは不適切であり、企業間比較のための情報としての有用性も乏しい」などの意見も寄せられた。
事務局は、当該開示を取り入れないとした場合、ISSB基準とSSBJ基準との間の明確な差異となるため、公開草案を維持する旨を回答した。
委員からは反対意見は聞かれなかった。
本公開草案では、IFRS S2号の定めをそのまま取り入れたうえで、報酬について、気候関連の評価項目に係る部分とその他の評価項目とを区別して識別できない場合は、その旨を開示したうえで、気候関連の評価項目を含む評価項目全体について開示することができるとしている。
これに対し、「気候関連の評価とその他の評価項目が結びついている部分の割合は免除にできないか」という意見や、追加的な措置によって「役員報酬の評価項目に気候関連の評価項目を反映することを遅らせるために、当該定めを濫用する企業が現れることを懸念する」との意見も聞かれた。
事務局は、ISSB基準をそのまま取り入れては対処できない企業が出てくる可能性があるため、公開草案を維持する考えを示した。
委員からは、異論は聞かれなかった。
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